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シン市役所:解体新書|#3建て替えって必要なの?

 こんにちは。美濃加茂市長の藤井浩人です。
#3は『建て替えって必要なの?』と題してお送りします。

 新庁舎整備事業について、 「早く建て替えて!」とか「そもそも建て替えなんて必要なの?」といった様々な視点のご意見を頂戴します。 今回は建て替えは必要なのか?建て替えの重要な視点は何なのか?についてお届けします。


1.全国的な建て替えの流れ

 新庁舎の問題は美濃加茂市だけの問題なのでしょうか。建て替えの全国的な流れを追っていきましょう。

 建て替え等の整備をおこなった自治体は、2020年度47自治体、2021年度74自治体、2022年度39自治体、2023年度43自治体(うち3自治体は予定)。2033年(令和15年)度までに91自治体が整備予定、時期未定は美濃加茂市も含めた68自治体となっています。


 近隣自治体では以下の自治体が直近で新庁舎整備を実施しました。


今後予定の自治体は、
岐阜県:本巣市(2024年度)、白川町(2025年度)、多治見市(2026年度)、御嵩町(時期未定)、美濃加茂市(時期未定)
愛知県:知多市(2027年度)、安城市(時期未定)、長久手市(時期未定)
三重県:朝日町(時期未定)、明和町(時期未定)
滋賀県:湖南市(時期未定)

2.建て替えの理由

 建て替えの理由は自治体によって様々ありますが、

①耐震性の不備
②老朽化
③狭隘化(きょうあいか:せまいこと)
④サービス利便性向上
⑤災害時の拠点化
⑥バリアフリー化

各自治体のHP参照

などの理由があります。

3.美濃加茂市のケース

 美濃加茂市の理由は、2022年12月(令和4年)の広報minokamoにて以下のように発信しています。

この61年の間(2022年12月時点)には、まちの発展や人口増加に伴い、西館と分庁舎を建設したほか、洪水(9・28災害)などの自然災害にも遭いましたが、その都度改修工事を行い、工夫しながら使い続けてきました。しかし、電気や水道などの設備も古くなり、維持修繕にも多くの費用が掛かっています。 また、現在の美濃加茂市役所は本庁舎の本館・西館ともに耐震改修工事を終えていますが、建物本体・設備の老朽化は進行しています。大きな地震が発生したときには、建物は倒壊しないものの、市役所としての機能を維持することはとても難しい状態です。 平成28年4月に発生した熊本地震では、被災した自治体の市役所庁舎が大きな被害を受け、市民サービスを一部提供できないということもありました。

2022年12月(令和4年)の広報minokamo

詳しくはこちらをご覧ください。

 耐震性能はIs値という指標で表します。Is値とは構造耐震指標(=Seismic Index of Structure)を指し、0.6以上であれば倒壊または崩壊する危険性が低いと判断されます。強度や粘り強さを示すE0(保有性能基本指標)、形状やバランスを示すSD(形状指標)、劣化を示すT(経年指標)により算出されるそうです。

ちなみに文部科学省は公立学校施設のIs値を「おおむね0.7を超えること」としています。 美濃加茂市の現在の市役所のIs値は「1-3階:0.72、4階:0.61」という数値となっており基準はクリアしています。

 2016年の熊本地震に対する国土交通省の報告書によれば、「耐震改修済みの鉄筋コンクリート造等建築物で、構造部材の損傷度の大きいもの(未補強箇所の部材のせん断破壊など)があったが、倒壊・崩壊等を生じたものは報告されていない」とあります。つまり、想定される大地震が発生した際に、崩壊するような庁舎ではありません。耐震性という点については、ひとまず、ご安心ください。

 しかし、震災の際に、庁舎の倒壊は免れても、施設の機能を維持することは困難。当たり前ですが、Is値は未来永劫変わらないものではありません。

 また、新しい庁舎と現在の美濃加茂市の庁舎では、”新しさ”だけではなくく、相談窓口のプライバシー保護や、バリアフリーなど充実した環境とは言えません。2017年2月の新庁舎整備基本構想策定委員会の資料にも市民窓口の機能向上(フロアレイアウト等)は限界。高齢者や乳幼児連れのお客様などへの施設機能改修(バリアフリー等)も限界。分散化した庁舎配置・・・と、示されています。

結論:建て替え等の必要あり


2012年9月 美濃加茂市庁舎建設基金条例を制定
2012年12月 美濃加茂市新庁舎建設検討委員会設置(2016 年4月廃止)
2016年4月 経営企画部施設経営課にて新庁舎整備事業を移管
2016年6月 美濃加茂市議会新庁舎建設特別委員会 設置
2016年12月 新庁舎整備基本構想の策定に着手

このようにして、新庁舎整備事業が始まりました。


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