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俳句とエッセー⑤『 海 山 村 Ⅱ - 空飛ぶ話 』 津田緋沙子


    平 成 三 十 年


  空 飛 ぶ 話


面 会 の 保 護 司 林 檎 の 袋 持 ち

自 動 車 の 空 飛 ぶ 話 日 向 ぼ こ

花 屋 に は 花 の か を り の 初 氷

霜 柱 踏 む 三 才 の 子 の や う に

古 文 書 の 読 み 解 け ぬ 夜 冬 の 雷

臥 す 人 の 耳 す ま し ゐ る 冬 の 雷

寒 雷 や い よ よ 小 さ き 峡 の 里


  葉 っ ぱ に 会 い に


 十一月下旬、諌早市上山公園の自然観察会に参加した。山全体
がーつの公園となっているこの森は、長崎県では唯一 「森林浴百
選」に選ばれている。地元の上山小学校健全育成会が始めた親子
で楽しむ自然観察会は、三十三回めを迎えた。
 今回は、講師の自然保護協会メンバーが前日に採集した公園の
樹木の葉っぱを各々がーつ選びとり、森にその葉っぱの木を探し
に行こうという企画である。福引のように葉っぱを選んだらまず
観察、 スケッチ。子ども達の目は鋭く発見の言葉が飛び交う。
 前日の雨で森は苔が美しい。葉っぱを片手に目をこらして木々
を観察してゆくが、似て非、見つけるのは難しい。しかしその度
に子ども達は葉の色、光沢、鋸歯や葉脈の違いや木の特性を学ん
でいく。そして自分の葉っぱと出会った時の歓声! 以降はきっ
ちり自分の木を見つけ、当てていくのがすばらしい。全員が自分
の葉っぱの木と出会った日。 この日の思い出はきっとこれからも
上山の森を守っていくだろう。
 子ども達への最後の課題はスケッチに俳句を添えること。心に
残る森林浴の一日だった。


琵琶の葉、生命力に溢れている。


秩序と統一、そんな言葉が浮かんだ。
豊饒の森、幾層にも木々が重なり、成長していく。
椎の木、優に30mはあるか


下記をクリックいただき、『海山村Ⅱ―負けず嫌い』もお読みいただければと思います。 



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