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インタビュー取材でやってる事

前回、質問力について書いたところ、意外と俺の中で好評だったのでもう少し話を広げてみます。インタビュアーになりたいという人はそんなにいないだろうし、メディアの採用面接にも一切役立ちません。ただ、取材現場ではこんな事考えながらやってますというのを紹介します。

適切な取材時間とは

こないだは日常会話における質問について書きましたが、当たり前の事ながらインタビューと日常会話は大きく違います。

相手の事を知る、知見を深めるという点では同じですが、基本的にインタビューは質問を投げまくる作業で受け手は返しまくる作業。長尺過ぎるとお互い疲弊するので、5千文字以内の記事なら大体1時間以内で設定します。

言い換えるとそれ以上やっても同じ内容の繰り返しになったり、どうでも良い方向に脱線したりしがちです。

相手が面白い人物なら、初対面で30分程度のインタビューでもこんな感じの記事にするのは可能です。

ちなみに2千文字の記事を書くのに4時間ぶっ続けで喋る相手に遭遇した時は、ちょっとした殺意を覚えました❤️ せめて休憩は取りましょうね。次の機会に繋げるためにも、お互い好印象を残したまま引き上げるのがベターです。

インタビュー前の準備はどうするか

さて、インタビューに臨む準備ですが、大抵の場合は主な質問項目を事前に相手に渡しておきます。相手も答えをイメージできて効率化が図れるからです。想定外過ぎる質問をぶつけまくると、考えこまれた挙句あまり面白味のないコメントが返ってきたりします。

ただ、事前に渡す質問項目は「主な」というのがポイントです。中には10個以上も書き出して事前に共有する記者も居ますが、最悪の場合答えを全て原稿に書いて、インタビュー現場でひたすら読み上げる方もいらっしゃるからです。

こうなると、もはやインタビューではありません。回答原稿だけください。

自分の場合、内容にもよりますが事前に知らせるのは大体5項目程度。流れにそって各項目のトピックを膨らませていけば1時間は持ちます。現場のダイナミズムと意外性を引き出すために、あえて準備させ過ぎないのがミソです。

ただし、極端に無口な方もたまにいるので、がっつり調査はしておいて、頭の中には10個以上の質問を用意しておきます。

無口な相手だとわかっている場合は「はい」「いいえ」だけで答えられない質問、たとえば
「○○のコンセプトは××らしいですが、どういった経緯で生まれたんですか?」
「○○さんが××した時のエピソードを教えて下さい」
等、プロセスを語らせる質問を多く用意します、それでも淡白な回答の場合は、
「その時どう思いましたか?」
「そう思ったのは○○だからですか?」
「その経験と○○した時ではどちらが楽しかった(辛かった)ですか?」
「それは○○だからでしょうか?」
という具合に次々に畳み掛けます。それでも話か膨らまなければ潔く諦めて、嫌われてるのを自覚しましょう。後日、一升瓶でも持って行って友達になる事から始めた方がいいです。やった事ないけど。

現場でのちょっとしたテクニックあれこれ

相手がノッて喋っている間、無口でじっとしてるのも気持ち悪いので適度に「はい」「ええ」など相槌を打つ事になります。

いろんなパターンの相槌を持てという意見もありますが、それより大事なのはしっかり聞いて心からの「はい」である事。流し気味の「はい」ではなく、浮気がバレて奥さんから怒られた時に出す「はい」です。

その話題についてもっと喋ってほしい時は、オウム返しという技もあります。相手の言葉を少し言い換えて、内容を確認するのです。

すると大抵の場合は続きを喋っていただけます。ベテラン記者の中には最初の質問を投げた後、ほぼ最後までオウム返しだけで乗り切る変態、いや達人もいます。それで良い原稿が書けるかは保証しませんが。

取材を受ける側のちょっとしたテクニック

最後に、インタビューを受ける側が良い記事を書いてもらうために好印象を与えたい場合は、取材の後半に記者に対して逆に質問すると良いです。
「楽しくなっていろいろ喋り過ぎちゃいましたが、○○さんはいつからこの仕事してるんですか?」とか。ちょっと姑息ですがこれは効きます。

記者も人間ですから、自分に興味を持たれて悪い気はしません。ただし、この場合も記者個人に興味持ってますよのメッセージが明確に伝わる質問でないと意味がありません。「スウェーデンとノルウェーの人口どっちが多いか知ってます?」みたいな事を聞いても無駄です。

知識をひけらかすためのマウンティングは逆効果になりかねません。たまに初対面の人の取材の冒頭で「今の不況の原因はなんだと思う?」みたいな事を逆に聞かれて、適当に答えると「違うんだよなー、実はね、、、」とかなって、ああめんどくさい人だとモチベーションが落ちる事があります。それでも仕事はきっちりやりますが。

結局は限られた時間でいかに信頼関係を築けるかが勝負なのです。

他にもいろいろありますが、誰が興味を持ってるかも分からない駄文なのでこの辺で終了します。業者以外からの「スキ」が1つでも付いたら調子に乗ってまた何か書きます。



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