キタナカ、奄美を喰らう【第二夜】「収斂」

そんなこんなで、幻獣との出会いの夜が開け。
7月19日(日)を迎えたキタナカさん。
ゆっくりと南国気分に浸りながら、トロピカルフルーツのジュースでも飲みながら。
水着美女を矯(た)めつ眇(すが)めつ終日過ごす。
薄絹を纏った南国美女たちが、羽の扇で俺を扇ぐ。
そんな。
安息の日々が訪れる訳もなく。
朝から「カケロマに行くよ~」とのことで、眠い目をこすって港へ。
まったく、せっかく南国だってんだからさ。
都会に穢された魂を、限りなく透明に近いブルーにしようという計画では無いのか?
ふにゅふにゅと言葉にならない愚痴を言いながら、準備。
東京から送った荷物は、まだ届いてないので自転車用のハーフパンツにTシャツ。
※金曜日に送付したら「三日かかる」と言われた…
ん?
っつか、港ぉ?

カケロマ即ち加計呂麻島は、奄美大島から程近い島です。
家賃は3LDKで15,000円。
一人暮らしなら5,000円くらいから部屋が探せるそう。
え? ネットは光が開通してない!?
じゃあ無理だ。(ネットジャンキーだからです)
現地の住宅事情なんて聞いてませんか、そうですか。

準備を済ませ、港へ。
っつっても、服装は基本そのままで日焼け止めとかを持っただけですがね。
十人乗れば満員になりそうな船に乗せていただき、十分ほどでカケロマへ。
近っ!
なんか。
地元の人にとっての船は、自動車に近しい足として使われてる模様。

【キタナカヒロユ奄美十番勝負】の2:「バナナボート編」

上陸。
海水浴客もいる砂浜に船を泊めて、サンダルを濡らしながら。
どんだけフリーダムなんだココは。
どうやら、本日は地元の祭りの模様。
「マリンフェスタ」とか、そんな感じだった。
細かいことは覚えていない。
それが俺クオリティ。

ビーチバレー大会やら宝探しやら。
そんなイベントには目もくれず、海水浴開始。
え? 水着がまだ届いてないんですけど…。
「すぐ乾くから、そのまま泳げばいいっちょ?」
ですよねー。
でもねホラ。
俺のような都会育ちのモヤシっ子はね。
潮をたっぷり吸った服で何日も過ごしたくないんよ。
繊細にして神経質。
ウルシの木の下を通っただけでカブれちゃうくらいですからね。
「じゃあ、キタナカさんは泳がないってことで」
自分だけ泳がない

一人ぼっち

寂しい

ウサギだから、寂しいと死ぬ(バニースーツでぴょんぴょん跳ねながら)
ヤヴェ!
俺ってば今、死亡フラグ立ってる?
「ハイハ~イ泳ぎま~す!」とか言ってる俺マジヘタレ。

一度濡れてしまえば、諦めが付く。
エメラルドグリーンの海水浴場で「きゃっきゃうふふ☆」状態。
地元の小学生に「オジサン」と呼ばれたので無視。
むしろ、膨れっ面で「ぷいす」とそっぽを向く。
萌えキャラにもほどがある。
「お兄さん」と強引に呼ばせた後、一緒に遊ぶ。
俺、大はしゃぎ。
でも。
よく考えたら、この子のお父さんって俺より年下かも知れんな…。
いや、その公算が高い。
でもまぁ「お兄さん」だよなウン。(鏡に見惚れながら)

ひとしきり泳いだ後、「バナナボートやるっちょ?」と。
「超」の付くインドア派の俺が「バナナボート」だとぅっ!
そんなん、女子供が喜ぶ類のアトラクションだろ?
ハッ! 俺様が乗ると思うてか!
「じゃあ、キタナカさんは一人で留守番ね」
自分だけバナナボート乗らない

一人ぼっち

(以下略)
で。
気付けばバナナボートに跨ってる俺が居る訳で。
世の中って奴ぁ、不条理すぎる。
「絶対、左右に振るなよ? 絶対振るなよ!」
ハイ転覆しました。
思ったより体重移動が難しい…。
鼻に海水が入って、涙目な俺。
かなりキュートにしてセクシー。
渚のハイカラ人魚。
キュートなヒップにズッコンバッコン♪

「じゃあ次は、若い三人だけで再チャレンジ行ってみる?」
『若い3人』とな?
「永遠の29歳」である自分を呪う瞬間。
順番待ちの間に、岩場に行ったりビーチバレーを観戦したり。(<目の保養的な意味で)
で、再チャレンジ。
期待に添えなくて申し訳ないが、転覆することなくクリア。
結局。
人数が多くなると、瞬時に行なう体重移動の際に後ろの人の反応が遅れる。
結果、転覆しやすくなるのではないだろうか。
一勝一敗。
「今日は、これくらいにしといてやらぁ」などと捨て台詞を吐きつつ、カケロマを去る。

【キタナカヒロユキ奄美十番勝負】の3:「マングローブ編」

午後からは、マングローブの原生林でカヌー。
なんだ、この詰め込みっぷりは。
ツアコン生き急ぎすぎだろ!
時間潰しに、山の展望台からカケロマと古仁屋を一望する。
ぐねりまくった海岸線。
どこまでがカケロマで、どこからか本島か分からなくなる。
それもそのはず。
「カケロマ島」の名前の由来は戦時、上から見ると分かるのに上陸して少し移動すると、どこまでが本島でどこがカケロマか分からなくなる。
「カゲロウの島」が訛って「カケロマ」になったそう。(訳知り顔)
などと。
地方トリビアを披露しても「ウサギ姉ちゃん」の受け売りな訳で。
「ほー」とか「へー」とかしか言えなかった。
でも、本当に海岸線のぐねり具合は異常。
翌日に自転車に乗ったときに痛感することになるが、それは次回の話。

迎えの車が来たので、島の真ん中ら辺まで車で移動。
「マングローブ+カヌー+キタナカヒロユ=命をかけた冒険」の図式が示すように。
俺は、かなり緊張していた。
危(あぶ)い。
これは危い。
俺の本能が警鐘を鳴らす。
カヌーに乗ってるときに、ワニに襲われたら(※いません)。
カヌーを漕いでるとき、激しい尿意に襲われたら(※「尿意、ドン☆」と叫びながら、失禁することも覚悟)

パドルの操作方法の説明を聞きつつ、新たなる冒険の予感に身を震わせる。
カヌーがあてがわれ「ちょっと練習しててくださいね~」とスタッフに声をかけられる。
鳴呼。
このとき、素直にスタッフのいう事を聞いていれば…。
気持ちが高揚していたキタナカさん。
スタッフの言葉に耳を貸さず、マングローブ密生地へとカヌーを進める。
後に聞いた話だが、スタッフからは「行方不明扱い」になってたそうだ。

前の集団に追いつき、ガイドの説明に耳を傾けながら進む。
「なんで俺のカヌーにはガイドが付いてないんだろ?」などと理不尽な怒りも覚える。
※ガイドさんは、俺の遙か後ろにいました
行き止まりまでカヌーを進める。
Uターンしても進む方向が分からなかったので、未知の方向へとカヌーを進めていく。
凄いフリーダムなイベントだな。
いきなり何をすれば良いか分からない、米国のRPG並み。
※本当は、ガイドさんが案内するので勝手に進んではいけません
明後日の方向へとカヌーを進めていくと、明らかに自分のと違う店のカヌーが多くなる。
ヤバいかもな? と判断し転進、元のルートに戻る。

私。
そこで少々動転する事件に巻き込まれましてね、ふふ。
アブがね。
そう、ハエとハチの中間みたいなアレですよ。
そのアブがね。
私のカヌーに纏わり付いてきたんですよ。
こう見えて私。
大の昆虫嫌いでして。
カヌーの上でパドルを振り回して大立ち回りですよ。
私の水上での移動速度より、奴らの飛行速度のほうが速い訳ですよ。
最後は、諦めてアブを無視しましたからね。
虫だけに無視ですよ。
虫だから、無視。(鬼の首を取ったような表情)

陸に上がる頃には憔悴しきってましたね。
迷子の恐怖。
アブの追撃。
普段は使わない筋肉を酷使したため腕が重い。
三つのトラブルを乗り越えてきた訳ですからね。
まさに勇者と呼ぶに相応しい。

とまぁ、こんな調子で第二夜を迎えた訳ですが。
この調子で書いていくと、普通に一週間かかることに気付く。
ちょっと端折れるとこは端折ってペースを上げて行こうかね?
それでも、あと七番勝負も残ってるんだよな…。
ま、いっか。

――計画性という言葉を覚えるべきだと思います。


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