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新曲レポート「Schneeblume」

11/26の「ボカロメタル投稿祭2023」向けに投稿した新曲、「Schneeblume」のレポートです。


曲制作の概要

前作の「ジャイアントインパクト」以来、3ヶ月半ぶりの投稿となりました。これだけ間を開けたのは数年ぶりというくらい珍しい状況でした。

曲調はアーバンポップ調のオケに乗ったボーカルから始まる、ミディアムテンポ(BPM 104)のメタル曲です。当初はゆったりした展開ですが、中盤のBメロ以降、歌詞の感情表現に合わせ小さな急加速を繰り返す、プログレッシブな作りの作品となっています。

タイトルの「Schneeblume」はドイツ語で、日本語に直訳すると「雪華」です。「ヒトツバタコ」が英語で同じく雪の花を意味する「Chionanthos」と呼ばれていますが、本作品では雪をイメージした概念上の花として扱ってしています。

課題としていたこと

「ボカロメタル投稿祭2023」向けの作品を準備する上で、考えていたのが「他のガチなメタル系創作者の投稿作品の中でも、埋もれない作品を作ること」でした。また以前にメタル系のボカロP仲間から提案されていた、僕の創作メタルを指すワード「フラワメタル」を今回から正式に使い始めようと考えていました。

「埋もれない作品」については、僕自身がメタルネイティブな創作者ではない強みを活かそうという方向で進めました。僕は今回の「ボカロメタル投稿祭2023」の主催でもありますし、メタルが今後進む未来の可能性や広い層に受け入れられる可能性を、ボカロPやリスナー双方に示すのも、主催としての一つの課題と捉えていました。

ハイブリッド作への挑戦

ここしばらく考えていたのは、「アーバンポップやR&Bなど、メタルとは対極にある音楽を活かせないか」といった課題でした。スピード感があり直線的なビートを多用する攻撃的な音楽であるメタルと、ゆったりとしてクセのあるビートを用いる洗練された音楽であるアーバンポップやR&Bの相性はそれほど良くありません。ただ2020年代のヒット曲は、異なるエッセンスを持つジャンルのハイブリッド作であることも多く、「挑戦する価値がある」と認識していました。

「曲の入りは歌から」と決めていたので、曲頭に持ってくるAメロのアレンジをアーバンポップ風に。そこからボーカルのv_flowerのシャウトでメタルパートに突入します。メタルとはいえコンテンポラリーなR&B的なコード進行で曲を作っています。両者をスムーズに繋ぐためプログレッシブロック的なギターリフを用いて、複雑なコード進行を無理なくメタルに溶け込ませるようなアンレンジ上の工夫をしています。

ただ、ゆっくりとした曲調だけでは次第にダレてしまいます。そこで僕の得意とするBメロでの仕掛けとして、4小節ごとにスピード感を切り替えることにしました。Bメロでは伸びやかに歌うミディアムテンポの曲調と、スピード感満点の疾走するロックパートを交互に繰り返し、メタル的な勢いを持つサビへと傾れ込んでいきます。

サビもテンポはゆっくりですが、サビ後半の収束に向かう盛り上がりの部分は疾走曲に聴こえるようにリズムアレンジを心がけ、曲の倍速であるBPM 208でのツーバスアレンジで曲の持つパワーを表現しました。

投稿で得た実績

11/26 未明の投稿から4日が経過しました。数字の実績はこんなところです。

  • 再生数: 2162

  • コメント: 99

  • いいね: 89

  • マイリスト: 36

再生は1日平均400ずつといったところ。

大体平均400ずつの再生数で、いいねやコメント数は最初の2日間でピークを迎えています。いいねの日付が投稿前の日にずれているのは、タイムゾーンが日本より遅い国からのアクションの結果かもしれませんが、詳細は不明です。

その他のトピックとして24時間ランキングの最高順位が、昨年のボカロメタル投稿祭の参加作「One Winged Angel」(9位)に次ぐ17位となりました。

ニコニコデイリーランキング(VOCALOID)での最高順位は17位。音楽カテゴリー全体では20位でした。

ボカロメタル投稿祭というイベントの性質上視聴者層は男性が多く、また僕の主力のリスナー層である若年層向きか?といわれると若干弱い作品だったこともあるのか、再生数に比べると「いいね」は少し少ない気がします。

「いいね」は最初の2日間でピークを迎え、それ以降は1日あたり1桁。最初の2日間で、僕の作品に馴染みのある方に告知がほぼ行き尽くした感があります。ここから先へ手が届かない(既存フォロワーの枠を超えた、その外にいるリスナーに手が届かない)のが、現在の僕の最大の課題であるといっても過言ではありません。

視聴は男性が多め、若い方が多い傾向は普段通りです。

マイリストの数は他の投稿作品と比べてもこんな感じなのかなといった数字です。有名Pを除けばニコニコでデイリーランキング入りする1万再生くらいの作品でのマイリスト数は数百あるかないかといった程度なので、マイリストの習慣がもはやニコニコの視聴者には馴染みのないものになってきているのかもしれません。

ニコニコ内での動線は、トップページの「いきなり!動画紹介」(ある程度の広告額が一気に投入されると、ニコニコ動画トップページに表示されるオプションです)からがメイン。ここから実際に動画を見にきてくれた方の割合が、どの程度あるのかが気になるところです。

その一方で、PC版Webブラウザでの再生と同程度にスマートフォンの「ボカコレ」アプリでの再生数があるため、作品を気に入って繰り返し聴いてくれているリスナーさんの存在も窺えます。

ボカコレアプリでの再生数の多さは、特筆すべきことかもしれません。

また、ニコニコ動画ではある程度の実績を残せたものの、YouTubeとbilibiliではいつも以上の低調な結果となりました。これは、今回ニコニコ動画の投稿祭にターゲットを絞って作品作りをしたり告知をしていたことと関係があるのかもしれません。

YouTubeでの結果。4日間の再生数66、高評価13、コメントは0でした。
bilibiliでの結果。4日間の再生数は164、高評価は30、ブックマークが13、コメントが1でした。

反省点とアクション

ターゲットを絞ったことについて

主に宣伝告知の部分の話です。先に述べたように、YouTubeやbilibiliでの低調さは懸念事項と考えておいた方が良さそうです。

ここ数年僕の曲はニコニコ動画での寿命が3〜4日で、それ以降全く聴かれない傾向にあります。つまり、曲寿命の短命化と使い捨て感が目立っているのです。この辺は日々、無限に存在するボカロPの作品が投稿されるニコニコで生き残っていくためには、いずれ解決しないといけない課題かもしれません。

ニコニコ動画公式が企画した今年夏のボカコレでの再生数に少ない曲に対する推し曲の公式プレイリスト企画や、先日行われた「既存曲復活祭」企画は、一定の再生数があったため、定期的な掘り起こしためのPR方法の検討が必要に思えます。

ニコニコ公式による夏のボカコレでの推し曲プレイリスト企画。「ロックでカッコいいボカロ曲プレイリスト」に「ジャイアントインパクト」が入りました。

一方でYouTubeやbilibiliといった他のプラットフォームに目を向けた場合、こちらはこちらでニコニコ動画とは異なるアプローチが必要に思えます。

特にYouTubeは、ボカロジャンル外の一般リスナーが利用するプラットフォームです。そのため一度そういった層の口コミの話題に上れば、Twitterでの僕の現在のフォロワーさんの範囲の枠を超えて一気に広まる可能性があります。ただそれを実現するには、ボカロよりももっとメジャー感のある作風や一般リスナーの心情に沿った共感度の高い作風に寄せいていくなどの検討が必要になるのでは?と予想しています。

音楽の部分

ミディアムテンポの曲だったこともあり、今までよりもv_flowerの歌唱がのびのびしており、そこに新鮮さや良好な反応をいただきました。これはこれで良かった点と捉えています。

一方で、昨年の投稿祭曲ほどはランキング順位が上がらなかった点に対して、熟考の必要性を感じています。動画に付いたコメントや、Twitterでの反応をもう一度見返し分析する必要があるかもしれません。

以上です。

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