オススメ大学英語教科書(2)Winning Presentations: Eight Types of Successful Presentation(成美堂、2018年)

授業でプレゼンテーションをしようと言っても、仮にテーマは決まっていたとしても、それをどうまとめればよいのか、つまり、原稿をどう組み立てればよいのかという段階でつまずいてしまったりする。しかし、この教科書を使えば、そのような悩みにさいなまれることはない。報告型(informative presentations)として4つ、列挙型、分類型、プロセス型、調査型、さらに説得型・提案型(persuasive presentations)として4つ、説得型、問題解決型、原因結果型、比較対象型、合計8つのタイプに整理されているので、テーマや問題関心に従ってどれかを選べばよい。

この教科書では、ジェスチャーや視覚機材(visual aid)を簡単に学んだあと、8つのタイプを1単元ずつこなしていく。そこでは、単元によって多少の違いはあるが、概ね、5段落程度のモデルプレゼンテーションの視聴と、それを縮約した1段落のミニプレゼンテーションの演習からなっている。学生は、長いプレゼンではどのような書き方になるかということを理解できるとともに、それを毎回やるのは時間的・体力的にきついので、その短縮バージョンの1段落での原稿作成課題に取り組む。その仕様によって、無理なく、プレゼン原稿の作成に慣れ、能力を高めていくことができる。

最終的にはグループで5段落程度からなるプレゼンテーションをつくって披露してもらう。その期末までには、プレゼンの構成の仕方が間違いなく身についているので、準備がなかなか進まないということもないといってよい。ただ、この教科書の唯一の欠点は、学生がやるプレゼンのテーマを与えてくれておらず、学生が自分で決めるか教員が指示しなくてはならない。私は、この教科書を秋学期に使い、履修者が同じ春学期の授業で別の教科書Let's Find a Solution! (南雲堂、2023年)を使うことにより、そちらのテーマを拝借した(この教科書の簡単な紹介記事はこちら)。この点は多少の工夫が必要とはいえ、この教科書がプレゼンの導入的学習に最適で比類ないことは間違いない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?