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〈エッセイ〉サイレンの鳴る街

僕の住んでいる町では1年365日、必ず正午にサイレンが鳴ります。鳴らしているのは消防署です。10月中旬の火災予防月間には午後5時にもサイレンを鳴らします。約10秒ほどのサイレンですが、けたたましい音です。

歴史を見ますとサイレンは1800年代にフランスの物理学者が考案したものらしく、その頃から警戒のために使われていたらしい。わが町でも昔から畑に出かけている農家の人々に正午を知らせたり、霜が降りる夜など、注意を呼びかけたりするために使われていたとのこと。

しかしなぁ・・・21世紀の現代において、このサイレンというのは本当に必要なのでしょうか。火事の際に鳴らすのは理解できます。しかし農家の人たちは腕時計を持っていないとでもいうのだろうか。生活者の立場からすれば、「昼だぞう~」とサイレンを鳴らされなくても、昼なのは誰でもわかります。

中学、高校時代私の実家はもと材木会社だったので、工場のすさまじい機械の騒音の中、働いている人たちに休憩時間を知らせるためにサイレンを使っていました。それも理解できます。私も小遣い稼ぎにアルバイトしていましたが、サイレンが鳴ると「休憩時間だ!」と嬉しくなったものです。

しかし、私の町では何故正午に鳴らすのでしょう?町民達は皆どう思っているのでしょうか。

もうずいぶん前に自分で経営している英会話教室で、Barryというアイリッシュの講師を雇用したことがあるのですが、彼は初めてこの町のサイレンを聞いたとき、「空襲か?」と思ったそうです。説明するのが面倒だったのですが、正午のサインなんだということを教えると「日本人はサイレンがなければ正午だって理解できないのか?」と聞かれてしまいました。

皆さんの町は如何ですか? 
サイレン・・・鳴りますか?

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