【小説】マリアビートル

伊坂幸太郎「殺し屋シリーズ」の新作「777 トリプルセブン」に、シリーズ2作目「マリアビートル」に登場したキャラが登場するようなので振り返り。

シリーズは全3作が出版されており、それぞれが独立していながらも共通のキャラクターが登場するつくりになっている。

以下はあらすじと感想。

あらすじ -Wikipediaからの引用-

元殺し屋の木村雄一は、幼い息子を遊び半分でデパートの屋上から突き落とし、意識不明の重体にした中学生・王子慧に復讐するため、東京駅にて彼が乗った盛岡行き東北新幹線「はやて」に乗る。ところが王子は木村が自分を殺そうとしていることはおろか、元殺し屋という過去も知っており、木村をスタンガンで気絶させる。自信家の王子は大人を翻弄することが好きで、今回も遊び半分で木村を誘い出したとし、自分の知り合いが密かに木村の息子の命を狙っていると教え、彼をコントロール下に置く。

腕の立つ殺し屋のコンビである蜜柑と檸檬は、裏社会の大物・峰岸良夫の依頼を受けて誘拐された彼の息子を救出し、支払われた身代金の回収を行った。それらを盛岡に運ぶため新幹線に乗るが、身代金の入ったトランクを紛失してしまう。さらに2人が目を離した隙に峰岸の息子も殺されていた。途中の各駅には任務確認のために峰岸の部下も配置されており、このままでは峰岸に粛清されるため、2人は慌てる。

ツキのない殺し屋である七尾は、仲介屋で仕事のパートナーである真莉亜より、「簡単な仕事」として東京駅から新幹線に乗り、トランクを奪って上野駅で降りる仕事を受ける。いざ上野で降りようとすると、偶然にも因縁ある殺し屋・狼と鉢合わせしてしまう。狼が邪魔をして上野で降りられず、その彼とは車内で揉み合いとなって殺してしまう。狼の死体を隠し、次の大宮で降りようとするが再び不運が訪れ、降車に失敗する。

それぞれ3組の殺し屋たちは自分たちの危機を脱するため、王子は大人たちを翻弄するため、身動きの取れない新幹線内で行動を起こす。

感想

"元" も含めると4人の殺し屋が同じ新幹線に乗り込むという異質な状況だが、その中でも特に目立っていたのは一見普通の中学生である「王子」。

物語が進むにつれて、「王子」に対する感情は複雑化した。

ストーリーは同時並行的に進むが、その進行は自然でテンポ良く読み進められる。

また、東北新幹線と殺し屋という現実と非現実の対比が、ストーリーに適度な緊張感をもたらしていた。

伏線はしっかり回収され、終わり方もまとまっているので読後感も爽快。


ちなみに、「マリアビートル」には前作「グラスホッパー」に出てくるキャラも登場します。

より楽しむために前作から読んでおくことをおすすめします。


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