SynthesizerV表現調整テクニック講座 音素編 #05 子音
こんにちは。SynthV音屋の十竜です。
この講座はなんぞや、という方はまずは導入編を読むことをおすすめします。
SynthesizerV表現調整テクニック講座 導入編
※音素編は基本的に日本語特化です。
#05 子音
子音とは主に何らかの方法で通気を阻害することで発せられる音です。歌唱中の発音時間で占める割合は少ないながらも言葉を認識するためには必須の音素です。そして子音の発音の特徴を応用することで、言葉の認識を超えて様々な歌い方を表現することができます。
子音の発音タイミングと長さ
子音を調整する際にまず念頭に置くべきことは、子音がどのタイミングで、どれくらいの長さで発音されるか、ということです。
結論からいくと、子音はノートの直前で発音されます。そのため、子音に対してピッチやブレスなどを調整する場合は実際のノートの少し前に手を入れることになります。
日本語においては通常、ノート直前に発音された子音とノートの開始と同時に発音された母音で一音が認識されます。そして、子音の長さは音素や直前のノートによって変化します。
発音タイミングと長さによる表現
発音タイミングと長さの調整だけでも一部の歌唱表現を再現することが可能です。
例えば発音を遅く、長さを長くするとそのノートの発音に大きな溜めを作ることができます。逆に早く、短くすると少し前のめり気味で急かすような歌い方になります。極端に短くした場合、口がおぼつかないような曖昧な発音を表現することができます。
子音の区間を見えるようにする
多くの場合は直前にノートがあるので子音の発音区間が視認できますが、先頭のノートになると子音の正確な発音区間が分からなくなります。これでは調整しづらくなるので先程の画像でも行っているように一つ前に || sil || 等ののノートを置くと視認できるようになり、調整しやすくなります。ただし、|| sil || であってもノートを置くとピッチなどに影響があるので注意が必要です。
子音に影響するパラメータ
子音もパラメータパネルで強さや音色を調整可能です。しかし母音とは異なる考え方が必要です。
子音は主に通気の阻害によって発せられます。通気とは吐き出す息のことなので、子音の調整においてまず注視すべきは息の量を調整する「ブレス」となるでしょう。摩擦音・歯擦音・送気音に関しては通気の阻害による影響が大きいため、「ブレス」を「ささやき」に振ると波形でもわかるくらいに強い発音になります。
そして子音にほ有声・無声の区別があることから「有声/無声音」による変化も大きくなります。有声音の子音を無声音にすると、完全にとはいかないものの無声音の発音に近い発音が聞こえるかと思います。
と、軽く紹介はしたものの子音の発音には様々な種類があるため一概に説明することは困難です。このあたりは各子音別で効果を記載する予定です。
経過音素・装飾音素としての子音
経過音素として母音を差し込めるように、子音もノート間の細かな部分で差し込むことでより深い表現が可能になります。
実際、どのような音が装飾音素となるのか例をいくつか挙げてみます。
通気を閉鎖する装飾音素
鼻音や破裂音の直前や主音素の終わりなどで口の中で通気を塞ぐような別の音素が入ることがあります。この音は鼻音、もしくは声門閉鎖音に近い発音方法をとるので、「ん」の発音になる || n, m, N || を使うことで表現します。
息を付加する装飾音素
主音素の発音前に先行して息を出したり、発音後に息が残るというような表現を考える時にこのような装飾音素を使います。こういった表現はブレスを変えることでも近いことができますが、装飾音素はそこにさらに音を付加します。
息による表現ゆえに持続的かつノイズのようなな音が特に装飾音素となり得ます。無声摩擦音である || h, s, f || あたりがこの用途としては主な装飾音素です。これらの音素はブレスや有声/無声音をうまく変えることで呼吸音としての応用も可能です。
母音の代理としての経過音素
半母音 || w, v, y || は母音の代用ができるため、その代用として経過音素に子音を用いることもできます。ただしノート上の配置やブレスなどのパラメータは子音の挙動をとるので注意が必要です。
参考楽曲
遼遠の恋
https://www.nicovideo.jp/watch/sm43488672
綾を撮る
https://www.nicovideo.jp/watch/sm43373944
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