平成最後

平成最後の日
彼のご両親に挨拶をしてきました。
平成最後の緊張をしました。

家に帰ったら、平成最後の何をしましょう。
結局なにをしたって、平成から令和になったって、別に何かが変わっちゃうわけではないのですけどね。

けど、たぶん、何十年か後にまた平成最後の日を思い出すことがあると思うのです。

ああ、あの日、平成最後だからって何をしたっけな。
緊張したり、笑ったり、ぐっすり寝たりしたんだっけか。
何にも変わり映えはしなかったよ、今となっては世間もどうしてあんなに騒いだんだろうって思うよ。

でも平成最後のあの日、震える寒さと共に目覚めて、小綺麗になるための準備を済ませて、思ったよりも暑くぬるい曇り空の下で、初めて履いた黒のパンプスを気にしながら、平成最後のあの日、たしか私たちは何時間も笑い声を上げていた。

そのとき肌にまとわりついたあの空気は、きっとあの日にしか得られぬものだった、と私は今も思っているんだ。

平成最後というキャッチコピーは、私たちの今日に固有名詞を与えてくれました。
いつか思い出話になることで、今日この日が特別なものとなってくれることでしょう。