中米対立を激化させているのは、中国?

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米国はアラスカで今週行われた米中対話は、テレビでもその模様が取り上げられた。冒頭挨拶を交わした後には退出予定であったメディアを、米国側が引き留め、その後中国側も引き留め、結局ずっとメディアを残したまま、言い合いを続けることになった。

米国からは、アントニー・ブリンケン国務長官とジェイク・スリバン国家安全保障問題担当大統領補佐官が参加し、中国側からは、楊潔チ政治局委員と王毅外相が参加した。

いつもロシアが演じてきた米国の対抗軸を、もう少し中国にやってほしかったと思っていたものとしては、今回の中国の発言はいろんな意味で評価できる。中国側の言葉を借りれば、「The United States itself does not represent international public opinion, and neither does the Western world. (米国自体は国際的な意見を代表しなければ、西洋諸国の代表もしていな)」のであって、パックスアメリカーナを守る義務など、中国には当然ないし、アフリカ・南米を含めて一切ない。

それよりも、折角記者が残った言い合い、その中身を見ないともったいない。中国の発言をきちんと見た人はほとんどいないと思うので、中国がどういうことを言ったのか、少し丁寧に見ていきたい。全文を英文で見たい人はこちら:https://asia.nikkei.com/Politics/International-relations/US-China-tensions/How-it-happened-Transcript-of-the-US-China-opening-remarks-in-Alaska

1.中国は、米国の1/5の一人当たりGDPで絶対貧困を根絶した。ほかの先進国を見習うべき

米国サウスダコタでは、平均寿命が66.81歳だが、中国の平均が2018年時点ですでに76.70歳。。。というか、米国全土で78.54歳という脅威の低さ。どういう政策をとったら、平均寿命70歳切るのだろうか。

2.中国や国際社会が従う・支持するのは、国際法に基づいた、国連を中心とした国際システムと秩序であって、一部の国が主張するようないわゆるルールベースの国際秩序ではない。

>中国の国連支持は、とてもとても大事。でも中国もっとお金出さないと、国連もやりたいことができないよ。

3. 中国は、武力の行使を通じた他国侵攻や、様々な方法で政権を転覆させたり、他国の人々を虐殺するようなことの正当性を信じない。なぜならそれれは、世界を混乱や不安定にするだけであり、結局のところそれらは米国の利益にもならないだろう。

もう米国はぐうの音もでないはず。アフガニスタンはいまだに大混乱。シリア・イエメン・リビアと上げればきりがない。

4.中国も人権問題にはこれまで取り組んできたが、米国も十分に改善するところがある。Black Lives Matterはここ数年の問題ではない。

さらに、今はアジア人(特に中国人)を標的としたヘイトが横行。

5. 米中両者とも、COVID-19や、経済回復、気候変動などの、平和、安定、そして世界の発展(開発)に関する分野に貢献すべきだ。両者が共同して取り組めることがたくさんある。

>COVID-19と気候変動に言及したのは中国だけで、米国からは一切コメントなし。


中国の発言録を見る限り、何度も強調しているのは「パワープレイをしているのは米国。我々はwin-winでやりたい」。

最後に冒頭の写真に戻ると、写真は米国の基地を示しており、ミサイル・空爆能力・空母・原爆投下発射能力があるところを示している。今日、400以上の米軍基地が中国を取り囲んでいる。

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中国の振る舞いが良いとは当然考えられないし、中国も当然国連中心の制度にある仕組みを通じた人権の改善に積極的に協力すべきだ。ただ、それとこれとは話が別。米中対立で軍事力を見せつけているのは米国。第二次世界大戦を経た日本が、そういう米国の姑息なやり方に気づかないのは残念。米国は、一言でいうなら厚顔無恥、というところだろうか。

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