SynthesizerV表現調整テクニック講座 表現調整編 #04 有声/無声音

こんにちは。SynthV音屋の十竜です。
この講座はなんぞや、という方はまずは導入編を読むことをおすすめします。
SynthesizerV表現調整テクニック講座 導入編
※本記事は日本語を使用しています。英語・中国語でも応用可能ですが、解釈が大き変わる場合もあるのでご注意ください

表現調整編 #04 有声/無声音

有声/無声音は、テンション・ブレスに比べると使用頻度は下がるものの、箇所表現の向上においてはとても重要なパラメータとなります。

有声/無声音を上下するとかすれるような声になったり、そうでなくなったりします。それだけでなんとなく効果はわかりますが、そもそも何をするものなのでしょう?

有声音、無声音というのは声帯を振動させて発音しているか、という要素で区別されます。言語の発音にも表れているもので、例えば「さ」は無声音、「ざ」は有声音となります。

どの音が有声音か無声音かという話は音声学の分野になりますので割愛しますが、なんとなく理解できれば「有声/無声音」で得られる変化というのがどういうものかの想像がつきやすくなるかと思います。

有声/無声化は引き算

パラメータパネルを見ると、有声/無声音のみデフォルトの値が最大、つまり有声音になっています。つまりこのパラメータを変化させる場合、基本的に無声音にどれくらいのよせるかで考えることになります。

実際に触ってみると、無声音にふればふるほど細くかすれた様な声になります。

「氷頂」最後の有声/無声音の調整

歌唱表現をさらに深める

有声/無声音ははっきりと声を抜くような変化が現れるパラメータです。しかし、テンションやブレスと違い、楽曲を通して大きく変化し続けるものではありません。

「声を抜く」と表現されるように、有声/無声音を有効に利用できるのは限定されることがほとんどです。例えばフレーズの最初に少し落ち着いた声から始めたり、終わりで声を抜いていったりというような短い区間での利用がメインになります。

実際に使ってみる

ずっと言葉で解説しててもなんなので、実例で考えてみます。

フレーズ冒頭

フレーズの冒頭で、最初からはっきりと発音せずに弱めの発音から立ち上がる、というケースを考えてみます。
テンションやブレスで最初は声を抑えておく、といった方法が取れますが、ここに「有声/無声音」を加えて少し表現を深めてみます。

ノートの発音開始の少し前で有声/無声音を下げておき、発音が始まったら最大に戻します。すると少し息づかいが変化し、より抑えめの発音からはっきりとした発音への変化が生まれます。

フレーズの最初で少しだけ下げてみる

フレーズ終端

フレーズの終わりにおいては発音の最後に息を残すような、いわゆる「声を抜く」という表現が可能です。

ノートの終わりで有声/無声音を大きく無声音にふると、このような表現が可能です。同時にブレスも「ささやき」にふるとより自然な表現が可能です。

フレーズ終了で下げてみる
例では長めのノートだが短いノートにも有効

他のパラメータと相乗させる

ここで紹介した有声/無声音の使い方は細かな表現の付加という側面が強いため、他のパラメータと同時に動かすことでより強い変化を得ることが可能です。

例ととしては、先ほどからも使用している「ブレス」を「ささやき」にふって有声/無声音も下げる、「テンション」を下げると同時に有声/無声音も下げる、といった用法があります。

ブレスをささやきに振りつつ有声/無声音を下げる

また、ピッチ変化とも相乗させることができ、ノートの末尾でピッチを急激に上げる・下げると同時に無声音に振ることで息を抜いたりという表現をすることもできます。

ノートの末尾でピッチを上げつつ有声/無声音を大きく下げる

更新履歴

2023/11/16 画像追加


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