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第二外国語学習の効用

 英語は比較的多くの外来語をその中に取り入れており、特に現在のフランス語、スペイン語、イタリア語などの源流になっているラテン語の影響はかなりあります。

 私もフランス語を勉強する機会がありましたが、これが案外英語の理解に役立つのです。英語だけを勉強する場合には、とにかくその単語のつづりと意味を覚えるしかないようなケースでも、その言葉の源流がラテン系の言葉である場合は、フランス語からの類推でその意味を理解したり、推定したりできることが、比較的多くあります。

 例えば、英語に"dormant"という単語があります。銀行などでかなり昔に開かれた口座に何の入出金もない状況が長年続くような場合に"a dormant account"(休眠口座と訳すことが多い)というように使われますが、この"dormant"はフランス語では「眠る」という意味の動詞"dormir"の現在進行形("ant"は英語で言う"ing"です)なので、"dormant"=眠っているということが分かるのです。もちろん、現代のフランス語がそのまま英語になっている例も多く、特に料理や音楽など特定の分野では、かなり顕著になります。"cuisine"とか"croissant"などは代表例です。フランス語を習えば初級レベルで覚えるようなことばが、英語では中級以上のやや上品なことばになったりする訳です。

 この記事を書いていて、ヘッダーに貼り付ける写真を探そうと"dormant"でググると、面白いことに、たくさんの山の写真が出てきました。そこには、"active volcanoes"とか"dormant volcanoes"などの解説がありました。こんな説明に行き着くなんて思っていなかったのですが、そういえば"dormant volcanoes"は「活火山」(active volcanoes)に対する「休火山」なのだと気がつきました。瓢箪から駒ですね。

 こう考えると、英語を習う人には、それに影響の大きかった言語、特にラテン系の言葉を同じに習われることを改めてお勧めしたいと思います。ふたつ習うのは大変と感じるかも知れませんが、今日申し上げたように、相乗効果があるのです。

 但し、英語をならったことが、フランス語に与える影響はかならずしも大きくないように思います。逆は必ずしも真ならずです。(Not vice versa.)特にフランス語は外来語の流入には非常に神経質な言葉なので、英語からフランス語に入ることばは、フランス語が英語に入る度合いに比べるとはるかに小さいからです。

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