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海賊の軌跡 ~6つの表から読み解く、何が伸びて、何を改善させたいか~

この記事では、B.LEAGUE2022-23シーズンでクラブ初のCS(チャンピオンシップ)進出を果たし、準々決勝を勝ち上がって4強に入った横浜ビー・コルセアーズのスタッツを並べ、

・2021-22シーズンと比べて、2022-23シーズンは何が伸びたのか?
・2023-24シーズンに向けて何を改善させたいか?
について、書きながら迫っていきたいと思います。

2021-22シーズンは22勝35敗(勝率.386)で、B1東地区8位(11クラブ中)
2022-23シーズンは33勝27敗(勝率.550)で、B1中地区2位(8クラブ中)
でした。
*2022-23シーズンはB1クラブが2つ増えて、2から3地区制に変わりました。

【表1】4Factorsの比較

4Factorsの比較から読み解けることはリバウンド獲得率(ORB%・DRB%)の大幅改善
TO%が下がりシュートで攻撃を終える割合が増えたことと、相手のシュート効率が下がったことも伸びた部分。

同じクラブのシーズン比較だけではリーグ内でも高いのかが見えてこないため、大幅改善と書いたリバウンドについて2022-23シーズンの相対評価もご紹介します。

【表2】2022-23シーズンのリバウンド獲得率ランキング

「横浜BC」が横浜ビー・コルセアーズを表し、ORB%とDRB%を足した数字はリーグ5位の高水準です。

【表3】2022-23シーズン 4Factorsの相対評価

ORB%はリーグ8位(24クラブ中)の偏差値51.9で、DRB%はリーグ4位の偏差値59.4。
4Factorsの相対評価は、TO%・Opp eFG%・Opp FTRの3項目は低い方が良いという判定になりますが、その中のTO%とOpp eFG%の低さも光ります。

【表4】スタッツ比較 主に攻撃編

得点は76.3から82.1に変わり5.7点アップ。2021-22シーズンは下から3番目だった得点力が、2022-23シーズンは上から5番目まで伸びたと書いた方が凄さが伝わりやすいですね。

速攻からの得点が1.64倍になり、オフェンスリバウンドが1.36倍増えた分、セカンドチャンスからの得点も順当に1.30倍増えています。ターンオーバーが下がったことも得点力アップに貢献しています。

3点シュートの試投数は1.26倍増えましたが、成功率は上げたいところ。フリースロー成功率は2021-22シーズンに引き続き、リーグ最下位です。後から登場しますが、2022-23シーズンのフリースロー成功率の偏差値換算は20.8と群を抜いて低いです。

ただ、3点シュートとフリースロー成功率が上がると、攻撃力に更に磨きがかかり、試合相手にとっては更に恐ろしいチームになります。

【表5】スタッツ比較 主に守備編

失点は81.1から78.9に変わり2.2点ダウン。
ターンオーバーからの失点が下がったことも大きいです。シュートの被成功率は2点・3点・フリースローの3項目とも下げていますし、ディフェンスリバウンドは獲得率で見ても改善していました。

守備編の文章短っ!と思われた方もいるかも知れませんが、終盤でガス欠を起こしました:)

もうひと踏ん張り。

【表6】2022-23シーズン 攻守スタッツの相対評価

攻撃面のスタッツでは、リーグ最多のフィールドゴール試投数が際立ちます。偏差値換算でも70台。フリースローもリーグで5番目に多く獲得しているため、フリースロー機会が少ないことは要因ではありません。

速攻からの得点がリーグ2位で攻撃のテンポが速く、加えてオフェンスリバウンドも獲れるし、ターンオーバーは少ないため、シュート本数が多くなる訳です。

オフェンスリバウンド獲得率はリーグ8位ですが、放つシュート数が多い(またフィールドゴールは成功率が平均近くで、フリースロー成功率は最下位)がゆえに相手のディフェンスリバウンド数はリーグ最多だったりします。

失点は平均値ですが、これは攻撃のテンポが速いがゆえに、相手にも多くの攻撃機会が回ってくることも影響しているものと思います。相手チームのシュート効率でみると、49.9%でリーグで7番目に低い数字に抑えていますし。

長々と書いてきましたが、2022-23シーズンの横浜ビー・コルセアーズの試合は、レギュラーシーズンは京都ハンナリーズとの2試合をしっかり視聴して、チャンピオンシップは部分的にしか見ていないことを白状します(しっかり観ろ!)。

攻撃面の偏差値換算が40未満の項目を挙げると、
・ブロック 偏差値換算39.9で4番目に低い
・3点シュート成功率 偏差値換算38.3で4番目に低い
・フリースロー成功率 偏差値換算20.8でリーグ最下位
になります。

ジェロード・ユトフ選手の獲得は、弱点解消にうってつけという訳です。

因みに、ユトフ選手は2022-23シーズンの全60試合で先発出場して、1試合平均31分50秒(延長がなければ1試合40分)と相当働いています。
・ブロックは1試合平均1.4(リーグ3位)
・3点シュート成功率は35.0% *1試合平均2.4本成功でリーグ10位
・フリースロー成功率83.3% *1試合平均の試投数は2.4本と少ないですが

最後にユトフ選手が移籍の際に寄せたコメントを紹介し、それに対して思ったことを書いて結びたいと思います。

ハンナリーズのクラブとファンに感謝します。昨シーズンはプロとして最も楽しい一年でした。京都は自分にとっていつまでも特別な場所であり続けるでしょう。

ジェロード・ユトフ選手

↓↓ 原文が書かれたリンクも紹介 ↓↓

私は勘違いをしていました。変な意味じゃなくて、"昨シーズンはプロとして最も楽しい一年でした。"という言葉に触れることができて本当に良かったと思ったのです。

彼は満田選手と一緒にキャプテンを務めていました。チーム内でどのようなやりとりが交わされていたかは分からないので、試合前後やコート上での姿からの推測になりますが、
・プロフェッショナルで準備とアフターケアに余念がない
・ストイックな方で、色々と背負い込んでいやしないか
・プレーでチームを引っ張って鼓舞する
という印象を受けたものです。

試合直前にゴール下近くで、仮想の相手をイメージしながら小刻みなステップを踏んでディフェンスのウォームアップをすることもルーティーンなのですが、その時の真剣な様子から勝手に色々と背負い込んでるのかなと思ったのかも知れません。

余談ですが、彼は試合が始まる間際(本当に何秒前というくらい)までユニフォームに袖を通しません。ただ、安心してください。これは出場を拒んでいる訳ではなく、ユニフォームがドライな状態で試合に入りたいからなんだと思います(本人に聞いたら違うと言われるかも知れませんが)。

よくよく考えたら、全ての試合で先発を任されて、持てる力を存分に発揮されていたはずなので、楽しかったんだなと。

来る2023-24シーズンは、ユトフ選手の持ち味が足りないピースと思われる横浜ビー・コルセアーズでの更なるご活躍を期待しています。エキサイティングなシーズンになりますように!
また、開幕試合で京都に来られるのも楽しみにしてます:)チケット取れるかな?取れますように。

ガス欠とか書いておきながら、最後にと書いてからが長くなりましたが、本当にこれで最後を迎えます。ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。

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