広島ドラゴンフライズは、どう変わったのか?
2023-24シーズンがクラブ10シーズン目の節目となる広島ドラゴンフライズ。今シーズンは"Keep Going"というスローガンを引っ提げて臨みました。
そして、2024年5月4日のレギュラーシーズン最終節 GAME1で2年連続のチャンピオンシップ進出を決めました(おめでとうございます!)。
勝敗で比較すると、
昨シーズンは全59試合で41勝18敗(勝率 .695)
今シーズンは59試合目で36勝23敗(勝率 .610)
と勝ち星が5つ減っていますが、私にはクラブは良い方向に進んでいるように見えます。
勝敗を競うスポーツで勝ち星を減らしているのに、どうして良い方向という言葉が出てくるのでしょうか?
1.なぜ良い方向に進んでいると見えたのか?
バスケットボールでは試合の中であったり、次の試合に向けて改善が積み重ねられますが、次のシーズンに向けての改善も大事です。
広島はクラブが目指す方向性を懇切丁寧に説明されていますので、2023-24シーズンを迎える前にどのような振り返りを行い、何を改善させようとしていたのかを見てみましょう。
クラブは、2022-23シーズンのことを以下のように振り返っています。
その上で、2023-24シーズンで優先する改善事項として
を掲げています。
前置きが長くなりましたが、クラブが優先する項目が改善されていたら、それは良い方向に進んでいるのではないか?と思った訳です。
この先は、広島のスタッツを基に話を展開していくのですが、3つの改善事項の中でフィジカル面は数字だけでは何とも説明しがたいため、リバウンドとディフェンス効率性の2点に絞らせて下さい。
リバウンドについては、
ORB%(オフェンスリバウンド獲得率)
29.4% ⇒ 32.1% +2.7%
DRB%(ディフェンスリバウンド獲得率)
68.9% ⇒ 69.0% +0.1%
ディフェンス効率性については、
Opp eFG%(試合相手のシュート効率)
51.5% ⇒ 49.5% -2.0%
確かに改善してますよね、以上をもちましてという訳ではなく、相対評価も見ていきましょう。
昨シーズンはeFG%(シュート効率)がトップで、
・ORB%
・DRB%
・Opp eFG%
が平均を下回っていました。平均を下回った項目は、今シーズンの優先的な改善事項であるリバウンドとディフェンス効率性とリンクしますね。
今シーズンは、ORB%とOpp eFG%については「昨シーズンとの比較」と「他クラブとの比較」の両面から改善したと言えます。一方で、DRB%は「昨シーズンとの比較」では0.1%の微増、「他クラブとの比較」でも平均を下回っていることから引き続き改善が必要な項目と言えます。
2.攻撃力が落ちてませんか問題
ここまで見てきて、リバウンドとディフェンス効率性は確かに改善したのだろうけど、他を圧倒していた攻撃力は落ちていませんか?と思われた方も多いのではないでしょうか。
数字としてハッキリと示されているので、確かにそうですね。
昨シーズンは3番目に多かった得点が、今シーズンは13番目と10も順位を下げました。78.8得点は平均値78.5点(注:40分あたり)に近い数字ですが、そこまで悲観する数字でもないと思っています。
攻撃1回あたりの得点で見ると順位が8番目まで上がります。また、守備力に磨きがかかっているため、昨シーズンは59試合で+332だった得失点差が今シーズンは59試合を終えた時点で+358と改善しています。
また、広島が目指すスタイルが
であることも思い出しましょう。
粘り強く、強固なディフェンスが前に出ています。
3.求む、守備力
試合に勝つことを、40分を終えた時点で相手よりも得点が多いことと捉えると点を取ってナンボと言えますが、
視点を変えて、40分を終えた時点で相手の得点が自分たちよりも少ないことと捉えると、点を取らせないでナンボとも言えます。
論点のすり替えと思われかねませんが、Opp eFG%(試合相手のシュート効率)ランキングをご覧いただくと、ディフェンス効率性って重要だなと思ってもらえるのではないでしょうか。
今シーズンは勝率8割超が2クラブ(宇都宮とA東京)ですが、Opp eFG%ランキングの上位2クラブと一致します。また、中地区首位の三遠もオフェンスチームの印象が強いですが、Opp eFG%は7番目に低いです。
大事なことなので再掲しますが、
粘り強く、強固なディフェンスという土台ができたので、クラブは良い方向に進んでいると考えた訳です。
4.チャンピオンシップを見据て
広島のレギュラーシーズン最終試合は、本記事の公開日と同じ5月5日に開催されます。レギュラーシーズン最終試合はチャンピオンシップを見据えたものとなるはず。
僭越ながら3つの改善点を挙げさせてもらうと、
①ディフェンスリバウンド
②フリースロー
③組織的なオフェンス
なのかなと思います。
1勝の重みが増すチャンピオンシップでは、相手が放つシュートを1本でも減らすためにもディフェンスリバウンドは重要と考えます。
DRB%(ディフェンスリバウンド獲得率)ランキングでも勝率8割超の2クラブが他を圧倒していることが分かりますね。
チャンピオンシップでは、強度の高い動きが繰り広げられ1点の重みも増すのではないでしょうか。1点と言えばフリースロー1本で獲得できる点数。因みに、昨シーズンの広島はフリースロー成功率が78.2%(今季比+7.9%)でトップでした。
フリースロー1本にのしかかる重圧が増す中で、どうしたらいいのでしょうか?
私は笑ったら良いと思います。
笑うのは最後(試合に勝ってから)だろ?と思われたかも知れませんが、もう少しだけ話を聞いてください。
2シーズン前に広島に在籍していたCJことチャールズ・ジャクソン選手もフリースローを苦手としています。今シーズンは京都でプレーする彼は、シーズン途中からフリースローを放つ前に、満面の笑みを浮かべ始めました。
私なりの解釈ですが、
・余計な力が加わると入るものも入らなくなるため、肩の力を抜くというフィジカルへの作用
・1つ前のフリースローを外していたとしても、笑うことで良いイメージを抱かせるというメンタルへの作用
を期待してのことだと思います。
これまた主観的な話ですが、いい具合に力みが取れて前よりはフリースローを決めている気がします(ただ、SR渋谷と広島に在籍していた時はフリースロー成功率が今よりも高かった…)。
最後に、組織的なオフェンスについては語れるほどの知識がないため、違った切り口から。
粘り強く、強固なディフェンスをされると、ボールを持っている選手の視野が狭まったり、パスコースを塞がれたりと重苦しい展開に持っていかれそうになります。
そんな局面を打開するには、個人ではなく組織でオフェンスを展開することが大事になります。人とボールが動いて攻撃がリズミカルになり、スペーシングでフロアバランスが良くなることで個が輝くステージが創り出されます。
5月5日は「こどもの日」で端午の節句とも言われますが、「タンゴ」で検索をかけると、関連する質問の中に「タンゴの特徴は?」というものがありました。
引用元は川崎にあるダンススタジオのブログ記事でした。
4拍子で1拍目と3拍目に強いアクセントを持っているという特徴に引っ掛かりました。バスケは4つのクォーターがあり、前後半の出だしの第1クォーターと第3クォーターも大事ですし、情熱的な気持ちのぶつかり合いとキレッキレの動きも特徴だと思った訳です。
最後は、良く分からない話になりましたが、チャンピオンシップでの広島の活躍を期待していますし、バスケって楽しいですよね。
私は、これから島津アリーナで京都の最終節を見に行きます。
情熱とキレッキレの動きに期待していますし、はんニャリンのキレッキレなダンスも楽しみです。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!
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