エッセイ ナツメヤシ(デーツ)の謎 2023年9月
私にとってナツメヤシは中東を象徴する栽培植物である。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%84%E3%83%A1%E3%83%A4%E3%82%B7
エジプトを11月に旅行した時、市場で生のデーツがたくさん売られていた。日持ちしないが、美味しかったので毎日のように朝食に食べていた。
エジプトを出国してスーダンにいたときには、石のように堅い乾燥デーツを買って、湯で煮込んでやはり毎日のように食べた。
2019年に帰国してからは、生のデーツはもちろん入手できないが、ソフトな乾燥デーツをよく食べるようになった。
タネを見るとどこから発芽するのか良く分からなかったので、水に濡らした脱脂綿に種を包んで発芽させてみた。
春先だと発芽するのに2ヶ月近くかかったが、夏ではわずか1週間で芽が出た。
まず驚いたのは、全く予想外の場所から発芽したことだった。どんな植物でもタネに養分を送るとき、幹からタネに入り込む栄養管のようなものが必ずある。発芽するときはその殻の弱い部分から発芽するものである。
が、全く違った場所から発芽してきた。何故こんな進化をしたのか、想像がつかない。よほど栄養管の入口が固く閉じられているのだろう。
発芽後、ペットボトルに水を張って飲み口に種を置いて根が浸かるようにして育てている。ここでまた驚きがあった。
下に向かって伸びている根の途中から芽が上向きに出てきたのである。
デーツは乾燥地帯が原産地だと思われるので、とにかくまずタネが乾燥してもいいように、水を確保するために根を地中に入れ、乾燥したタネから芽を出せないので、地中にある根から芽を出すように進化したのだろうか。乾燥地帯の植物の生態を全く知らないが、他の植物もこのような戦略をとっているのかもしれない。
もしくはそのあたりの根からひげ根が生えてこないので、始めに地中に伸びたのは根ではなく、茎かも知れない。
世の中には、予想もしない不思議な気持ちにさせる出来事があるものである。
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