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「アドラッカー」なアドラー心理学の学び方

アドラー心理学… 1870年オーストリア・ウィーンに生まれた、医師・心理学者アドラーが実践し、まとめた「個人心理学」は、本で読む限り、心理学というより「(心理)哲学」と称されることが多いのが特徴だったりします。臨床的な心理学であり、先人たちの哲学を心理学の基礎にしつつ、人の純粋さ、人間関係の水平さ・対等さ、先輩フロイトへの科学哲学的批判、フロイトからの離反、「ポジティブ心理学」の基礎など…アドラーの言動は、当時からすれば近未来的な人間社会観があり、現代に生きる者として、そこにおもしろさがあります。

そんなアドラー心理学の学び方… なかなか実践者・研究者の方から学ぶ機会は多くないので、本の読み方と実践法。にします… 本を読み進める上で大切なことは何かをまとめてみます。

2つのポイントがあります。1つは、哲学的な研究者の著作であるかないかです。ハッキリ言えば、アドラー心理学は哲学的なんです。アドラー本人の著作はウィーン時代と亡命先アメリカ時代で分かれ、母国語のドイツ語か英語かでも異なるようですが、それ以上にアドラーは、古典哲学を心理学に応用し体系化を試みたのではないかと思うほど、人間心理を哲学的にまとめています。哲学者岸見一郎さんのアドラー心理学の著作や翻訳はとても読みやすいんですが、他の研究者の方の著作・翻訳とは読みやすさが異なります。私は、いわば「アドラーの人生訓」のようにアドラー心理学を学んでいます。

もう1つのポイントは、アドラーが「話し手」だったと思える点にあります。アドラーの著作は本人の執筆とお仲間によるアドラー講演録またはお弟子さんたちのアドラー心理学の著作の2つに別れ、私には講演録の方が読みやすくわかりやすいんです。アドラーが著作を多く残さなかったきと、69歳で急死されたこともありますが、「書き手」ではないアドラーは書き渋っていたのではないかとも思います。

そんなアドラー心理学のお薦めの読み方は、私が「アドラー読書会」で実践しております、岸見さんらの『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』から読み始めることです。小説ですし、対話型の構成ですので、ご自分に近い意見やお気に入りの言葉や文章を探すのが適切かと思います。そこから、岸見一郎さんの翻訳本へと移行し、『個人心理学講義』など2-3冊をお読みになると、アドラーの人生哲学とその実践習得法、現代の心理学との違いが明らかになって来ます。

「課題の分離」「他者貢献」「人生の3つのタスク」など学ぶことは意外と単純です。単純なだけに奥が深く、実践の中で「人の真理」のようなポイントにいろいろ気づかされます。マネジメントを研究する私としては、「人の成長」をどう考えるかなど大いに参考になり、活用の中で、マネジメントの真髄のようなポイントに出くわします。アドラーとドラッカーの交差点のようなポイントも見つけ、ウィーン出身で先生と生徒のような年齢差、関係の2人をイメージしたりします。そう、アドラー心理学は『マネジメント』とよく合います。『嫌われる勇気』の副題に「自己研鑽の源流」という言葉もあり、後で納得する言葉だったりしました。

ちなみに、私は、岸見さんに直接、アドラー読書会をしてることをお話し、初めて読書会の存在をお知りになり、「また聞かせてください」とお返事いただいたことを胸に読書会を続けています。

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