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片頭痛治療 60を動かす力vs8を動かす力

おはようございます。

前回は片頭痛の原因について書きましたが、今回は治療について書いてみたいと思います。

慢性の頭痛の最大の原因は「脳の圧迫ストレス」であり、脳の機能低下による全身の筋肉の緊張収縮が起こり神経が圧迫されることで頭痛が起こると説明しました。

「脳の圧迫ストレス」は脳せきずい液の頭蓋内の貯留によって起こります。

貯留した脳せきずい液を頭蓋の外へ排出すれば圧迫ストレスは解除されるのですが、それだけでは完全に原因を取り除ききれておらず再びたまって症状が再燃します。

そこで大切なのが「体液」という概念です。

体重の60%は水分(体液)からなり、その2/3は細胞内液、残りの1/3が細胞外液(血液、リンパ液、間質液、脳せきずい液)に区別されます。

心臓から送り出された動脈血は全身の組織や内臓まで流れていきます。

毛細血管から酸素と栄養などを含んだ血漿(けっしょう)と呼ばれる液体成分が細胞と細胞のすき間(間質)にしみ出します。

このしみ出した血漿を間質液と呼び、細胞内に取り込まれエネルギーが作られます。

その過程でできた二酸化炭素と老廃物が細胞から間質へと排出され、その90%が毛細血管に吸収され静脈として心臓に戻ってきます。

残りの10%はリンパ管に吸収されリンパ液として流れていき途中で静脈に注がれます。


脳は体液の流れが少しだけほかとは異なります。

基本はほぼ上述したとおり(脳にリンパ管はありません)なのですが、動脈の一部は間質ではなく、脳の内側にある脳室と呼ばれる空洞にしみ出し流れて脳や脊髄(せきずい)の周囲を満たします。

これを脳せきずい液と呼びます。

脳せきずい液の大半は頭から脊髄(せきずい)側に排出されると脊髄から出る無数の神経1本1本を包んでいる膜のすき間を通り全身の組織や内臓に流れていき間質に注がれ、静脈やリンパ管に吸収され心臓に戻っていきます。

このように体液は全身を循環し細胞1つ1つに酸素や栄養が十分に行き届き、細胞は元気にそれぞれの役割を果たしてくれるのです。

つまり、体液の流れを良くすることが脳の圧迫ストレスを解除できる唯一の方法であり、細胞を元気にするためにも必要不可欠なのです

もちろん、脳(特に自律神経)からの命令も体液の流れと同じくらい細胞の働き(元気度)に重要ですので脳の圧迫ストレスを解除しなければなりません。

ところが世間一般では医学だけでなくそれ以外の健康関連の情報でも、体液ではなく血液の流れを良くすることだけに意識が向かれています。

血液は体重の8%しかなく、動脈は心臓のポンプの力で流れていますが、毛細血管や静脈中の血液、リンパ液、間質液、脳せきずい液、そして細胞内液の流れは心臓のポンプの力だけでは説明がつきません。

しかしながら西洋医学では、循環作動薬など心臓のポンプ作用を強める薬はありますが、体液の流れを調節する治療法・概念が存在しません。

一方で、ふくらはぎなどの筋肉(骨格筋)の収縮・弛緩で静脈やリンパ液は循環しているといいますが、それだけでは到底説明がつかないのです(寝たきりの人はどうなるのでしょうか?)。

では、体液の流れをつくっているのは何なのか?

それが「脳呼吸」です。

椅子に腰掛けて、両手を両太ももに軽く置き、手のひらに集中して大きく深呼吸をしてみてください。
息を吸うと太ももがわずかに膨らみ、吐くと縮むのがお分かりでしょうか?

私たちの身体は1枚の筋膜(深筋膜といいます)で包まれ、その中に筋膜、骨膜、漿膜、神経周囲膜といった中ぐらいの膜が存在し、その中に細胞を包んでいる細胞膜の3層構造になっており、その中を体液で満たされている水風船のようなものです。

脳せきずい液が作られる時、頭蓋骨は大きくなり、脳せきずい液が排出される時、頭蓋骨は小さくなります。

頭が拡大すると、横隔膜が下がり息を吸い(吸気)、頭が小さくなると、横隔膜が上がり息を吐く(呼気)ので、頭蓋骨のこの一連の動きを脳呼吸と呼びます。

脳呼吸は3~5秒ごとに吸気と呼気を繰り返しています。

ちなみに、産道から出てきた赤ちゃんはまず最初に頭に血液が大量に送りこまれ頭が大きくなり(脳せきずい液が作られる)、横隔膜が下がって息を吸い、吐く時「オギャー」と泣きます。

頭蓋骨の動きに合わせて深筋膜をはじめとする3層の膜はわずかに膨らんだり縮んだりすることで体液は流れていくのです。

なので、脳呼吸を整え体液の流れを改善することができる治療が必要不可欠になるのですね。

体液の流れが改善すれば脳の圧迫ストレスを解除することができ、脳血流量が増え脳(自律神経)の機能も改善します。

すると、全身の筋肉も緩み、神経の圧迫がなくなり頭痛の根本的な原因を取り除くことができるのです。

西洋医学では様々な薬を使って、8%の血液の流れを良くすることに尽力をつくします(決してこのことが悪いというわけではありません)。

しかし、片頭痛を治すには60%の体液の流れを良くする「脳呼吸」の力を改善させる必要があるのです。

それができるのが、当院で行っている細胞活性化療法の1つ、CSFプラクティスです。

薬でもない、高度な医療機器でもない、この「手」を使った治療こそが「脳呼吸」を呼び覚ますことができる治療なのですね。

ありがとうございました。


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