希望は捨てない。

*今朝SNSに投稿した文章を、一部加筆・修正してこちらに転載します。


第26回参議院議員通常選挙(参院選)は、昨日7/10に投開票が行われました。
https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/sangiin/


この結果を皆さんはどのように受け止めたでしょうか。

予想通りだった、思ったより与党/野党が伸びなかった、推していた候補が当選して嬉しい、など、感想はきっと人それぞれだと思います。

確実に言えることは、いよいよ改憲が具体的に動き出し戦争のできる国へと向かっていく、社会保障が削られる一方で軍事費だけは青天井で増えていく、賃金が上がらない中で物価も消費税も上がり続ける、格差は拡大し社会的弱者は切り捨てられる、特に女性や子どもの権利は蔑ろにされ、同性婚や選択的夫婦別姓の実現は遠のき、外国人への差別はますます増していく、そんな社会になるということです。

上に並べたものはあくまで一例ですが、今回の結果によってそうなることはわかっていたはずです。それでも多くの人が与党に票を投じ、そのような社会にお墨付きを与えた事は恐ろしいことだと思います。とても悲しく辛いことに、権利や暮らしといったものを軽んじる人々がすぐ近くにいるのだということを意識しながら生活していかなくてはなりません。

そしてここまで至ってもなお、有権者の半数近くが投票にすら行かないということに虚しさを覚えます。政治が私たちの日常に直結していること、今がまさに危機であること、いくら訴えてもやはり届かない人には届かないということでしょう。


当店は今日でちょうど開店から6年半となりました。この先10年15年と続けていきたいと思っていますし、そのつもりでいますが、今後どのようになるかはわかりません。消費税を含めた諸々の税金が上がり、インボイス制度が始まれば、廃業を余儀無くされる個人事業主が増えるのは間違いないことです。

個人店だけではなく、当店がお付き合いしているようなクリエイター、作家さん、それから本を作るのに欠かせないフリーランスのライターやカメラマン、翻訳者、デザイナーといった業種の方々なども苦境に立たされます。「それでも仕方ないでしょ」と社会から言われているようで、心が苦しくなります。

そして、それは個人で働く人以外にもじわじわと影響が出てきます。今すぐに大きな変化は起きなくても、数年の間にお気に入りのお店は潰れ、好きだった作家さんは活動をやめ、質が高く意欲的な出版企画は世に出なくなるでしょう。そういったものを続けるための体力も生み出すための気力も無くなってしまうからです。

そうであっても「それで良い」と多くの人に判断されたのだから、ここに書いても仕方のないことかもしれません。この先の暗い時代を思うと、目を覆いたくなります。



ですが、絶望だけしているわけにはいきません。昨日の選挙の結果でも、いくつかの希望は見えました。その灯りを消さないように、途絶えさせないようにしなくてはいけません。撒かれた種を上手く育てていかなくてはなりません。改憲も増税もインボイスも間違いなくやって来ますが、まだそれらを遅らせ止めさせるだけの時間はあります。諦めたら本当にそこで終わりです。

幸い、思いや志を同じくする人も大勢いることがわかりました。支え合い、寄り添い合い、守り合っていきましょう。

今回の選挙の結果を受けて落ち込んでいる方、体や頭がずっしりと重い方、目の前が暗くなっている方、大丈夫、同じ思いです。今すぐに無理して顔を上げる必要はありません。ある程度想像していたことであっても、やはりとても傷つき、疲れたでしょうから。まずはしっかり休んで、それからまた立ち上がりましょう。それぞれが学び、考え、伝え、そうやって力をつけましょう。恐れに絡め取られることなく、信じて歩いて行きましょう。

私たちは負けません。

希望は捨てません。


2022.7.11
ひるねこBOOKS
小張隆


追記;
イラストレーター・のだかおりさんが、このような記事を書いてくださいました。

若い世代の選挙に対する意識や投票行動もどんどん変わっています。「投票率が低い」と嘆くだけではなく、具体的にどのようなことができるのか、どんな風に伝えることができるのか、真剣に考えるべき時です。

進むべき道は決して間違っていない、今はどんなに細くて険しく頼りない道でも、少しずつ広げていくことはできるのだと、心からそう思っています。

その先にあるものを信じて。


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