韓国のウィズコロナ政策は失敗だったのか?
こんにちは森田です。
新型コロナも日本では「なぜ?」というくらい落ち着いておりますね。
たしかに日本は平和なんですが…実はお隣の韓国は感染者数が過去最高となり、とんでもないことになっています。
韓国の状況
韓国では、感染者があまりにも増えすぎてるので、大統領が昨日(令和3年12月18日)から「ウィズコロナを断念する」と謝罪しました。
そう、実は韓国はこれまで「ウィズコロナ政策」をとっていたのです。
ウィズコロナというのは、簡単に言うと
「厳格な感染対策・行動規制を緩め、経済活動や日常生活を通常に戻していこう」
という動きです。韓国では11月始めからこの「ウィズコロナ政策」で様々な規制が緩和されてきました。
このグラフを見るとそれがよくわかります。
出典:https://graphics.reuters.com/world-coronavirus-tracker-and-maps/ja/countries-and-territories/south-korea/
赤い部分が一番厳しい「全面的にロックダウン」、オレンジ部分が「部分的にロックダウン」。
で、一番右の11月辺りからはグレーの「ロックダウンなし」になっています。つまり11月から「ウィズコロナ」ということですね。
一番上の実線が感染者数の推移ですが、その「ウィズコロナ」が始まってからいきなりグーンと伸びています。過去最高というか、そんなレベルを超えた過去最高です。これを見ると、韓国のウィズコロナは確実に失敗に見えます。
ただ、もう少し視点を広げて日本と比較してみるともう少し深い考察が出来ます。
日本の状況
で、日本がこんな感じ。
出典:https://graphics.reuters.com/world-coronavirus-tracker-and-maps/ja/countries-and-territories/japan/
感染者の数でいうと、御存知の通り日本は現在ほぼゼロまで減ってきています。韓国とは偉い違いですね。
それはそれで素晴らしいことなんですが、韓国と比較でもう一つ気づきます。そう、ロックダウンの強さが韓国と比較して日本のほうがかなり緩いんですね。赤いところは殆どない。コロナではじめの第1波、最初の緊急事態宣言はみんなかなりビビって自粛しましたし、夏の第5波のときオレンジの「一部閉鎖」がありますが、その他はずーっと「閉鎖を推奨」という緩いレベルの対策(いわゆる強制ロックダウンではなく自粛レベルの対策)を続けています。
日韓を並べてみるとこんな感じ。
こうして比較してみると、確かに韓国のウィズコロナが感染を助長しているようにも見えます。
ですが逆の見方をすると、韓国はロックダウンをしすぎて、これまでの感染が少なすぎた(だから少し緩めただけで爆発してしまった)ようにも見えてきます。
これがもう少し良く分かるのがこちらのグラフ。
感染者数を「その日の数値」でなく「累積」でみています。
出典:https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/index.html?p=9&x=1&df=7&f=y&n=j&a=1&y=0
そう、実は韓国は今現在爆発的に増えているものの、累積の感染者数で見ると、まだまだ日本より少ないのです。これは死者数で見てもだいたい同じ感じです。
韓国はちょっと前までは感染者が非常に少なく、だから「感染対策の優等生」みたいに報道されていたんですよね。
ただ、いつまでも厳格な感染対策・経済抑制を続けていては国がもちません。ということで「ウィズコロナ」にしたんでしょうが、その途端に感染爆発してしまったと…。
一方で日本は、結果として比較的緩い感染対策(自粛要請レベル)を続けてきたので、感染者数は韓国より多かったけど、そのかわり今はほぼゼロコロナで落ち着いていると。
こうやって日韓を比較してみると、
厳格なロックダウンや感染対策・経済抑制をしても、感染拡大の先延ばしするだけで、結局コロナはいつかは国中に広まるし、そうならなきゃ終わらない?
とも思えてきます。
スウェーデンとデンマーク
実は、これと同じような例が北欧のスウェーデンとデンマークでも見て取れます。
お隣同士のスウェーデンとデンマーク。通常、北欧の国はどこも似たような政策を取ることが多いのですが、今回のコロナについてはこの2国は全く逆の方向を向きました。
スウェーデンは「厳格なロックダウンはしない」
デンマークは「厳格なロックダウンをする」
で、その結果どうなったかと言うと、スウェーデンは感染が拡大してしまい、デンマークとは大きな差をつけられてしまいました(それでも他の欧州諸国と同じくらいではあったのですが)。
これは
「ノーガード戦法のスウェーデンの失敗」
として広く報道されたのでご存じの方も多いかもしれません。
ただ、それも昨今は話が変わってきました。
いま、デンマークの感染者数が欧州最多レベルで激増しているのです。スウェーデンも増えていますが、デンマークほどではありません。
そのグラフがこちら。
デンマークの感染者数の右端が一気に上にあがっていいますね。
ロックダウンの強さで見ても、デンマークは赤やオレンジが多く、かなり強いロックダウンをしていたことがわかります。
今はどちらの国も対策は緩めていますが、感染者数で言うとデンマークのほうが明らかに急上昇となっていしまっています。
累積患者数で見るとこんな感じ。
一時はダブルスコアくらいスウェーデンの感染者数が多かったのですが、今はデンマークがかなり追いついてきてしまっています。
お隣同士のデンマークとスウェーデン。
日本と韓国もお隣同士。
似たような現象が起こっているのかもしれませんね。
もちろん、
「感染者数の山の高さを平坦にする」
「ピークを抑えて医療崩壊を防ぐ」
という意味で感染対策は意味があるとは思います。
ただ、日本の医療崩壊について言えば、それは世界一の病床数を誇っていながら、その病床のほとんどをコロナ対策に回せず…つまり医師会含め医療業界全体が一丸になって対処できなかっただけなのです。ま、病院業界・医師会という既得権益団体に変化を促せなかったということですね。
とはいえロックダウンや経済抑制は、人々の絆を断ち切り、経済を壊し、自殺を増やします。
柔軟な病床運営もせず、病床が空いている県外への救急搬送もせず、安易に「自粛再開を!」などと言ってほしくないところです。
だって、
厳格なロックダウンや感染対策・経済抑制をしても、感染拡大の先延ばしするだけで、結局コロナはいつかは国中に広まるし、そうならなきゃ終わらない?
ということが、これまでの感染データ国際比較でだいぶわかってきているのですから。
以上、「韓国のウィズコロナ政策は失敗だったのか?」でした。
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夕張に育ててもらった医師・医療経済ジャーナリスト。元夕張市立診療所院長として財政破綻・病院閉鎖の前後の夕張を研究。医局所属経験無し。医療は貧富の差なく誰にでも公平に提供されるべき「社会的共通資本」である!が信念なので基本的に情報は無償提供します。(サポートは大歓迎!^^)