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『値段決め』こそが、ビジネスのスタートライン

「個の時代」と言われる現代。
個人事業主や社長をやっていたり、自分の店舗を持っている方も多いのではないでしょうか。

個人で仕事をする場合、間違いなく壁としてぶち当たるものがあります。
それは、

値段決め

です。

自社の製品やサービス、時には自分自身を売りにする場合があります。
その際に、必ずと言ってもいいほど、値段決めの難しさにはぶち当たると考えています。

逆に、誰かに製品などの値段を決められていて、自分で価格を決めず、それを売っているだけの方は、正直「ビジネスの扉を開けてすらいない」と私は考えています。
それだけ、「値決め」は重要で、そして難しいものです。


それでは、具体的にどのように難しいのか?それを少し解説していきます。


価格は「戦略」ですべて決まる

飲食業界など、原価が明確に決まっているのであれば、割と値段を決めやすいです。
一方で、以下のような業界は、値段を決めるのが非常に難しいです。

(1)人件費が主となる業界 : IT業界、美容業界、リラクゼーション業界など
(2)原価がほぼかからず、売上が殆ど利益になる業界 : コンサル業界、コーチング業界など

特に2番目が顕著ですね。コンサル業界なんかは、言ってしまえば「自分自身が製品」です。自分自身がどれだけ魅力のある人になれるかどうかで、値段が決まっています。つまりは「言い値」です。

最近の例として、かの有名なホリエモンが、YouTubeの密着配信権を500万で販売しました。そして本当に購入されました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000026441.html

これが売れた理由は、購入者がホリエモンの価値を、500万以上と認めたからに他なりません。
500万というホリエモンからの言い値です。ですがその価格でも、購入者が現れるわけです。

それでは、一般の方はどうでしょうか?一般の方が「500万のコンサル権」を販売しても、売れるわけがありません。
知名度も実力もまだまだこれからの方が、自分の値決めをするときに、果たして何を基準にするのでしょうか。

「競合に合わせる」というのは、一つの手です。相場を見て、近い値段にしてしまうわけです。

ですがそうだとしても、
・全く同じ値段にするか
・相場より少し下げるか
・相場より上げて、希少価値を高めるか
といったことは、必ず考えなければいけません。

どのようなターゲットを狙うか、どのようなビジネス戦略をするかによって、価格の決め方は180度変わってきます。
「とにかくたくさんの顧客獲得を目指す」なら、価格を下げて顧客を増やす。
「顧客の質を求める・満足度を求める」なら、価格を上げてサービスに力を入れる、などです。

自分自身で初めて値段を決める時、必ずこのような葛藤に直面します。
これがもし、誰かが決めた値段だとすると、決してこの葛藤には直面しないです。「最初からこの値段だから」と、思考停止で値段は決まっていくわけです。


見積は「値下げ」との戦い

そして実際に、顧客に対して見積を行う場合。
その時に、大抵の人はもう一度、あることに直面します。それはなにかというと、『値下げ』です。

顧客からの値下げ交渉を受ける場合があります。そのような場合は、実際に値下げするか、下げてしまうかを考えるわけです。
それは顧客との関係、それ以外の案件状況によって、値下げを受けるか受けないかを決めていきます。

そして、値下げにはもう1つ種類があります。これは、自分で値段を決めたことがない人には信じられない話に聞こえるかもしれません。
それは何かというと、

自分から値段を下げてしまう

というパターンです。

顧客に値段を伝える際、「誰かに言われるわけでもなく」「自分から勝手に」値段を安くしてしまう人がいます。
なぜなら、値下げをすれば「相手は喜んでくれる」からです。

顧客の立場にとって、値段は高いより、安い方が喜びます。
そして、顧客に「高い」と思われたくない。失注したくない。そのような思いから、「自分から」値段を下げてしまう人がいます。

確かに、その方が成約率は上がります。売上にも繋がります。一見、顧客は喜びます。
でも果たして、それで良いのでしょうか?

もし本来の価格より安く受けてしまうと、会社の存続のために、仕事に振り回される毎日になります。
利益が減ってしまうので、別の仕事をやらなくてはいけない。
そうすると、従業員も自分自身も疲弊する。離職する。満足なサービスをすることができなくなる。品質も落ちる。
そうなってくると、顧客の満足度を超えることがどんどん難しくなっていきます。
また、本来であればリピートのチャンスだったのに、品質が落ちたために、それを逃してしまう可能性を大いに秘めているわけです。

また、一度値下げしてしまうと、顧客にとって、その値下げ価格が標準になってしまいます。
そうすると、その後値上げを行うことが非常に困難になっていく。「適正価格」が、お客様にとっては「値上げ価格」になってしまうわけです。

一時期ミスタードーナツでは、毎月のように「ドーナツ100円セール」を行っていました。
そうなってくると、きっと誰しもが「定価のドーナツは買いたくない」と思ったはずです。
定価のドーナツを買うぐらいなら、少し待てば、どうせ100円で売られる。皆が思ってしまうと、標準期間でドーナツが売れなくなることは、容易に想像できます。
値下げ価格が当たり前になってしまった、最たる例ですね。

※ちなみにミスタードーナツの100円セールは、2016年10月を最後に行っていないそうですよ。

「売れるかどうか不安」という理由から、自分から値段を下げたくなる気持ちは、特に駆け出しの頃は多くあると思います。
ですが決して、そこで安易に下げないでほしいです。値段は、ビジネスを継続できるための超重要な要素です。
安易に値下げをせず、値段はそのまま(もしくは値上げ)して、代わりに付加価値を高めていくことを、心掛けてほしいと考えています。

まとめ

以上、値決めについてお話してきました。
重ねてになりますが、値決めというものは、ビジネスの超重要な要素です。
これから起業したい方は、今からでも『値決め』について勉強を重ねてほしいと考えます。

まだ自分で値決めをしたことがない方は、とにかくなんでもいいので、そのステップを踏んでほしいです。
自分の得意分野のコンサルでもいい。「時給◯◯円」というパターンでも良い。
誰かではなく、自分で決めた値段で、ビジネスを行う。
とにかくまずは、一度は値決めの難しさを痛感してほしいと願っています。

・値決めには、ビジネス戦略のすべてが詰まっている
・安易な値下げと戦っていく

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