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過去のいじくりまわし

 歴史的、世界的ポップミュージックの金字塔、the Beatlesの新曲「Now and Then」がリリースされました2023年11月現在(連休最終日5日)です。
ジョン・レノンのデモテープ(カセット)から歌声を抽出し再編集したこの曲は、色々と議論を呼んでるようです。私もいち音楽愛好家、いち音楽制作者としてなんか言うておかんと、この日の後の音楽作業がスッキリできん気がしまして、投稿です。

 賛否両論から言いますと、私はこの曲については賛成です。ジョンのデモより新しいバージョンの方が、最初の「I Know it's true~」のメロディの掴み、そのフレーズの良さがグッとくる素敵な処理がされていて、最初の4小節でご飯3杯いけます。デモではおそらくBパートにあたる「I don't wannna lose you〜」のところが無いことに関しては、曲構成は新バージョンのABでのワンコーラスで良しとして、ブリッジのCとしてどっかにぶっ込んでもよかったような気もします。無いことは個人的には食い足りない感があり残念です。でも、私のこれからリリースを予定している私の曲に「I don't wanna
~」ってのがあるので、このBパートはなくてOK!(どうでもいい)
 
 でも、悩んだんでしょうね。新バージョン制作の皆さんは。心情的には使いたい、でも、ジョンのデモ通りだとポップソングには仕立てにくい。「I don't wanna lose you~」と言われてもジョンもジョージもいないし、となんだか色々判断したんでしょうね。MVは繰り返しは観ません(ビデオに関してはこれ位以言いようがない)

 このうように、過去の作品なり音源、資源をいじくり回して新作として世の中に出すことは、私は自らの実践行為として肯定的です。できれば某日本のシティポップス大御所のように「セルカヴァはやらん!」と啖呵を切りたいところですが、立場が違うし教条主義もめんどくさいので。

 少し宣伝臭を放ちますが、私も「Hirotoki Music」という名義で2023年1月か、2月に音楽アルバムをリリースしました。このアルバムのために作った2022年以降の新曲などなく、一番ふるい曲で今回初めて世の中に出した曲は32年前のもの。一番あたらしくても5〜6年前のもの。でも、まあ歌詞のほとんどは、2022年10〜11月に書き直したものがほとんどで、それをどう捉えるか?ですが。もう少し再生数が伸びたら、各曲解説でもしようかな。つか、それやったほうが、再生回数は伸びるのか?・・・。お願いです、よかったら各種音楽サブスクで聴いてやってください。

 そういった古い曲もいくつもバージョンがあって、とにかく繰り返し作るわけでして、締め切りを設けて世の中に出した、というのが私のアルバムです。自分の曲(自分で作ったメロディー)ですから、いかようにいじっても、いかような形にして世の中に出しても私の勝手です。1つのメロディーで歌詞が4つ、アレンジパターン5つくらいある曲もあります。(心あるシンガーソングライターとして世の中に宣言する気はございませんのでご容赦を)

 今回のthe Beatlesの「Now and Then」については「ジョン・レノンはいないんだよなぁ」という点において色々と考えさせられるところです。ジョン個人としては、デモで終わってるわけですから、世の中に出さなかった、出せなかったわけでして、個人の作品として、個人の意図としてこの曲はボツ、または自分の意志でいずれは出そうとした曲な訳です。その無念さに同情します。だけどね、ジョンはもういないんですよ。「いいものは良い」ということで、オノ・ヨーコ、ポールもリンゴも今回の制作に踏み切ったんでしょうね。彼らの音楽愛を信じつつ、いい意味での「死人に口無し」を恋卯亭したいと思います。良いことだと思います。私も自分の亡き後、こんなふうに曲が再生されたら、そりゃ嬉しいでしょうけど、その時は私もいないんで「死人に口無し」です。
 
 ここでこの記事のタイトルを「死人に口無し」にしようかな、と思いましたが字面が良くないので却下。過去(の産物)をいじくり回して、新しいものを作ることは、とても楽しいですし、知らないものがそうやって新しい刺激となって、世の中を賑わすことには賛成です。

 ですが、寂しい気もします。私にとっては、絶対いじって欲しくない作品というのがいくつかあるからです(例えばYMOのテクノデリックというアルバムでリマスタリングすら却下)そういう作品をどんどん生み出して賑わう「Now」であって欲しくて、いつまでも「Then」にこだわることはないし、良き「Then」はそれが自然の摂理のように、遺伝子細胞のように残ってくわけですから。
でも、過去のものをいじって、聴いてみたい衝動に駆られる作品もあるのも事実。音楽はそれがやりやすいジャンルですね。楽しい音があれば良いんですよ。

 さて、これから、20年前に作った曲をいじり倒して、バンドのメンバーに資料を送りつけます。でも、ちゃんと2023年の新曲も作ってます。タイトルは「どおして〜」(仮)です。
なお写真は、2023年9月19日のライブイベントのステージ写真です。

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