エッセイ 畑の雑草 マルバツユクサの戦略 2024年7月24日

和歌山の実家に滞在している。両親が年老いて家庭菜園の雑草取りもままならないようなので、私が雑草を取っている。今日、畑の畝にはびこっているツユクサを引き抜いてみると、根っこに白い1cm弱ほどの大きさの鱗茎のようなものを多数つけていた。

「ツユクサって根にも栄養を貯めるんだ。これだけ身近な植物なのに全く知らなかったな。確かにツユクサを根っこから抜くことってあんまりなかったからな。抜きそびれた鱗茎が発芽してくるだろうから厄介な雑草だな」などと、汗だくになりながら思っていた。

部屋に戻ってからネットで調べてみると、どうやらツユクサではないらしい。熱帯アジア原産のマルバツユクサであった。しかも、この白い小さな塊は鱗茎ではなく、つぼみであった。土の中で開花し結実するようだ。地中で結実する有名な植物は落花生だが、落花生は地上で開花した後、花柄を伸ばして地中に入り結実する。しかし、マルバツユクサは地中にある茎から花茎を伸ばすので、土の中に入りっぱなしだ。世界には本当に不思議な植物があるものだ。

地中の花はもちろん風媒花でも虫媒花でもなく、自家受粉するしかない。つまり、遺伝子の大きな改変はできないだろう。大きな環境の変化には適応できないはずだ。しかし、地上で咲く花は他家受粉するだろうから遺伝子が半分入れ替わり、環境の激変に対応してきたのだろう。ちょっとうまいことできすぎてる。

さらに調べてみると、地上の種子も地下の種子も大小それぞれ2種類の大きさがあり、合わせて4種類の種子は発芽の時期を季節によって変えているらしい。

以上、進化の過程も興味津々な植物であった。

追記:

調べてみると、開花せずに結実する花、閉鎖花は日常的に見かけるホトケノザがあった。が、これは地上で閉鎖花を作るようだ。地下で作るものにはツユクサと同じ仲間のミゾソバがある。世の中知らないことだらけである。

訂正

ミゾソバはタデ科。 閉鎖花は匍匐茎、つまり地上につける。

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