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小説家になろうの「Nコード」について考えてみる

文章を書くことでお金をもらっているプロは別として、素人の物書きとしては、いかにモチベを保ち続けるかが大事になります。ここでモチベを求める先を承認欲求的にしてしまうと、その人の物書き人生はそう長くは続きません。反応をもらえているうちはそれでいいかもしれませんが、そもそも素人物書きのほとんどはよほど作品が刺さる人が出てこない限り、基本的に反応をもらえない界隈なので。承認欲求というのは根本的におクスリと同じで、認めてもらえたらもらえたでどんどん欲求がエスカレートしてしまいます。それでも承認欲求に拠り所を求めてしまう人は、中途半端に続けすぎて徒労感を覚える前にさっさと筆を折るべきだと私は思っています。

さて、では何をモチベにすればいいのかという話ですが、私の意見としては本当になんでもいいと思っています。他人に迷惑をかけないのであれば、どんなに小さくても、どんなにしょうもなくてもいいのです。最終的に長く趣味として続けられた人の勝ちなのですから。そして私がモチベとしているものの一つが、タイトルにもある「Nコード」だったりします。

世に出ている売り物の本であれば、ISBNコードというものが振られています。International Standard Book Numberの略だそうですが、このコードによってタイトルが特定できます。本一冊につき一つ、固有のコードが与えられているというわけです。
同様にネット小説投稿サイトにおいても、それはもう星の数ほど(言い過ぎ)作品数があるので、一つ一つにコードでも振っておかないと管理がままなりません。別に小説じゃなくともコードは振られますが、そのへんには目をつぶってください。
ではなぜ、「小説家になろうのNコード」にこだわるのでしょうか。それは、URLとは別に各小説に固有のコードが振られているから。長ったらしいURLでのみ各小説の区別をつけているサイトが多い中で、小説家になろうは別で固有コードを示している数少ないサイトの一つです。

小説投稿サイトは数多くありますが、(個人的に)大手だと思っているところをいくつか挙げてみます。
・小説家になろう
・カクヨム
・アルファポリス
・エブリスタ
・ノベルアップ+
・ハーメルン
・pixiv

ノベルピアなんかも一時期は隆盛でしたが、なんか運営方針はいまいち安定しないし最終的には日本市場から実質撤退みたいな感じだしで、すっかり下火になってしまった感があるので除きました。上に挙げた7つ以外は正直、名前は聞いたことあるけど……というのが感想でした。もちろんその界隈の人たちとあまり交流してないだけ、という可能性もありますが。一応参考にしたサイトを出しておきます。

今回は上の7つで考えます。
いずれもURLの末尾を見てやると、各小説に固有のコードがついていて、これで区別されていることが分かります。ただ、各小説の詳細情報を見た時に、URLとは別にコードが表示されるわけではありません。例えば小説家になろうであれば、こんな感じで「表示される側」のサイトです。

小説家になろうの作者側に表示される項目の一部

読者側から見える小説情報には記載されていませんが、作者が確認できる作品情報には、しれっとURLとは別に「Nコード」なるものが記載されています。他の小説投稿サイトで同様のものが確認できたのは、ハーメルンだけでした。(エブリスタはまだ一件も小説を出せていないので、もし該当しているということであれば教えてください)
ではハーメルンの方を見てみましょう。

ハーメルンの作者側小説情報。「小説ID」が記載されている

URL見ればIDなんてすぐ分かるんだし、こいつはいったい何を語っているんだと思われるかもしれません。ただ、例えばカクヨムなんかは、すごく長ったらしい数字がURLの末尾に並んでいるだけなのです。

カクヨムのURLの例。いくらなろうに次ぐ大手投稿サイトとはいえ、まさか1600京個も小説が投稿されているわけはないと思うが……。

「短編か長編か」「累計話数」「投稿日時」あたりがこの数字に組み込まれていそうな気がしますが、このIDを自分が書いた小説固有のものとしてコレクションする、という観点から言えば、あまりスタイリッシュではありません。その点、ハーメルンの「小説ID」の見方は非常に簡単です。そもそも二次創作隆盛な個人が運営しているサイトということもあり、総投稿数が少ないので、上の私が書いたウマ娘・シンボリクリスエスの二次SSもハーメルンが生まれてまだ336467件目の小説ということになります。半月に一度短編を投稿するようなペースでも、800件ほどしか新規投稿されていないようなので、当分は6ケタ時代が続きそうです。これならかなり管理しやすいですね。

しかしそんなハーメルンよりももっとシステマティックで、スタイリッシュだと感じるのが、小説家になろうの「Nコード」なのです。なろうには小説ごとに固有のNコードのほかに、シリーズ作成をした際に付与される「Sコード」も存在しますが、こちらはそもそもシリーズ作成をする人があまりいないのか、かなり間隔が開いた状態でシリーズ作成をしてもそれほど数字が進みません。一方、Nコードは誰かが新規で小説(短編・連載問わず)を投稿するたびに付与されるうえ、なろう自体が最大規模の投稿サイトですので、他サイトからすれば異様なペースでカウントが進みます。なお、小説家になろうグループにはR-18投稿用のノクターンノベルズ・ムーンライトノベルズ・ミッドナイトノベルズも含まれており、これらすべての投稿サイトでNコードは共通です。ノクターンノベルズで毎月アホみたいな数の短編を投稿してNコードを稼いでいる私みたいな人間もいるので、なろうグループ全体で見るとカウントは非常に早く進みます。なお、Nコードは投稿されたその瞬間に付与されるものですので、後で小説を削除しても番号が詰められることはなく、永久欠番として残ります。だからと言って投稿しては消してなんてことはやってはいけませんよ。負荷がかかるのでむやみな削除はご遠慮くださいと公式も言っているので。

命名則を見てみましょう。上の例においては「N6370IL」でした。Nは全小説で共通なのでスルーとして、次の数字4ケタはそのまま1つ小説を投稿するたびに増えるものです。しかしこれでは0000~9999の1万件しかカウントできないことになるので、ここで後ろのアルファベット2文字が役に立ちます。これは、1万件ごとにアルファベットが一つ進む仕様になっています。例えばAAの次はAB、AC、AD、……と続き、AZまで行くと次はBAに変わるというわけです。これはExcelの列セルと同じですね。つまりILの次はIMになります。実はノクターンなどR-18サイトでの投稿も含めて、私はHZ~IPまで全てのアルファベットで少なくとも1件以上小説を投稿している、という珍記録を持っています。単にそれなりに長い期間、コンスタントに作品をお出ししているという証拠になるだけなのですが、こういう記録が分かるのがいいところですね。
現在なろうに現存している最古の小説のNコードを調べようと思うと、おそらく「新着投稿順」でラストまでさかのぼるしか方法がないです(もしあれば教えてください)。なろうには現在、1,000,205件の作品があるそうで、1ページ当たり表示される小説は20件なので、5万ページくらいあることになり大変骨が折れる作業です。ですので近い方法である、「更新が古い順」で見てみますと、2024年2月6日現在、最古(に近い)作品のNコードはなんと「N0037A」。AAどころかA、まだアルファベット一つで管理できていた時代にさかのぼれます。おそらくなろうで最初に産声を上げた作品のコードは「N0001A」でしょう(たぶん「0000」にはしないと思う)から、37件目に投稿された作品ということで、これは最古と呼んでしまっても差し支えなさそうです。
逆に最新のNコードはどんなものかと見てみると、「0332IQ」。ちょうどIP(知的財産)からIQ(知能指数)に代わったばかりのようですね。そろそろ短編を投稿しとかないと記録が途切れる……。

結局なろうも数字の羅列じゃないか、何が違うんだという声が聞こえてきそうですが、私がこのNコードを気に入っている理由は一つ、「n進法チックだから」、ただそれだけです。投稿小説数だけ単純にカウントするのではなく、アルファベット2文字を使って26進法で管理している、その方式に惹かれているのです。こんな一見しょうもない、単に運営が管理するための情報がちょっと作者側に開示されている、という性質のものですら、ある一定の作者にとっては「オレはたくさんNコードを持っている人間だ」とモチベーションになるので、なろうの功績は偉大ですね。今からマネするのはそれはそれで難がある気がしますが、他の小説投稿サイトにもぜひ採用してもらいたいところです。
Nコードもいずれ、「N9999ZZ」の次が投稿されれば、それに附番されるのは「N0001AAA」のはずです(もしかすると「N0000AAA」かもしれませんが、これまで0001とか0000を附番してもらえたことがないので、真相は分かりません)。これが見られるのは十数年と先になるでしょうが、それまでなろうが続いていればいいですね。……とくだらないことを言ったところで、締めにしたいと思います。ありがとうございました。

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