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黒髪と茶髪、どっちが大人っぽく見える?

染めるべきか、染めざるべきか。

大学生になって軽音サークルに入った私は、周りが茶髪や金髪になっていくのを見て思った。

高校時代ろくに彼氏も作らず勉強ばかりしていた私は、もちろん髪を染めたことなんてない。周りの友人も姉もみんな黒髪だったので、染める・染めないという選択肢を考えたことすらなかった。

だが、バンドマンたるもの染めておいた方がいいのではないか、という偏った思考のもと、染めるかどうか悩んでいた。気になるなら一度染めてみればいいものの、私を悩ませていたのは「黒髪と茶髪、どちらが大人っぽく見えるのか」だった。

他の追随を許さぬ丸顔大学生だった私は、大人っぽく見られることに強烈な憧れを持っていた。下手すると高校生にも見られかねない、芋女っぷりを発揮していた私。メイクをしたことも髪を染めたこともなかったので、大人っぽいサークルの先輩方に近づきたかったのかもしれない。

自分が茶髪になるイメージがどうしても持てず、一旦染めてみて、どっちが大人っぽく見えるか比べてみることにした。せっかく染めるのだから、表参道とか渋谷のカラーが上手な美容室に行けばいいものを、中学時代から通う美容室で染めてもらった

染めた印象は、なんともいえない、だった。髪色に興味がなさすぎて、染めた後ですら、黒髪と茶髪どちらが似合ってるのかわからなかった。どっちかわからないってことは、どっちでもいいってことだよな、と1人で納得。カラー代をケチって髪を染めなくなり、1年後には完全な黒髪に戻っていた。

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社会人になっても相変わらず黒髪をキープしていた私。仕事や会社にも慣れてきた頃、近場の美容室で、勧められるまま髪を染めることになった。髪色に無頓着な私は、明るさに番号があることを初めて知ったし、茶色は茶色しか知らなかった。流行りのアッシュもベージュも色の違いがわからず、美容師さんおすすめの色にしてもらった。

何を思ったか、パーマもかけた。のびた分の髪を切るくらいのテンションで来たはずなのに、思いがけずイメチェンしていてびっくりした。いや、私がお願いしたんだが。

髪を染めてから初出社した日、お世辞にしては褒めすぎなほど、新しい髪型は好評だった。特に女性の先輩からはベタ褒めオブベタ褒めで、逆に前の髪型がどれだけひどかったのか不安になるほどだった。

同じ部署の先輩で数年後結婚することになる夫は、黒髪メガネだった当時の私を「オタサーの姫なんだと思ってた」と証言する。それでなぜ結婚しようと思ったのか全くわからないが、私が気付いていないだけで、本当はとっくの昔から茶髪の方が似合ってたのかもしれない。丸顔の私が大人っぽく見えるのも、自分の良さが引き立つのも、どうやら茶髪一択だったようだ。

思いがけずイメチェンしたあの日から早5年、私の髪は栗色のカールを維持している。

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