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既存不適格を間違って解釈すると損してしまうことがある理由とは?

東京は連日猛暑が続いています。梅雨はまだ明けていないようですが、日中の気温は35℃を超え、現地調査などで屋上チェックの際は地獄のような状況となります。できれば午前の早い段階か夕方に現地調査の予定を入れて欲しいのですが…

とは言え、現場で作業をする職人さんはこれを一日中続けているわけで、甘いことも言ってはられません。我々も気合を入れ直して業務に挑んでいこうと思います。

さて、今回は「既存不適格」についてです。不動産業界において頻繁に使われているワードですが、この言葉の意味について間違った解釈をしてしまうことで、使う側と受け取る側で齟齬が発生するケースが多いです。

酷い場合は、契約できたものが契約できなくなってしまったケースもあるので要注意です。

まず既存不適格という言葉から連想するのが、違反建築物ではないでしょうか?何も知識がない状態だと必ずそうなります。不適格=法律を満たしていないという解釈です。

実はこれはこれで間違っていません。既存不適格は法律を満たしていない建築物なのです。しかし、違反建築物ではないのです。「どういうこと?」と思われると思いますが
詳しく解説していきます。

そもそも「既存不適格」という言葉は建築基準法上で使われる言葉です。どの法律でも同じなのですが、法律は日々改正されます。

建築で言えば、阪神淡路大震災、姉歯事件(耐震偽造)、東日本大震災、等々で建物の耐震性について疑義生じる度に、より厳しい基準が新たに設けられてきました。また、容積率対象となる建物部分については逆に緩和の方向に進んでいたり等々、建物の安全性及び流通、開発の促進といった観点からその時代に合わせて変化しています。

それはそれで良いのですが、改正の度に現に存在する建物をその法律に合わせることは現実的には不可能です。
例えば耐震の基準が変わったので鉄筋の数を増やして下さいと言われても、物理的にも費用面でも対応は不可能なわけです。

よって建築基準法では、確認申請後に法律が変わることで、法律を満たさない部分がある場合は、建物をそのままの状態で利用すれば、新たな基準を満たす必要はないですよという取り決めにしているのです。これが「既存不適格」という意味です。

つまり、日本建物のほとんどは「既存不適格」なんです。
そして、既存不適格はそのままの状態、用途で建物利用する限り合法ということなんですね。

ただし、条件として確認申請をして完了検査を受けて建物を使用している必要があります。つまり建築当初の法律を満たしていなければならないということです。

では違反建築物とは何か?という点ですが、これにはいくつかパターンがあります。
まずは、①確認申請をしないで建築したケース。これは当たり前ですね。一番悪質です。

そして、次は②確認申請して完了検査まで終えたけど、その後、勝手に用途変更や増改築をして法律を満たさなくなってしまった建物。例えば車庫転や、屋上にペントハウスを増築したケースなどですね。

その他、③確認申請したけど完了検査をしていないケースです。今から30年以上前は完了検査をしないことが多かったので、世の中にはこういった建物が非常に多いのですが、実際に確認申請通りに建築されているかどうか(違反かどうか)については細かい検証が必要となりますが、完了検査をしないで使用しているという意味では違反です。

②、③のパターンで既存建物の遵法性について細かい部分を検証すると切りが無いのですが、不動産の実務上問題になるのは建ぺい率と容積率オーバーがほとんどです。

上記②や③のパータンで、建物の増築や敷地の一部売却、建物用途変更等により、当初の建築面積及び容積対象面積の上限値を満たさなくなってしまった建物は明確に違反建築物となります。

当然このような建物は、ハード面及び収益面で問題が無かったとしても、基本的には金融機関からの融資を受けることができません。(一部の金融機関、ノンバンクを除く)

ざっくりですが既存不適格と違反建築の違いについて解説しましたが、重要なポイントは物件概要書に「既存不適格」というワードが記載されている場合、それは何を意味して、違反建築なのかをしっかりと理解することです。

法律改正により既存不適格になっている分には何も問題ないわけですから、当然融資も問題が無いのです。

勝手な理解で既存不適格→やめておこうではなく、中身をしっかりと理解して判断をするということです。とは言え、そもそも不動産業者自体も既存不適格について正しく理解をしていないことが多いのでややこしいのですが‥‥

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