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「ロックダウンにはそれだけの価値はなかった」Wall Street Journalの記事全文日本語訳



元記事はこちら


以下、全文日本語訳します。


ロックダウンにはそれだけの価値はなかった

〜どの政府もロックダウンの費用対効果の分析をしないのは、それが失敗だったからである〜


By Philippe Lemoine
2021年3月11日


テキサス州のグレッグ・アボット知事は先週、マスクの義務と営業時間制限を終了すると発表しました。民主党員と多くの公衆衛生当局がこの動きを非難しましたが、実はいますでに厳格な措置のメリットがコストに見合わないことを示す十分なデータが存在しています。

このことは常に真実なわけではありません。事実、私自身も1年前は公式にロックダウンを提唱していました。当時、ウイルスとその影響についてほとんど知られていなかったことを考えると、ロックダウンは賢明であるように思われたからです。そして、社会を封鎖することは、コストに関係なく、世界中の政府のデフォルトの選択肢になりました。


パンデミックが始まってから1年以上が経ち、今はヨーロッパやアメリカでワクチン接種が行われています。しかし、ヨーロッパでもアメリカでも依然として厳しいロックダウンで市民生活に制限が課せられています。ドイツ、アイルランド、英国はまだ封鎖されていますし、フランスは午後6時の夜間外出禁止令が出ています。フランス政府は少なくともあと4週間続くと述べています。多くの米国の州では、今でも対面での学校教育が行われていません。

昨年の段階では、ウイルスを制御することがどれほど難しいかわかりませんでした。何らかの形で人々が感染を減らさない限り、人口のほとんどが数週間で感染するだろうと思われていました。ロンドンのImperialCollege Covid-19 Response Teamによる予測では、200万人以上のアメリカ人が数か月で死亡すると予測されていました。また、ロックダウンをしてもすべての感染を防ぐことはできないでしょうが、少なくとも医療の逼迫は防げます。それが「感染のピークを抑え、曲線を平坦化する」という作戦でした。

しかし、それ以後1年経ち、データが集まりました。そのデータは、厳しい制限がなくても、ウイルスが非常に長い間指数関数的に広がることはないことを教えてくれます。これまでのデータは、集団免疫に達する前に流行が常に収束することを示しているのです。Center for the Study of Partisanship and Ideology の報告書が論じているように、入院や死亡が増えると人々は行動を変えます。これにより、感染が減少するのでしょう。

私は100以上の地域と国を見てきました。政府の封鎖または他の厳格な措置が課されたかどうかにかかわらず、集団免疫に達するまでパンデミックの指数関数的成長が続いた例は一つもありません。人々は最終的にはよりリラックスした行動に戻ります。そうすると、ウイルスは再び広がり始めます。そのため、あらゆる場所で症例数も死亡数も「逆U字型」となっています。

スウェーデンはこの教訓を最初に学びました。当初、ロックダウンを支持する群衆の多くがスウェーデンの政策に対して「大惨事」をもたらすだろうと非常に批判的に見ていました。しかし、結局のところスウェーデンの死亡率は、EU全体の死亡率とほぼ同率でした。米国では、ジョージア州の無政策は「人体実験」と呼ばれていました。しかし、スウェーデンと同様に、今日のジョージア州の人口当たりの死亡率は、他の州と実質的に同じです。

それは行動制限に効果がないということではありません。スウェーデンがより厳しい制限を採用していれば、流行は少し早く後退し始め、発生率はもう少し早く落ちたでしょう。しかし、政策は人々が思っていたほどに重要ではないかもしれないのです。封鎖は経済を破壊する可能性がありますが、Covid-19の蔓延に最小限の影響しか及ぼさないように見え始めているのです。

1年間の観察とデータ収集の結果、ロックダウンの効果はかなり限定的だと言うことがわかってきました。たしかに医療の逼迫がいい事だという人は誰もいないでしょう。しかし、学校に通うことも出来ない、人生の貴重な子供時代に仲間と交流することもできない子供たち…ロックダウンは、子どもたちだけでなく大人からも通常の生活を奪ってしまいます。まだ全員が予防接種を受けたわけではないので、多くの人はまだ通常の生活に戻れていませんから今も世界でロックダウンが続いていますが、その政府の命令は、人々の社交や生計を立てる能力を奪います。それにより、事態をさらに悪化させる可能性さえあるのです。

コロナウイルスによるロックダウンは、第二次世界大戦以来、西側における個人の自由を最も破壊した出来事になってしまいました。それなのに、ロックダウン政策を正当化するための費用対効果分析を発表した政府は1つもありません。私の主張が間違っていて、ロックダウンが費用効果が高いのなら政府の文書はそれを実証できるはずです。それなのに政府がそのような文書を作成しないのは、おそらく当局がそれが何を示すかを知っているからでしょう。

(翻訳:森田洋之)



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夕張に育ててもらった医師・医療経済ジャーナリスト。元夕張市立診療所院長として財政破綻・病院閉鎖の前後の夕張を研究。医局所属経験無し。医療は貧富の差なく誰にでも公平に提供されるべき「社会的共通資本」である!が信念なので基本的に情報は無償提供します。(サポートは大歓迎!^^)