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がんによる死への不安は克服できるのか? 3

がんによる死への不安は克服できるのか?という問題に対して
前回は、「耐えがたい苦痛」が訪れるのではないかという恐怖に対する対処方法を考えてみましたが、今回は「残された家族や仕事がどうなってしまうのか?という心配」を考えていってみたいと思います。

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▼まずはおさらいとして・・・
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がんによる死に対する不安とは、大きく分けて以下の3つから生じると考えられます。
① 自分自身がいなくなってしまう、消滅してしまうこと、つまり「死」そのものに対する恐怖心
② がんが進行していくことで、「痛み」などの耐えがたい苦痛が訪れるのではないかという恐怖
③ 残された家族や仕事(人生のタスク)がどうなってしまうのか?という心配

今回は、③に関して考えていきます!

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▼「がん」に伴う変化
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「がん」になると、様々な変化が起こります。
検査や治療のため、今まで仕事を休んだことがなかった方でも、頻繁に休まざるを得なくなります。
食べる量が減ってしまったり、味覚の変化から食べられていたものが食べられなくなったりしてしまう方も多いです。
体力が低下して、これまでできていたことができなくなったり、そこまでではないにしても非常に時間がかかるようになってしまったりするかもしれません。
ヒトはそもそも変化を嫌う傾向にあるため、なるべく変化を少なくしようと、様々な工夫をしたり、無理をして合わせたりします。
一時的な変化であれば、そのような対応で何とかしのげるかもしれませんが、「がん」の状況によっては、変化が持続してしまったり、時には徐々に増悪してしまう方向が避けられない場合も多く存在します。
そのような場合、変化しないように頑張ること自体が難しくなり、変化を受け入れていく必要が生じます。
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▼変化は仕方がないけれど・・・
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はじめは変化を最小限にとどめようと頑張ってはみたものの、頑張りに限界を迎えたり、頑張っても仕方ないと考えなおしたりした結果、自分の変化を受け入れて、そちらの方に合わせていこうとなってきます。
そうなると多くの方が、次に考えるのが以下のようなことです。
「自分は仕方がないけれど、家族に迷惑をかけるのが申し訳ない」
「自分が働けなくなり、今後家族をどうやって養っていけばいいのか?」
「自分がいなくなった後、残された家族が不幸にならないか心配だ!」

仕事に関しても、
「今、自分が抜けたら、仕事はうまくいかなくなってしまうに違いない」
「会社に大きな迷惑(損失)をかけてしまうのではないか?」
「自分がこれまで積み重ねてきたもの(人生のタスク)が無駄になってしまうかもしれない」
つまり、自分自身のことはある程度仕方が無いこととして受け入れた(受け入れざるを得なかった)けれども、自分のせいで家族や仕事にまで影響がでてしまうのは困るので、何かできることはないのだろうか?と考えて、とはいえ今の自分ではそれも難しいかもしれないと不安になってしまう状況だと思われます。
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▼不安・恐怖というよりは・・・
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これら家族や仕事(人生のタスク)に対する気持ちは、どちらかというと、不安や恐怖というよりは、「切なさ」や「悲しさ」、「さみしさ」という方がより適切かもしれません。
大切なヒトや大切にしてきたモノといずれは別れなければいけないという気持ちから生じるものと思われます。
「愛情」や「いとおしさ」の裏返しとも言えると思います。
仕事に関しても、せっかく長い時間を費やして得てきた経験や知識が無駄になってしまうというさみしさからくる感情が近いのではないでしょうか?。

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▼無理に対処しなくてもいい?
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長年連れ添ってきた大切なヒトとの別れがつらくない人はいないと思います。
そのつらい気持ちを無理に抑え込んで、ないものにしてしまってはいけないような気が僕にはします。
とはいえ、「切ない」「悲しい」「さみしい」と悲嘆にくれて過ごしてしまうのは、貴重な残り時間の無駄遣いになってしまいそうです。
今から無理にたくさん良い思い出を作ろうとする必要はないと思いますが、貴重な時間を大切なヒト・モノと過ごしているという自覚をもって過ごしていくという意識は必要だと思います。

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▼まとめ
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現実的に、残される家族や仕事をどれだけ心配して、どれだけ準備・用意をしても、結局その人たちがその後の人生を自分自身で何とかしていかなければならないわけですから、大切にすべきは未来ではなく、現在ということになるのだと考えます。
「今を大切に生きよう!」という言葉は、だれでも、何度でも聞いたことがあると思いますが、意識して実践している人はめったにいない気がします。
「がん」であろうがなかろうが、大切なことは同じであることを再認識し、改めて「今」を大切にしようと思いました。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回もどうぞよろしくお願いいたします。

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