子どもや情報弱者が自由診療(美容)にだまされないように

私はIT業界に長年いて、日常のようにネットのダークサイドをみてきた。なので、ネットも動画もSNS等も、どこか分析的に見てしまう傾向がある。職業病なのでしょうがない。

しかし、最近、各種SNSや動画で、「小学生が、まぶたが一重でコンプレックスなので親の同意のもと二重整形した」という動画ふくめ、未成年への自費の美容医療の宣伝コンテンツに、心を痛めている。また、「鼻は高いほうが良い(ので、鼻の壊し屋や鼻のスペシャリストを自称する医師が現れる)」「肌は白いほうがよい(美白至上主義なので、美容皮膚科があふれる)」「目のクマは不健康にみえる(思い込み)」など、住んでいる国や文化が変われば、美の基準は変わるのに、東アジアのコンプレックスを狙ったかのような、集客深堀りを狙った宣伝に、医療モラルが崩壊しているようで、残念でならない。

なお、私は10代の時にアメリカにいたが、路上で、黒人同士が色の黒さでカッコよさを自慢しており、そこに現れたアフリカ出身の黒人(移民)が、「俺のほうが黒い。お前(黒人)は白いなー」といってマウントしていた光景を見かけたことがある。場所が変われば、黒ければ黒いほどマウントがとれる、という美的感覚だってあるのだ。

今の10代はスマートフォンを持っている子が多く、彼らはwifiで自由に動画を閲覧したり、検索をしている。保護者が彼らにペアレントコントロールで制限をかけたとしても、また別の端末からアクセスを試みたり、制限を破る方法を考え付く。興味に基づいてターゲティング広告をだしてくるので、ひとつの価値観から離れにくい。私も10代を育てる親だからこそ、現代の闇は、他人事とは思えない。

自費で受けた美容医療の修正医療やトラブル治療は、保険診療の病院では、大病院でも断られることがある。自由診療で、美容目的で受けた医療に対する、保険医の風当たりは未だに強い。結果、美容医療難民が発生することになる。

美しくなるために、大事なことは、どの時代も、睡眠と栄養だ。極端な行動は不要だ。日焼け止めはぬった方がよいが、日焼けを気にしすぎて、日光を避け続けてビタミンD不足になれば、不妊不育や、鬱にもつながる。何事も、ほどほどに。

そんな私も、思い返せば、10代で一重であることに悩んだが、加齢で自然に二重になった。つまり、人の顔のパーツは自然に変わる。また、太ったり痩せることでも、顔は変わる。ぽっちゃりだった10代から、ガリガリの40代で、私の顔面は変わったと思う。ガリガリになったのは、美容の脂肪吸引ではなく、三児の親として動き回っていたら、摂取カロリーより消費カロリーが増えただけだ。ダイエットという大げさなものでもなく、日常がハードすぎて、食べなければ痩せていくというループにいるだけだ。

一重のほうが、皮膚がたるむ部分が少ないので、若々しく見えるのでは、と中年になってからは思ったりする。そしてつくづく、当時は、美容医療に簡単にアクセスできない時代でよかった、とも思う。雑誌に美容整形のビフォーアフターが載っているくらいで、実情は、固定電話で病院に電話をかけなければいけないという、心理的ハードルが未成年に高かった時代だから。

子ども時代に美容整形をすることは、おすすめしない。顔や美的価値観が変わりうるからだ。それを、保護者として同意して責任をとるには重すぎる。情報弱者になりがちな子どもたちが、餌食にされないように、そして、中年以降の我々も、肌の再生医療やら若作りやらの宣伝で、だまされないようにしてほしいと願う。私たちは、私たちのままでよいのだから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?