ロックスター

「はじめまして、今日はよろしくお願いいたします」
「ヨロシク~、英六社の笹川さんにはいつもお世話になってます」
「ああ、笹川は今日急用でこれなくなりまして、それで私が急遽・・・」
「ああ、そういうことね。今、売れっ子だもんね笹川さんも」
「いえいえ・・・早速ですが、3年ぶりのニューアルバム『悲しみの三角州』を出されまして・・・」
「え、ちょっと待って、そんなの出してないよ」
「え?あ、違う・・・『街角のニューウェイブ』ですね」
「いや、ちがうよ、それウチらじゃなくってオフィシャルマーメイドのシングルだよ」
「え?あれ?そっか・・・」
「ちょっと錯綜しちゃってるかな?」
「ははは・・・すみません、夏川さん」
「え、ちょっと待って、それ本名だけど、何で知ってるの?」
「あっ、ゴメンなさい」
「別にいいんだけどさ」
「あれ、資料が違うのかな・・・」
「うん、そういうこと事前にちゃんと準備しないとインタビューなんてできないよね?最低限のマナーとして。急遽の代役ってのはわかるけどさ・・・時間もないだろうし」
「いえ、時間はたっぷりありました」
「あったんだったらちゃんとしろよ!」
「あの、私、来月この会社辞めることになってまして」
「知らないしそんなこと・・・俺に関係ないだろ?」
「笹川曰く、夏川さんは面倒くさい、と聞いてまして、それで無理やり私に・・・」
「なんだよそれ!笹川も笹川だし、オマエもいちいちそんなこと本人前に言うなよ!それと本名で呼ぶな!サマリバーって呼べよ!」