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私のサッカー本ベストイレブン

わかりやすく影響受けやすい人hirotaです。

つじーさんの記事が面白くて僕もやりたくなりました。

本への造詣が深くないので、僕の選考基準は「読んだ当時のインパクト」一択。この基準に沿ってベストイレブンを選考してみます。感想は薄めで。

1.テクニックはあるが「サッカー」が下手な日本人 日本はどうして世界で勝てないのか?(村松尚登)
スペインバルセロナでサッカー指導者をしていた村松尚登さんが書かれた本です。スペイン人と日本人のサッカーの捉え方の違い、彼が学んだ戦術的ピリオダイゼーション理論の内容は当時の自分のサッカー観を変えてくれました。10年以上前に読んだ本ですが、今でも普通に納得して読める本だと思います。

2.サッカープロフェッショナル超分析術 究極のシステム・マッチアップ観戦法(川本梅花著、林雅人監監修)
こちらはオランダでサッカーを学んだ林雅人さん監修の本。システムのマッチアップを用いた試合分析の方法が具体的に説明されています。まだ試合をどう観ていいのかわからない時期に読んだ本で、こんな理論的にサッカーの試合を観ることができるのかと感動しました。
普通のおじさんがバーで試合を分析しながら熱くサッカーを語る冒頭の話にも刺激を受けて、自分も分析をしてみたいと思うきっかけを与えてくれた本です。

3.4-4-2ゾーンディフェンス セオリー編(footballhack)

タイトル通り、4-4-2ゾーンディフェンスのセオリーを詳細に解説した本ですが、それを通してスペースの意味や、サッカーの構造などサッカーに必要な様々なものを理解させてもらいました。
この本を読む以前と読んだ後では試合を観たときの解像度が全く違って、両チームのやり取りがとてもクリアになったのを覚えています。自分にとっては神のような本で、マイベストを選ぶとしたらこの本になるかもしれません。

4.怒鳴るだけのざんねんコーチにならないためのオランダ式サッカー分析(白井裕之)
オランダではサッカーの様々な要素を全て明確な言葉で定義付けているそうです。この本はとてもわかりやすい言葉でそれらを説明してくれて、自然とサッカーがどんなスポーツかがわかる内容になっています。
分析はサッカーがどういうものかを理解した上で試合を客観的に観察することで、決して専門家が行う特殊な技術ではありません。それを知って丁寧に誠実に試合を見れば、素人の僕でも分析できるんだと勇気づけられました。
サッカーの試合をもっと観れるようになりたいという人にまずお勧めしたい本です。

 5.PITCH LEVEL:例えば攻撃がうまくいかないとき改善する方法(岩政大樹)

著者の岩政さんが実際のピッチでどんな景色を見て、どんな判断をしてプレーしたのか、様々な場面について書かれています。
その中でも、自分は特にラインの高さの話が印象的でした。高い低いといった正しいラインの高さはなくて、状況に応じてどこにラインを設定するかの判断が大切なんだよという内容です。それまでの僕は、戦術的に理想的な形を追いかけているようなところがあったのですが、その話を読んでから両チームのやり取りの方に注目できるようになりました。それまでの視点を打ち砕き、新たな試合の見方に気づかせてくれたこの本にはとても感謝をしています。

6.バルセロナの哲学はフットボールの真髄である(オスカル・P・カノ・モレノ)
正直、始めは書いてある意味がほとんどわからず放置してあったのですが、最近読み直して「ああ、なるほどな」と思えた本です。サッカーは自由度が高く、様々な要素が絡み合う複雑系で、さらに味方も相手もまた時間軸も繋がる連続性という特徴も持っています。なのでコーチが一要素を切り取り「こうプレーしろ」と決めつけることはできなくて、選手の自発的なプレーを引き出して、選手間の相互作用を高めるというアプローチをとることしかできません。そんな内容と理解しました。ちょっと上手く説明できませんが、許してください。でも僕はこういう話が好きなんです。サッカーの本質って何?に対する一つのヒントになるようなお話だと思います。

7.サッカー戦術の歴史(ジョナサン・ウィルソン)
現在注目される戦術がどのように成り立ったのかの内容はとても興味深いものでした。ある戦術に対抗して新しい戦術が生まれるような戦術どうしの横の繋がり、ルールの変換とともに過去から積み上げられる縦の繋がり。それらが影響し合って螺旋のように巡り巡ってサッカーの戦術が発展しているのがわかります。
さらにサッカーの戦術は、その国の文化やサッカーに対する考え方など、必ず思想が影響していて戦術史とはサッカーの思想史とも言えそうです。
これら積み重ねられた戦術思想の歴史の上に、僕達が今見ているフットボールは成り立っているわけで、それらに思いをめぐらせることで、より深くサッカーを理解できるようになるのではないかと思います。

8.礎・清水FC堀田哲爾が刻んだ日本サッカー五〇年史(梅田明宏)
僕らの年代(40代笑)の静岡人なら誰もが知っている堀田哲爾という名前。彼の人生を通して清水のサッカーがどう発展していったのかが記述されていきます。
頑固なイメージな堀田先生ですが、サッカーに対しては先入観や変なプライドがなく、清水のサッカーを強くするためにはどんな斬新なことでも貪欲に取り入れていく姿勢は驚きです。
清水サッカーの歴史をまとめた資料としても貴重ですし、清水サッカーがどう発展し、どう衰退したかも読み取れる今後の歩みへのヒントにもなる必読の本だと思います。

9.通訳日記(矢野大輔)
ザッケローニ監督の通訳、矢野大輔さんの日記という形態でザッケローニ日本代表の歩みが描かれていきます。チーム作っていく過程では、戦術の落とし込みだけでなく、多くの選手をどうまとめるのか、運に左右される試合結果、揺れる選手の感情など、これほど沢山の大変さがあるのかと思い知らされます。表には見えないチームのリアルは非常になまなましく、記録としても読み物としても非常に優れた本だと思います。

10.ミケルスの「勝つチーム」作りトータルフットボール&バルセロナの原点(リヌス・ミケルス)
トータルフットボールの創始者ミケルスが自らの言葉でチーム作りを論じた本。その内容は、心理面、チーム戦術、選手の評価から育成組織と多岐に渡り、歴史的な名将がここまで詳細かつ体系的に自らの手法を書き表しているのに驚きました。しかもその内容は、最新のポジショナルプレーの解説書と見間違うばかりの新鮮さで、時代が過ぎても全く色あせていません。その他、マスコミ対策やスター選手の扱い方など、戦術以外の記述も興味深く、ミケルスの思考とともに監督のリアルなチーム作りがうかがい知れる名著だと思います。

11.「戦術脳」を鍛える最先端トレーニングの教科書  欧州サッカーの新機軸「戦術的ピリオダイゼーション」実践編(山口遼)

サッカーとはどういうスポーツなのかを深堀りしながら、トレーニング理論「戦術的ピリオダイゼーション」について語られていきます。組織論や認知科学の話など、山口さんの豊富な知識に裏打ちされた記述を読むに現代サッカーにおいて他分野の知見は必須になってくるのだろうなと強く思わされました。
最近、私も認知心理学の本をいくつか読んでいるのですが、それもここにでてきた「アフォーダンス」という言葉がきっかけです。サッカーを通じて他の分野への興味が広がり、その興味がサッカーの理解に繋がっていきます。そんな自分の興味や知見の幅を広げてくれたという意味でこの本をベストイレブンの最後に挙げさせてもらいました。

最後に
こう見ていくと、僕のサッカーへの興味は試合そのものを理解したいというところにあるんだなと改めて感じました。そして単なる戦術知識だけでなく、そこから何か自分に強く影響を与えてくれた本をチョイスしてみました。他にも面白い本は沢山あって迷いましたが、かつて読んだ本を掘り返しながらの選考はとても楽しかったです。


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