はじめてのおしごと

朝、新宿駅から会社に向かう途中、若いキレイ系のスーツ姿の女性が俺の後ろから走ってきました。
俺を追い越して、金髪ヒップホップ系ファッションのゴツいお兄ちゃんの前に立ち止まって――。
「遅せぇよ!」
ぼぐっ!
「うぅ…」
うわ!
ボディブローを入れられてます。
女の人、しゃがみ込んじゃいました。
そんで、「ごめんなさい、ごめんなさいカズ君(仮名)」とか謝ってます。
気付かないフリをして、横を通り過ぎる俺。
新宿って怖えぇ、怖ぇ過ぎる!
朝から、産まれたての小鹿のようにプルプル震えてるキタナカです。
おはようございます。

今日は初めてお仕事を任されました。
それは「情報誌に載せる写真の選定」です。
メイン写真はジャケ写(ジャケット写真)なので、画面写真の方を。

上司からの指示は「見栄えがよくて、何をしてるか分かる写真を選べ」。
オーケー、ボス。

各チャプターから1枚ずつ選んで。
自分が気に入ったチャプターから始めた。
エロい画像を入れて、と。
メリハリも考えて着衣の映像も入れて、と。
うむむぅ…。

…(苦闘中)。
……(段々慣れてきた)。
うし! でけた!
上司に提出。

「おう、できたか。どれどれ」
自信があります!
「……おい」
はい!
「この作品はどういう作品だ?」
はっ! 女子高生モノであります、上官殿!
「で、なんでメイド服を選んだんだ?」
いい絵だったからであります!
「却下」

「キタナカ…。この作品はどういう作品だ?」
ブッカケであります!
「どうして、ブッカケ写真が1点しかないんだ?」
いえ、美しくないからであります。
「却下」

前途多難であります。

――「お前の選ぶ写真は汁っ気が足りないんだよ」と、説教される人生。

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