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脳内哲学対話:好きと必要の探求_その2
前回は↓リンクから。
登場人物
知性(ソフィス)
素直(ホーネスト)
奔放(アマノウズメ)
創造(イデル)
怠惰(ラッセル)
根暗(ブラック)
前回のあらすじ
「好きだから必要なのか、必要だから好きなのか」という言葉をテーマにして6人で哲学対話をしていました。6人はそれぞれの意見を述べ、「好き」と「必要」の関係について深く掘り下げます。ソフィスが中心になって対話を進行し、言葉のもつ性質まで話は展開されました。そしてブラックが「そもそも「好き」になってもらえない、「必要」だと思ってもらえない。そこが大きな問題だって思わない?」とみんなに投げかけました。
本編
ソフィス:ブラック君。君は自分が相手を好きか、相手を必要としているかどうかよりも、相手から好きになってもらえるか、相手から必要とされるかを問題にしているということかね?
ブラック:そうだよ。自分が好きでも、必要としていても相手がそう思ってくれないなら意味ないよ。
ホーネスト:それは自分が好きだって気持ちも、必要だって気持ちも意味がなくなるってこと?
ブラック:意味ないよ。相手から好きになってもらえなきゃ、必要だと思ってもらえなきゃ……。
アマノウズメ:ブラックちゃん。俺様からも聞いていい? ブラックちゃんは、好きになってもらえる、必要だと思ってもらえる、どっちを重視してるわけ?
ブラック:どっちも重要だよ。好きなってもらえたとしても、それだけじゃ不安なんだ。自分が相手の役に立ってないって思うと。
ホーネスト:ボクだったら好きになってもらえただけで嬉しいし、その気持ちを素直に受け止めてたいな。
ブラック:僕もそう思いたいよ。でも好きになってもらった相手の役に立ってなかったら、それは対等じゃない気がするんだ。
イデル:純粋に疑問が浮かんだのだ。なんでブラックは、相手と対等になるために、役に立たなきゃいけないと思うのだ? 対等になる方法は、他にもあると思うのだ。
アマノウズメ:そーだよな。俺様だったら、好きになってくれた相手を好きになる。これで対等だぜ。
ブラック:僕が好きになっても、なんの価値もないよ。だから相手と対等の関係になるためには役に立たなきゃ。
ラッセル:なんさー。聞いてると、本当は対等になりたいと思ってない感じがするんだよねー。対等になりたいじゃなくて、対等にならないといけない。そういう感じがするんだよなー。
ブラック:ラッセルの言う通りだよ。僕は……本心では対等になりたいって思ってないよ。でも対等じゃないと相手に迷惑な気がするし、それに世の中が対等なパートナーシップとかって言うでしょ。だから相手の負担になっちゃいけないんだ。それは罪なことなんだ。
ソフィス:「好きだから必要なのか、必要だから好きなのか」から始まったこの対話も遠くまで来てしまったようだね。ブラック君が対等性を強迫観念のように感じているというのはとても興味深いね。対等性というのは本来、人間関係において、良いものだと思われているものだが、ブラック君にとってはそれが不安感や強迫観念に繋がっている。
ホーネスト:ブラックが出した問いは、今回のテーマが見落としてる部分かなってあらためて思ったなー。このテーマには相手がどう思うかってことが抜けてるよね。好きだから必要になるのかにしても、必要だから好きになるのかにしても、相手がどう受け取るのか、考えてない気がしてきたよ。
ソフィス:好きだから必要になるにせよ、必要だから好きになるにせよ。対等な人間関係の中から発生する言葉ではないということなのかもしれぬ。
ラッセル:なんかさー。もっと緩やかでいい気がするんだよね。なんとなく一緒にいるとかダメ?
ホーネスト:ボクもなんとなく一緒にいたいな。好きだから必要だとか、必要だから好きとかそんなことどうでもいい気持ちになりたい。それがなんとなく一緒にいるって感覚かな。
ブラック:そんな相手見つからないよ。
アマノウズメ:そういう相手は、見つけるものじゃない気がするぜ。そういう関係になれそうな相手を拾うんだよ。
イデル:穏やかな関係性を築けそうな相手を探してくれるアプリを開発するのだ。
ソフィス:そのようなアプリをどう開発するのか、興味深くあるが、テーマからだいぶ遠くに行ってしまっている。
イデル:哲学対話はどこまでも遠くに行っていいのだ。それが哲学対話の良さなのだ。
ブラック:アプリの話が出たから、マッチングアプリの話するけど、マッチングアプリは今回のテーマの次元じゃない気がする。もっとドライな、もっとえげつない世界な気がするよ。
ソフィス:マッチングアプリなるものは、必要だから好きの究極形に見える。
(ここでスマホのタイマーが鳴った)
ホーネスト:みんなありがとう。今日のこのテーマでの哲学対話はこれで終わりたいと思います。哲学対話は唐突に終わるものです。まだ何か話したいことがあるかもしれないけど、そのモヤモヤをおみあげにしてそれぞれ考えを深めてほしいです。
今日は本当にありがとうございました。
(おわり)
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