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なりたてロン毛のアーカイブ(2019.08.21)


6月中旬のこと。
大学時代の友人ターボーは広島から東京に拠点を移す前日、「泊まる所がないので明日泊めて」とのことで当日の朝僕の家にやってきた。僕は仕事から帰り、久しぶりの彼と他愛も無い会話をした。次の日も僕は仕事だったため、彼より先に家を出た。鍵はポストに入れといてね、と。

その日夜遅く仕事から帰ってくると、彼はまだ居る。あ、とりあえず今日も泊まるのだなと悟った。次の日も僕は仕事だったため、彼より先に家を出た。鍵はポストに入れといてね、と。

その日も夜遅く仕事から帰ってくると、彼はまだ居るのだ。3日、1週間、1ヶ月経っても彼はまだいた。その時、六畳の狭い家に居候が来たのだと1ヶ月を過ぎてから分かった。

そして丁度2ヶ月たったある日のこと。
その日も僕は夜遅く仕事から帰ってくると、彼はいなかった。音沙汰無く、彼の荷物も全て。僕は思った。長い1日が終わったのだと。彼の言う明日という1日は世間でいう2ヶ月のことなんだと。長いようで短い、とても濃い1日が終わったようだ。

次の日も僕は夜遅く仕事から帰ると、そんな彼は当然もういない。1人になった安心感と少しの寂しさが相まって、大人の階段を一歩登った、そのような気がした。そんな僕は今、寝る用意をしている。仕事から帰ってラーメンを食べ終わり、クーラーをつけながら歯磨きをして。なぜならば、また明日仕事に行かないと。

そんな彼は鍵はアクセサリーとして持ち歩いているらしい。
ポストに入れといてくれよ〜。

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