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本のにおい、好きな方いませんか?
海外では本のにおいのフレグランスも発売されるほど。
http://perfumeshrine.blogspot.com/2013/10/smell-of-books-sans-books.html?m=1
確かに、本にはにおいがあります。
ではどんなにおいでしょうか?
まず、どんなにおいかを想像してみてください。

想像してから読み進めると、なるほど!と思えます。
さて、深掘りすればするほど、研究できそうなテーマなのでさわりを少し。

まず、本の構成成分、紙について。

紙は基本原料として木材からできています。
木材を原料としてパルプを作ります。
紙を作るには、木材からリグニンというものを取り除きます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/リグニン
リグニンには、着色する性質があります。
木材が古くなると茶色くなり、黒くなってきませんか?

パルプを作るとき完全にリグニンを取り除ききれないまま、
紙にしてしまい年数が経つと紙も茶色くなります。

古本のページをめくると、何となく甘いにおいがしませんか?
具体的に言うと何となくバニラのようなにおい。

そう、バニラのにおいの主成分、バニリンというにおい成分があります。
バニリンも茶色く着色する性質があります。バニラビーンズ、茶色くありませんか?

リグニンも甘いにおいがするようです。
リグニンはバニリンの原料にもなるので紙が茶色くなって甘いを放つのです。
古本の紙が甘いにおいがするのは、木材由来です。

そして、もうひとつウンチクを。
かつて、製紙会社がバニラのにおいの主成分のバニリンを作っていたのです。
におい成分のバニリンをなぜ製紙会社が作っていたのか?
調香師になったばかりの頃、不思議に思っていました。
そう、紙を作るときに出る、副産物、リグニンは取り除くものだからゴミですね。
紙を作るときに出るゴミからバニリンが作られていました。
ちょっと複雑ですね。

そして、連想ゲームのように、においを覚えようということを拙著「嗅ぎトレ」で書きましたが、ここでも役立ちます。

本のにおい→バニラ(バニリン)→紙→木から作る→木にはリグニン→茶色くなる→本が茶色くなる→古い木材も茶色くなり黒くなる・・・・
連想ゲームのように繋げると、点が線になるように理解が進みます。

また、本のにおいを分析した結果があります。
https://www.businessinsider.com/why-books-have-such-a-distinctive-smell-2014-6
それによると、本のにおいには以下のような成分があります。
(くわしくはサイトの資料を読んでくださいね)
バニリン→紙由来ですね。
https://ja.wikipedia.org/wiki/バニリン
ベンズアルデヒド→杏仁豆腐のにおい、マジック「マッキー」のにおいに似ています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ベンズアルデヒド
バニリンとベンズアルデヒドは、においは違いますが、構造が似ています。

似ているものは相性がいい!→これは覚えておいてください。

エチルベンゼン・トルエンなどもにおいに寄与しています。

話が色々広がってしまいますのでこの辺でまとめますが、古本のにおいが何となく甘いのは、木材由来。
話はさらに広がるのですが、このあたりで1回目のお話はおしまい。
(多少、簡単にしすぎたので矛盾がありますが、許してください。拙著「嗅ぎトレ」でも、難しい説明をはしょっているから、専門家から指摘という名の、「違うだろ!」といわれたり・・)

ちょっと専門的に広げすぎましたが、本に書くウンチク候補であったネタのひとつです。

メルマガ#01より


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