「Hirotomusicと読書」第5回 群ようこ「パンとスープとネコ日和」
群ようこさんの作品を私は本作を含め4作読みました。
「かもめ食堂」「れんげ荘」「ひとりの女」、そして本作、「パンとスープとネコ日和」
どの作品も全て、1人の独身女性が自分の生きたいように生きることを始めるストーリーです。
本作は、女手1人で育ててくれた母、カヨコを突然亡くした、カヨコの1人娘アキコが、自身が誇りを持って働いてきた出版社の編集部から、急に経理部に異動させられることが決まり、それを機に、その出版社を退職し、母カヨコが生前営んでいた実家の食堂を改装し、ネコのタロとそこで暮らしながら、パンとスープがメインの店を始める物語です。
この作品は同じ群ようこさんの作品である「かもめ食堂」の映画で主演を務めた小林聡美さんがアキコ役として主演を務めドラマ化されています。
私はこのドラマも大好きです。
この作品の中で、アキコが始めるパンとスープがメインの店は、アキコが学生時代に見ていた母カヨコが客と夜遅くまで、店で酒を呑み交わしていた姿があまり好きではなかったこともあり、母が営んでいた食堂とは全く違うスタイルのお店で、お酒も出さず、夜の営業もしません。また、パンとスープだけを提供するという頑ななこだわりから、コーヒーすら出さず、コーヒーを出さなければならない時は、店の向かいにある喫茶店に注文します。
しかし、そんなアキコも始めたての店で、彼女自身、飲食店経営のいろはを知らず手探りの状態で店を営んでいるため、何度も悩みますが、アキコの店のアルバイトのしまちゃんや、少し嫌味ったらしい小言ばかり言うけれど、実はアキコの店を陰で応援してくれている向かいの喫茶店のママなど、個性豊かな周りのキャラクターに支えられながら、アキコは店を盛り上げていきます。
一見、街の片隅で、ネコと暮らしながら、パンとスープの店を営むという、のどかで静かな感じの物語ですが、アキコの複雑な生い立ちについてや、タロとの暮らしなど、店の経営以外の伏線もとても楽しめる作品です。
群ようこさんの作品はのんびり寝転がりながら読書をしたい時に読むのに最適です。また、私は群ようこさんの人物描写や日常をとことん丁寧に描く作風がとても好きです。
自分もそんな風に音楽を作れたらなと思います。
今回の「Hirotomusicと読書」は群ようこさんの「パンとスープとネコ日和」でした!
最後まで読んでくださりありがとうございました!
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