THE VOC@LOID M@STER 53(ボーマス53)参加報告
11/19 大田区産業プラザPiOでの即売会イベント「THE VOC@LOID M@STER 53」(ボーマス53)のサークル参加報告です。
ボーマスとは
2007年から続く、東京を拠点としたボカロ専門の同人即売会です。ボカロ系では最大の即売会と言っても過言ではありません。以前は年2〜3回の開催でしたが今年は年4回(合計5日間)の開催となりました。
僕は第37回開催からの参加で、それ以降、おそらく今回で10〜13回目くらいの参加になると思います。
参加にあたり
ボーマスは、初音ミクを中心とするキャラグッズ・同人誌の需要も高いですが、有名ボカロPのサークル参加率が多いこともあり、「推しのボカロPに会いにいく」イベントとしての認知もあります。
今回の参加サークル数は307。会場となった大田区産業プラザPiOは、ここ数年の定番開催地であった池袋サンシャインシティの会場と比較すると少し手狭な感じがします。手狭な会場になっているのは、コロナ禍が明けて多くのイベントが復活する中で会場の確保が難しくなってきているといった事情が伺えます。
大規模即売会ということもあり、事前準備には手を入れることにしました。
時期的に、ニコニコでは大規模投稿祭である「無色透明祭」の期間直後、また個人的にはニコニコ公式イベントである「既存曲復活祭」と期間が重なりました。また11/26開催の僕の主催投稿祭イベント「ボカロメタル投稿際2023」や他の方が主催する「V系ボカロカバー祭」を翌週に控えた時期。そのため、旧Twitter上に自他交えた各種告知が氾濫する中での告知対策となりました。
お品書きは、今年夏の新譜である「Wish and Endings」を全面に打ち出しました。他に売るものが既にない事情もありますが、宣伝が溢れかえる中で、目立たせるものをシンプルにして注力する方が良いと判断しました。
M3での反省点から生まれた対策
以前のサークル参加報告にも書きましたが、大規模即売会は前日までが勝負。苦い思いをした10月のM3の反省と検討の結果、今回は「認知をしてもらう」ことを目標に3つの対策を行いました。
1つ目の対策が当日の会場で無料配布するサークル通信。v_flowerのイラストを大きく出し、サークルの活動内容や近況、最新アルバムの収録曲紹介等を盛り込みました。
2つ目の対策が、オンラインでの自己紹介。note上にプロフィールページを設け、note各記事からの誘導、および旧Twitterでの告知等を行いました。
3つ目の対策が、音楽面のアピール。今回は直前半月の期間に新曲の投稿等ができなかったため、イベント前日にYouTubeにアルバムアピールのためのショート動画、Twitterには収録曲「月下花 - GekkaHANA」のディザー動画付き曲紹介を投稿し収録アルバムの認知に努めました。
当日の様子
サークル入場の時間帯に会場前に到着しましたが、9月のボイスコネクトと比較すると人もまばら。「秋のボーマスは"本番"という印象があったけど、そこまでじゃないかな?」と感じていました。
しかし、いざ開場時間となると相当な人数が入場待ちとなっていたようです。また当日券も開場2時間後から発売ということもあり、常時人が多数会場内にいる状態でした。
通路は混み混み。実際僕も買い出しで少し会場内を歩きましたが、10m先に進むのも苦労する状況でした。また、それほど広くない会場に300サークルが参加しているため、サークルエリアのバックヤードも狭く、サークルスペースの背後に物を置くと人が通れないくらいの詰め込み状況。かなり、人が溢れる様が伺えます。それでもコミケの人の波の圧には及ばないあたりが恐ろしいのですが……。
僕のブースですが、今回もかなりのんびりとした時間を過ごしていました。会場内の人の流れが悪く、みな目的のブースに辿り着くのに必死なのか、周りを見ていない印象がありました。こうした中で僕のブースに立ち止まる人は少なく、また周りのブースを見ても人が集まるブースとそうでないブースの差が顕著に出ていた印象でした。
そんな中ですが、売り子さんが持ってきていたアクリルキーホルダーは無事に完売。2年半前の頒布開始時から特に大きく宣伝していたわけでもなかったのですが、ここまで辿り着いたのは良い報告と言えるでしょう。
僕の新譜の今回の販売実績は数枚でした。今年7月の頒布開始から、既に8回目の即売会。10月のEach of Voice.の頃から販売実績が急激に下降し始めており、僕の新譜が欲しい人にはほぼ行き届いたことの証明なのかもしれません。次のアルバムの頒布開始までは、何かのプロモーションを仕掛けつつ、のんびりと残在庫を消化していく形になるでしょう。
僕のブースの様子を見にきてくれた方達が後で某所に書き込んでいた内容を見ると、「多くのサークルの方達が、疲れ切ったような暗い顔をしていたにも関わらず、みるくかふぇさんは明るい顔で対応していたのが印象的でした」とか「なんか、キラキラしていた」とか(笑)。あまりにも暇過ぎて、元気が有り余っていたのかもしれませんね(๑>◡<๑)
v_flowerと写真を撮ったよ!
途中、v_flowerのコスプレをしたコミュニティ仲間が来たので、一緒におふざけの写真を撮らせていただいたりして楽しい時間を過ごしました。日頃、僕を含めた数人でv_flowerに呆れられてパンチされるネタを旧Twitterに流しているので、それをネタにしたシチュエーション写真です。
「いいね」の数の差が……。v_flowerコスの方がいい笑顔をしているのが印象的ですね。実際、撮影会はとても楽しいひと時でした(*>∀<)
振り返りとアクション
認知してもらうことに失敗しました!
さて、M3の反省を踏まえた今回の対策は、正直言うと効果がありませんでした。
まず「サークル通信」通信です。持って行ってくれた数が、売れたアルバムの数と大きくは変わりませんでした。
この原因は、「知ってもらう」以前の話となります。ブース上の頒布物すら目に入れてもらえない状況下では、無償頒布が意味をなさない点が考慮から抜けていました。お目当てのサークルに行くのに必死になっている人たちに、当ブースを目に入れてもらうためには、来場時点で既に当ブースの存在が頭の中に入っている必要がありそうです。
2つ目の「オンラインでの自己紹介」が、アピールが必要な層に届かなかった点。
プロフィール記事を見ていただいた方からは、良い反応が返ってきていました。ただ、僕のフォロワー層と、ボーマスへの一般来場者の層がほとんど被っていないようです。サークル参加者の層はかなり被っているため、顔見知りはたくさん会場にいました。ただ、サークル参加者と一般来場者を比べれば、一般来場者の方が遥かに人数は多いです。これが見落としていたとても重大な点に思えました。
3つ目、前日の告知。こちらは一般リスナーへの呼びかけを目的としていました。
YouTubeショートは、視聴傾向が合致するリスナーのショートフィードに表示されます。そのため必要なタグを設定することで、ボーマスの来場者へ情報を提示できる可能性がありました。前日の昼に投稿し、ほんの一瞬だけでしたが100前後の再生がありました。ただ、この中に実際の来場者がどれくらいいるかと想定すると、2〜3%(2〜3人)いればいい方かなという気もしなくもありません。絶対的な母数が足りない気がしています。
もう一方の旧Twitterでの収録曲のアピール。インプレッション2700回に対し、動画のユニーク再生数が150、リツイートが16、いいねが30でした。また、プロフィールを見たりXFD動画へ流れるURLをクリックした数が共に8。対インプレッション比率で考えるとまずまずかもしれません。ただ、反応をくれ方の9割以上が既存のフォロワーさんでした。そのため「一般参加されるリスナーに届かせたい」という目論見は、ほぼ叶わなかったと見て良いかもしれません。
「眼前にターゲットがいないかも」問題と、一般リスナー層に向けたメッセージ
こうしたエピソードを総合して分析すると、「SNS上で、ターゲットにするべき層が既存フォロワーの中にあまり居ない・もしくは居ても目に留まるようには届いていない」という実情が浮かび上がってきます。
「ターゲットにすべき層」というのはここでは一般リスナーとします。なぜ「一般リスナー」かというと、「特に音楽をディグることには熱心ではないが、仲間内で共通の話題にできるターゲットがあれば口コミで拡散していく俄か層」が流行を支えている、という実態があるからだと考えています。ボーマスにもプロセカ等でボカロを知ったり、ニコニコ動画でランキング上位に入る曲なら聴いているという方は結構来場しています。
僕の旧Twitterでのフォロワーさんは5000人くらいです。そのうち500〜1000はスパムアカウトとして、さらにアクティブでボカロに興味のある方となると居ても1500以下と想定されます。また、よく見かけるフォロワーさんでも、おそらくご自身でボカロPやバンドをされていたり、実際にプロやインディーズのミュージシャンとして活動されている方の割合が多いようです。僕のフォロワーさんの「一般リスナー層」と言われると、ようやく最近ポツポツと目にし始めた感じがしているところです。
また、自分のツイートで宣伝以外に発信している内容を思い返してみました。趣味である「キャラ推し」ツイートを除くと、おそらく自分と同じボカロPのような創作者、表現者に向けたメッセージの割合が高い気がします。フォロワーさんや作品を買っていく人に同業者が多いのはその辺が理由かもしれません。一般リスナー向けたメッセージの割合を、今後は増やしていくことにも頭に入れていく必要がありそうです。
ブランド作りの必要性
もう一つ考えるべきことは、「ボカロPとしての稀少性の確立・ブランドを作る」といったことにきちんと向き合うべきかもしれません。
「独自の道を・ニッチを選択している」という気概があるのであれば、その希少性や存在価値、表現や活動の姿勢を支持してくれる方を増やし、また「ああ、あの人ね」と言われるだけの分かりやすいアイデンティティなり個性なりを提示していく必要があると思います。
アンデンティティや個性を発揮できる箇所はたくさんあります。作る作品の音楽性もそうですし、歌詞や曲のテーマやMVが織りなす世界観、どのような層にどのような共感性を持つメッセージを伝えていくか、他のボカロPとは何が違ってどんな聴くだけの価値があるのか。そうしたことを自分なりに整理して、どの切り口から切っても同じメッセージが出てくるように自分の世界を作り、味方になってもらう必要があるのでしょう。また、定期的に作品を出して認知し続けさせる努力と根気も必要です。
10年かかって少しずつ理解してきたことも多く、また10年抗い続けてきた自負もあります。たかが10年くらい陽の目を見なかっただけで、折れるわけにはいきませんね。活動を楽しみつつ、まだ自分が見たことない景色にたどり着くためにも、まだまだ背伸びをしていきたいと思います。
今後の即売会参加予定
2024/1/21 (募集開始前): THE VOC@LOID M@STER 54(ボーマス) - 会場未確定
2023/3/3 (申込中): VOCALOID STREET 08 - 名古屋国際会議場
2023/5/3: 声音の宴 3次会 - 大田区産業プラザPiO
アルバムの紹介
最新のメタル&ロックアルバム「Wish and Endings」の紹介動画とサブスク配信先一覧です。
執筆者プロフィール
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