バスケで勝負強さを発揮するクラブは何に長けているのか?
1.小噺のつもり
「2位じゃダメなんでしょうか?」とは遡ること15年前、事業仕分けで某議員から発せられた言葉。
計画が凍結となったスーパーコンピューター「京」の開発には、富士通も名を連ねていました。
富士通と言えば、2024年4月15日にWリーグ(バスケットボール女子日本リーグ)で16年ぶり2回目の優勝を成し遂げたことも記憶に新しいかと思います。
男子プロバスケットボールリーグ「Bリーグ」では、年間王者を決めるチャンピオンシップ出場枠を獲得するための熱い試合が繰り広げられています。
改めて、「2位じゃダメなんでしょうか?」と聞かれたら、あなたはどう答えますか?
私なら、今は2位に入ることに非常に大きな価値があると答えます。そして、5月9日(チャンピオンシップのトーナメントが始まる日)になったら2位じゃダメだと真逆の発想をしているはず。
そして、5月21日(決勝進出クラブ決定)~5月25日(決勝1試合目)には、報道陣の前で「普通にやれば勝てる」と自らと仲間を鼓舞する強心臓の持ち主が現れないかに注目するとともに、その言葉を発する選手がいたとしたら彼の所属クラブが優勝を成し遂げるかが気になって仕方なくなっていることでしょう。
2.40勝超えの4クラブ(2024年4月20日時点)
2024年4月20日開催試合が終了した時点で、40勝以上のクラブが4つ(全24クラブ中)あります。勝ち星の数、得失点差が多い順に並べると以下のようになります。
①宇都宮ブレックス
47勝8敗(勝率.855)/ 得失点差 +648(1試合あたり11.8)
②アルバルク東京
44勝11敗(勝率.800)/ 得失点差 +638(1試合あたり11.6)
③三遠ネオフェニックス
44勝11敗(勝率.800)/ 得失点差 +601(1試合あたり10.9)
④琉球ゴールデンキングス
40勝15敗(勝率.727)/ 得失点差 +310(1試合あたり5.6)
ここで注目したいのは、琉球は他の3クラブの半分くらいの得失点差であること。
他の3クラブと勝ち星の数が4~7違うため、得失点差が勝ち星の違いとして表れているということも言えますが、「宇都宮」と「A東京・三遠」は勝ち星の数で3の違いがあるものの、得失点差は1試合あたりで見ると0.2~0.9点と僅差です。
私は、得失点差から琉球の勝負強さが垣間見えていると思います。
因みに、40分間で決着がつかない場合はオーバータイム(延長)に突入するのですが、オーバータイムの時間が一番長いのも琉球だったりします。55試合を終えて、35分のオーバータイムを経験。他の23クラブは5~25分で、24クラブ平均は14.2分ですので平均の約2.5倍です。
3.勝率8割のクラブのスタッツ
この記事のテーマに迫るために、2024年4月20日までに開催された661試合のスタッツを40分換算に補正(条件を揃えるため)した数字を使います。相対評価を際立たせるために偏差値も登場させます。
本題に入る前に勝率8割の3クラブのスタッツを紹介します。
宇都宮のスタッツで図表の詳細を説明すると、
■ターンオーバー、ファウルは少ない方が良い
■相手チームのターンオーバー、相手チームのファウルは多い方が良い
という判定をしています。
偏差値の数字の背景色は、
「黄緑」:優れている(偏差値60台)
「緑」 :特に優れている(偏差値70台)
を表します。
A東京・三遠のスタッツの図表も眺めてみると、
勝率8割以上のクラブには
■1位の項目が複数ある
■偏差値70台の項目も複数ある
■全項目の4割弱が偏差値60以上
という共通点があります。
4.勝負強さを発揮するクラブは何に長けているのか?
琉球のスタッツを眺めると
■1位の項目がない
■2位の項目もない
■偏差値70台の項目もない
■偏差値60以上の項目は1桁(9項目)
ということが分かります。
偏差値60以上の9項目から読み解くと、勝負強さの秘訣は
■リバウンドを制する
■オフェンスリバウンドから得点に結び付ける
■フリースローを引き出し、着実に加点する
■アシストと3点シュートを簡単には許さない
ということ。
最後に、冒頭の問い「2位じゃダメなんでしょうか?」に対して、複数の重要な分野で3位に入っていたら高みに近付けるという答えもありかも知れません。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!
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