SynthesizerV表現調整テクニック講座 音素編 #03 主音素・装飾音素

こんにちは。SynthV音屋の十竜です。
この講座はなんぞや、という方はまずは導入編を読むことをおすすめします。
SynthesizerV表現調整テクニック講座 導入編
※音素編は基本的に日本語特化です。


#03 主音素・装飾音素

いきなりSynthVに存在しないしそもそも聞いたこともない用語がタイトルになっています。それもそのはずで、この記事で定義する用語はこの講座の説明のために勝手に定義した言葉です。

今後この用語が指す概念は重要になりますので、講座内での定義をまずは解説していきます。

主音素

主音素とはノートに割り当てられたメインとなる音素です。SynthVでの作業の最初でノートに歌詞を入力しますが、このときの歌詞通りの発音が基本的には主音素となります。

「主論α」より
歌詞どおりの発音

主音素の構成

主音素は通常、各音素で単独の「母音」「半母音」「子音+母音」で構成されます。(SynthVの音素のカテゴリに準じます。)

「母音」「半母音」は単独で「あいうえお」に割当たります。また、「ん」|| N || も母音カテゴリであり、単独でノートに割り当たるので主音素となります。
母音の直前に単独の子音を追加したものが「子音+母音」になります。また、SynthVの挙動上子音と半母音を一つのノートに入れるとノート内で等分されますが、分割して「子音+母音」と同じ形を作ることで主音素として扱えます。

主音素の構成

また || N || の代替の || n, m ||、表現として || s || を単独でノートに配置するなど、一部の子音も主音素の形態を取り得ます。

装飾音素

装飾音素は端的にいうと主音素以外の音素です。
歌唱においては歌詞にある音のみではなく、主音素間やその前後で、口の形状に変化に応じて瞬間的に発音される音が存在する場合があります。これらを再現する場合、一つのノートに主音素以外の音素を含めたり、ノートを追加して付加的な音素を入れたりします。ここではこれを装飾音素と定義します。

用語がとり得る範囲が広いのでもう一段掘り下げてカテゴライズします。
ただし厳密に分類できるものではなく、感覚による部分が大きいことをご留意ください。

経過音素

装飾音のうち、口の形、開き方の変化に応じて付加する音素を表します。主に母音の装飾音素が当てはまります。
例として || a || から口を狭める発音に移行するときの || u ||、ノート終端での || N || 等があげられます。

「烏の旗」より
橙枠のノートの末尾に経過音としての || u || が含まれている

装飾音素

装飾音素のうち、通気を妨害することで発生する音素を表します。主に子音の装飾音素が当てはまります。
例として、主音素から || m, p, b || に移行するときの || m || 、主音素間の瞬間的な || N || などがあげられます。

「主論α」より
主音 || e || の末尾に || N || を僅かに発音する

修飾音素

後続の主音素に発音の変化を与えることを目的とした音素です。この音素が現れるのは必ず主音素の直前となります。
例として、後続の主音素を強く発音させるための 'cl' などが挙げられます。

「烏の旗」より
「げ」を際立たせる目的の 'cl' が直前のノートに含まれている。

一つのノートを構成する音素

各用語の定義を解説しましたが、これらの音素が実際どうノートに入るのでしょうか。

多くなるパターンとしては主音素+任意の装飾音素一つとなるでしょう。単純にノートの最後に母音や子音を入れるパターンです。

そこから更に拡張していくと主音素+経過音素の後にわずかに 'N' があったり、逆に主音素+装飾音素の間に母音が挟まっていたりします。スローテンポな曲だったり、単純に解像度を高めていったりするとまた別の装飾音素が見つかる場合もあります。

'cl' などで後続の主音素素に影響を与える場合はこれもノートの末尾に加わってきます。

ノートに主音素と装飾音素をそれぞれ一つずつ含めたとすれば、通常取り得る1ノート中の音素数は最大4-5つとなるでしょう。もちろんそこまで数が増えることは稀で、だいたいはそのままか装飾音一つ付加するというものにまります。

変更履歴

2024/01/21 SynthVの音素表記方法を変更

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