簡略 利己と利他の種類

利己から利他は緩やかなグラデーションでつながっている。それを大きく分ければ以下になると思う。

1 全くの利己 身も蓋もない利己である。ケーキを切り分けた人が、自ら一番大きなケーキを取ることである。この種の利己は、能力の欠如から来るのだと思う。なのでその人を責めてもどうしようもない。おバカさん、と敬称をつけるべき人たちである。

2 リターンを意識した利他 これが普通の利己である。かつ大きな幅を持っている。他者からの見返りを勘定に入れた贈与である。
・誕生日プレゼントやお歳暮で、反対給付の期待が直接その相手になっている。これだけのことをしたから、同じくらいのことは返してね、と。
・贈与から反対給付までの間に何人か入ることもある。Bさんに伝わることを前提に、Aさんに対してBさんのことを褒めて、Bさんからのリターンを期待する。
・反対給付の受け取りが直接本人でないこともある。
世代差の利己。子や孫たちの為に良い環境を残そうと、近所の公園の掃除をする。近所の人たちに挨拶をする。
空間差の利己。外国旅行をしたとき、行く先々で親切にされた。日本で旅行者を見たら、お返しの意味で親切にしてあげる。次回旅行に行くときは、別の人から返ってくるかもしれない、と思いながら。

3 社会のために自分なりの価値・格率を持つ理性的利他 公正や正義と言われるものである。もともとは自分が侵害や損害を被った経験から発し、利己行為者への怒り、侵害被害者への共感を普遍化し社会に適用したものだと思う。

4 内発的利他 共感的利己 思わずしてしまう利他である。相手の中に大切な、無垢な自分を見て、その自分を大切にする結果、相手を大切にすることである。

これらの利己から利他のグラデーションの中で、良き社会、良き共同体に必要なものはどれだろう。

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