見出し画像

鹿を撃った話。

その日は、師匠と2人での出猟だった。

いつもは、4人チームで、鴨猟をしているのだが、
今回は鴨。鹿。キジ。ヤマドリ。色々見てみようということだった。

僕の家は比較的、街中にあるのでいつも師匠に
車で迎えに来てもらっている。
その日は、6時に出発。
7時13分の、日の出の時間には猟場に着いていた。
銃は日の出の時間を過ぎてからしか撃てない。

その日は、初めて行く猟場だった。
師匠の運転する軽トラで移動する。

師匠は目がいい。遠くの鹿。キジをよく見つける。
その日も、すぐに鹿を見つけた。
道路上の100メートルくらい先だ。
鹿はこちらに気づいて警戒している。
鹿がどう動くか待つ。
鹿が川側に進む。チャンスだ。
川は開けている。山に入られるとかなり厳しい。
二人で銃を担いでこっそり近づく。
こちらの狙いがわかったのか、鹿は方向転換をし
山に入っていった。
残念。。。

また車に戻る。そして、また車で進む。
天気も悪く暗い道を、僕らを乗せた軽トラがゆっくりと進む。
15分くらいすすんだろうか。
また鹿がいた。今度は4頭ほど。集団だ。
畑にいる。やはり警戒している。

師匠がいう。
「ちょっとこのまま過ぎ去ろう」

そのまま、車を進ませ、少し進んだところで、車を停める。
師匠がタバコを吸う。

猟師はたばこ吸う人が多い。
興奮をおさめるため。獣や血の臭いをごまかすため。
だと思う。自分も普段吸わないけど吸いたくなる。

師匠がタバコをすい終わる。
「いこう」
僕らが先ほど鹿がいた場所に戻るともうそこには鹿がいない。
失敗したか。。。と思った瞬間。

畑の横の小川で鹿がいた!

師匠が先に行けという。
僕はすぐに銃を担ぐ、鹿に見えない位置を取りながら
近づく。
畑を通らないと鹿の近くに寄れない。
畑を歩く。
畑には霜が降りていて歩くたびに足音が響く。
やばいバレる。
だけど、だいぶん近づけた。
と思った瞬間、鹿は僕に気付き山を上がっていく。
やばい。逃げられる。

ただ、鹿が山に登れるスペースは一頭づつしかいけない。
4頭いるからチャンスはしっかりある。

銃を構える。撃つ。
獣道の横の葉っぱが揺れる。
外した。師匠の言葉を思い出す。
二発目はすぐ撃て。
つづいて、もう一発。
当たったかどうかわからない。
だけど、鹿は4頭とも獣道を駆け上がっていった。
当たらなかったか。。。。落胆した瞬間。

ここから先は

575字 / 3画像

宮川博至の頭の中

¥800 / 月
このメンバーシップの詳細

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?