エッセイ ランの根を見て分かること 2024年4月10日
私はコチョウラン、カトレア、デンドロビウムを栽培している。これらのランを栽培して気付いたことを書こうと思う。
私が気付いたのは、根の太さとその伸びる向きである
。
コチョウランの根は太く、かつ2~3年前の葉の付け根、つまり茎の途中から根を出し、栽培条件にもよるのだろうが、多くは空中に向かって根を伸ばす。
カトレアの根はコチョウランよりやや細い。去年の株の根元の少し上から新株を出し、その新株の根元から根を出して、上方向には伸びない。横か下である。
デンドロビウムは更に根が細い。去年の株の根元から新株を出し、その新株の根元からほぼ真下に向かって根を伸ばす。
この差はなぜできたのだろう。私の予想は生育場所の水分条件の差である。
コチョウランは水分条件が悪い場所で生育するので、降雨による水分補給をほとんど期待できない。幹に着生しているので、すぐに流れ落ちてしまうのだ。そこで空気中から水分を得ようとして、根のスポンジ質を分厚くした。根は土壌にもぐらないので、太くなっても問題はない。下に向かって根を伸ばす必要がないので、発根場所は茎からである。
生育場所は、種子が発芽するためにはどうしてもある程度の湿度が保たれた場所が必要だが、発芽してしまえば、空気中から水分を補給できるので、より日当たりの良い乾燥した木の幹に茎をのばすことが出来るだろう。
デンドロビウムは樹上性、岩上性であるが、根の形状を見ると、保水条件の良いところで育成しているだろう。つまり根は下向きで細いので、堆積物の中に入り込みやすくなっている。
生育場所の候補としては、岩の割れ目で砂礫が堆積している場所、また腐葉土が少し厚く堆積した木の二股部分などが考えられる。岩の割れ目で生育した場合、強い直射日光に耐える可能性がある。
カトレアは両者の中間である。中間の根の太さだから、ある程度空気中からも保水できるようになっているし、柔らかい堆積物の中なら潜り込むこともできる。砂礫では難しいが、腐植質なら入り込める。
生育場所としては、樹上の少し腐植質が溜まる二股部分あたりだろう。たぶん日陰である。
と言うようなことが、根の太さと伸びる向きから予想できる。
自然はパラメーター(影響する要因)が多いので、形態から生育条件を完全に予想することは出来ないが、想像することはとても楽しい。
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