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2023年10月第1週「地に足がついた生活」

堅実で落ち着いた考えや行動をとることを、地に足をつける、という。私はこの言葉を生活と結びつけて使うことが多い。
地に足がついた生活。私が生きていく上で、絶対に必要な気がすること。

先週は三泊四日の出張があり金曜深夜に帰宅した。普通の週末ならそこで回復できたのに、よりによって年に数回の土曜出勤週で、いつのまにかラグの上に当たり前のように鎮座していたカメムシや天ぷらに誘ってくる既婚者に悩まされ、恋人とも2週間近く会えてないし、メンタルも生活もガッタガタ。
長い会議を終えた月曜日。よろよろと会社を後にしたときに思ったのは、「……そろそろ、自分で作ったご飯を食べんといけんわ」だった。別に、特別おいしいわけでもないんだけど。

掃除や洗濯や料理をすることで気持ちが落ち着く、と気づいたのは結婚してからだ。実家を出てから。
自分の口に入るものを作り、食べ、後始末をする。ゴミやほこりを捨て、整理整頓して、目に映るものの情報量を減らす。明日の私の為に準備をする。すると、浮ついていた気持ちがすうっと落ち着く感覚があって、ああこれが地に足をつけるってことか、と思った。
28までろくに手伝いもせず実家に居座っていた私には結構な発見で、依存症を患う当時の夫に「ねえ、家事とかしてみたらどうかな?」と提案したこともあった。何いってんの(笑)という反応だったはずだ。楽しようとして、と思ったんだろうな。それも大いにあっただろうけど、彼の為になると思ったのも本当だ。あの頃の私は、人を変えられると信じていた。

そんなわけで月曜にシチューを作り、火曜はその残りを食べた。
ザワザワしていた心身を地につけたら今度は恋人に会いたくなったが、土曜の夜はダメになったとのこと。「急な話なんで断ってもらって全然いいんだけど、明日仕事のあと会いに行ってもいい?すぐ帰るので」と申し出たところ、水曜日に来てくれた。おいしい食事をしながら距離を縮め、0にしてから、おずおずと話し合いの時間を持った。嘘のないやりとりができたと思う。
木曜に2003年公開の映画『ジョゼと虎と魚たち』を見て、地に足がついた生活の力を確信した。金曜は『ABYSS』。木金と続いて舞台挨拶付きの映画で、素晴らしい作品を生み出す作り手の話を聞き、友達と感想を語らった。
生活はまた大きく崩れてしまったけど、三連休だから大丈夫。
好きな人たちに会えたし、素晴らしい映画を見たし、にぎやかで、よい一週間でした。


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