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窓先空地と収益性の関係性とその攻略方法について

7月に入って猛暑が続いています。外を歩いているだけでも汗がダラダラと出てしまい正直、営業や現地調査にはつらい時期となってきました。。。しっかりと水分補給をして仕事に挑んでいきたいと思います。

さて、今回は窓先空地についての解説です。すでに不動産投資をされている方は聞いたことがあるワードだと思いますが、詳しいところまでは知らないという方が多いのではないでしょうか?

窓先空地とは東京都建築安全条例という条例で定められていて、東京の建物に限ったものですが、似たような条例が他の市町村でも定められていたりします。

そもそもこの条例は東京のような大都市特有の狭い敷地や旗竿地など環境の悪い土地において、無理に建築を建てることで、住環境が悪くなったり、消防上の安全確保が困難になるのを防ぐために定められたものです。横浜市でも同じような条例がありますので、大都市ならではの規制となります。

もちろん公共の利益を考えると必要なものなのですが、不動産オーナーの立場からすると、収益性という意味で不利になってしまう項目がたくさんあります。窓先空地はその規制の一つとなります。

まずは条文をみてみましょう。

二項のロに記載している通り、共同住宅や寄宿舎(寮やシェアハウス)を新築したり、用途変更する場合は、居室から道路に安全に避難ができるように、居室から外部に出れる窓を設置し、空地に移動できるようにし、その空地から道路に移動するための通路を設置して下さいという内容となります。

イメージしやすいように200㎡のアパート、準耐火建築物の場合どのような空地が必要になるのか図を描きましたので確認して下さい。


上記の薄い青の部分が窓先空地となります。ここから道路に移動するために通路(屋外通路)がベージュの部分となります。つまり、このスペースの上には建物を建てることができなくなるのです。この窓先空地を設けるために建ぺい率や容積率を消化できなくなるというケースもあるのです。

「空地の部分を他の用途と兼用すれば良いのでは?」という意見も出そうなのですが、それはNGです。確かに、駐輪場や駐車場として使えば確かに有効活用はできますが、認められていません。あくまでも入居者が避難するためのスペースや通路となるため、障害物があってはならないのです。
また原則として、窓先空地の上部は青天井でなければなりません。つまり屋根や庇は設置できないのです。こちらを参照下さい。

窓先空地の攻略方法とは?

1つ考えられるのは、道路に直接通ずる窓を設置することができれば敷地内に窓先空地を設ける必要はありません。これは敷地形状や建物プランニング次第にはなるのですが、上手くいけば窓だけ設ければOKという形になります。

鰻の寝床のような接道面に対して細長いの敷地の場合は当然不利となります。できる限り接道面が長い土地を選び、道路に直接避難できるようなプランニングをすることで土地を有効活用することができます。こちらの図を参照下さい。

その他の方法としては、長屋にするという方法もあります。窓先空地が必要なのはあくまでも共同住宅なので長屋であれば不要です。共同住宅と長屋の違いについてはまた別の機会で解説をしたいと思います。

また、条文には載っていない裏技的な方法なのですが、先程窓先空地は青天井である必要があると記載しましたが、実は例外があって空地部分がピロティ空間であれば上部に構造物があっても大丈夫なのです。

ピロティとは外部に開放されている空間のことです。但し条件として、そのピロティに接する壁や天井は耐火構造でなければいけませんのでご注意下さい。イメージとしてはこのような感じです。これであれば上部に居室を設けることができますので有効活用ができます。実際に都内にはこのような共同住宅がたくさんあります。

あと注意点ですが、新築物件であれば確認申請するため違法となることは無いのですが、中古物件を購入して用途変更をした場合は要注意です。例えば戸建て住宅を共同住宅にする、あるいはシェアハウスなどの寄宿舎にする場合、窓先空地が必要となりますので上記対応が必要となります。(寄宿舎の窓先空地には緩和があります)

これは用途変更の規定とも絡んできますので、別の機会に詳しく説明しようと思いますが、
用途変更による確認申請が不要な場合でも、建築基準法を満たすことは免れません。

実際に何の対処もしていない物件、明らかに違反建築物だよねという建物が収益の市場にはたくさん出回っていますので、その辺りのリスクをしっかりと理解した上で購入する必要があります。

今回は以上となります。それではまた。


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