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〝ユニコーン〟を目指す挑戦が始動!《ひろしまユニコーン10 STARTUP ACCELERATION 2023》

広島でユニコーン(時価総額10億ドル以上へと急成長する企業)を目指すスタートアップが続々と生まれています。「広島から、ユニコーン企業に匹敵するような、企業価値が高く急成長する企業を10年間で10社創出する」ことを目標とした「ひろしまユニコーン10」プロジェクト。このプロジェクトにおいて、事業の急成長を伴走支援するアクセラレーションプログラム「ひろしまユニコーン10 STARTUP ACCELERATION」の2023年度採択企業16社が決定。先日、採択企業とメンター陣が一堂に会し、キックオフイベントが開催されました。今回は採択された16社を紹介します。

【シード企業コース】

株式会社マテリアルゲート
単分子誘電体の構造・特性評価、合成・製造、デバイスの研究開発】 

株式会社マテリアルゲート 代表取締役 中野佑紀さん

広島大学発のスタートアップで、世の中で膨大に使われるコンピュータの消費電力を削減する、という社会課題の解決を目指しています。この消費電力にはコンピュータの中に入っているメモリが大きく影響するのですが、新開発のメモリ材料「単分子誘電体」によって9割削減できる見通しです。ひろしまユニコーン10の支援プログラムを活用しながら、事業計画や組織的な面をブラッシュアップしたいと考えています。

株式会社Medlarks(メドラークス)
カテーテル関連尿路感染症(CAUTI) 予防デバイスの開発】 

株式会社Medlarks 代表取締役 松浦康之さん

当社も広島大学発のスタートアップで、医療機器の開発を進めています。世界中の医療現場では、尿道カテーテルをつないだ際に病原菌が体内に侵入する「カテーテル関連尿路感染症」が多数発生。世界中で毎年1000万人以上が感染し、24万人が亡くなっています。ひろしまユニコーン10の支援プログラムを受けて、感染を防ぐ医療機器の開発に必要な資金を調達するとともに、製造販売してくれる企業などの仲間を増やし、命を救いたいと考えています。

スカイメディカルジャパン(設立準備中のため仮称)
【潰瘍性大腸炎及びクローン病の治療薬の開発】

スカイメディカルジャパン 代表取締役 天野 新也さん

腸炎になったことのある人は多いと思いますが、生涯にわたり、この症状を繰り返す難病「炎症性腸疾患の潰瘍性大腸炎およびクローン病」の治療薬の開発を目指します。世界で500万人、日本で20万人の患者がおり、日本は2番目に多い。実は、潰瘍性大腸炎に9割程の効果がある物質を発見しました。これから創薬を実現させ、症状に苦しむ人々に安全で効果の高い薬を届けたいと考えています。

株式会社トロムソ
もみ殻利活用による、環境課題・社会課題解決

株式会社トロムソ 代表取締役 上杉 正章さん

尾道市の因島という造船が盛んな地域に本社があり、海のものづくり技術を「陸のものづくり」に転用することで、新しいビジネスの創出を目指してきました。具体的には、従来は廃棄されていた「もみ殻」を固めて燃料化する装置を製造販売。2006年の設立以来、5カ国で事業化に至りました。さらなる発展を狙い、ひろしまユニコーン10の支援プログラムを活用したいと考えています。

株式会社Forema(フォレマ)
ペットのマイクロバイオーム解析、ペットフードペットサプリの設計 販売

株式会社Forema 代表取締役 小泉 靖宜さん

犬や猫などのペットの腸内細菌や口腔細菌を解析しながら、データに基づいたフードやサプリの開発販売を行っています。従来シカやイノシシなどの有害鳥獣は埋蔵処分されることが多く、仕方なく駆除されていますが、これを〝食〟(ペットフード等)に活用することで自然界の循環に組み込みたいと考えています。ひろしまユニコーン10の支援プログラムを通じて、プレゼンスの向上、取引先の開拓、中堅企業との協業などを目指します。

native.合同会社(ネイティブ)
インドでのマッチングアプリ開発・運営ノウハウを活用した日本展開

native.合同会社 プロダクトマネージャー 青山 正樹さん

「世界中で使われるコミュニケーションツールを作る」をミッションに掲げ、まずはインドと日本でマッチングアプリ「native.」の展開を考えています。例えば利用者の生年月日から「四柱推命」(命運推察法)に基づく情報を記したカード「native.card」を発行。カードを使ってコミュニケーションを深めます。8月のトライアル発行では1万5000人が使ってくれました。日常生活はもちろん、保険や不動産などの企業利用にも広げていく方針です。

株式会社ヴィジュアライズ
AIを使った新しい情報サービスの構築

株式会社ヴィジュアライズ 代表取締役 高尾 雅史さん

当社は日本語ベースのAI開発を手掛けており、それに時間軸と座標軸(場所)を加えた新しい情報サービスを生みだそうとしています。具体的には「いつ、どこで、誰が、何をしているか」が街単位で分かる仕組みを構築する方針です。社会活動のデジタルツイン化(現実で収集したデータをデジタル空間に再現)を目指します。ひろしまユニコーン10の支援プログラムを活用しながら、資金調達からサービス提供まで着実に進めたいと考えています。

株式会社AiCELLEX(アイセレックス)
発達障害者コミュニケーション支援ツール開発

株式会社AiCELLEX 代表取締役 伊藤 賢治さん

発達障害児のコミュニケーション支援ツールの開発を目指しています。生成AIのチャットGPT、バーチャルヒューマン(CGで作成した仮想人物)、自動翻訳機能を組み合わせた技術を使い、バーチャルヒューマンが発達障害児と自動的に会話。その際に発達障害児の心拍数を取り、発達障害の傾向を分析。これらのデータを基に、将来の適切な職能・職種を導き出す仕組みをつくりたいと考えています。

株式会社Gino(ジノ)
自社IP に基づくオリジナルの VR ゲーム開発

株式会社Gino 代表取締役 北尾 共さん

当社はポーカーをテーマにしたVRゲームの開発に取り組んでいます。現在、世界で最も売れているVRヘッドセットが2000万台となっており、人気の家庭用ゲーム機が1億数千万台であることと比べて普及は過渡期と言えます。全員がVRを楽しむような時代になったときに、世界のトップランナーとしてより面白いコンテンツを届けられるよう開発を加速していく方針です。

株式会社抗体医学研究所
肺線維症の進行を止める医薬品の開発

株式会社抗体医学研究所 代表取締役 横崎 恭之さん

広島大学発の創薬スタートアップです。現在、間質性肺炎や肝硬変など「線維症」の根治は臓器移植に頼っていますが、これに有効な抗体の作成に成功し、線維化を引き起こす細胞の活動を抑える薬の開発を進めています。臨床試験までもう一歩の段階で、外注などに必要な資金の調達を図っています。昨年に採択された別のアクセラレーションプログラムでは人脈などの面で成長につながりました。ひろしまユニコーン10で、さらに歩みを進めたいと考えています。

合同会社Setolabo(セトラボ)
マイクロRNA (miRNA )を検出して、がんの超早期発見

合同会社Setolabo 代表取締役 岡田 悠輝さん

「予防医療を通じて笑顔で健康な社会を作り出す」と掲げ、本社のある香川など2カ所に衛生検査所を構えています。マイクロRNAを検出し、がんを早期発見する方法の確立を目指します。私は高校生平和大使として渡米した際、一部の人から被爆地の広島に対する健康面の偏見を感じました。その経験から「広島を世界一の医療都市にしたい」と思い、ひろしまユニコーン10に応募。採択者の皆さんと力を合わせれば実現できると信じています。

株式会社JOYCLE(ジョイクル)
アップサイクルプラントPaaS モデルで、ごみを資源化

株式会社JOYCLE 代表取締役 小柳 裕太郎さん

名古屋市に本社を置き、「資源と喜びが循環する社会」の創造に向けて、社名はJOYとCYCLEを掛けています。ごみをエネルギー資源などにアップサイクルするプラントは存在しますが、これによる環境貢献やコストカット効果を可視化するプラットフォーマーが不足。当社はデータを活用しながら可視化する仕組みを開発する方針です。サーキュラーエコノミーへの貢献やカーボンクレジットも視野に入れ、広島で実証実験を検討します。

【アーリー企業コース】

CIA株式会社
顔認証システムによる防犯サービスの開発・提供

CIA株式会社 代表取締役 長岡 秀樹さん

「犯罪により涙する人を世界からなくす」という、人類皆から共感していただけるであろうビジョンを掲げています。12年前から研究と実証を重ね、店舗で起こる万引などの不正行為を正確に捉えるカメラと技術を開発。国内で年間8000億円あると言われる不明ロスを未然に防ぐシステムを展開しており、今年はいよいよ資金調達を経て世界へ出たいと考え、ひろしまユニコーン10に応募しました。

ルラビオ株式会社
雌雄産み分けによる高効率な精密畜産技術の開発

ルラビオ株式会社 代表取締役 白川 晃久さん

当社は広島大学大学院の島田昌之教授らのグループによる研究成果を生かし、世界初のブタの雌雄産み分け技術を開発するスタートアップです。哺乳類が産まれる際に性別を決めるX染色体精子とY染色体精子を分離し、人工授精させることで雌雄の産み分けが可能になります。世界的に食肉需要の増加が予測され、代替肉や培養肉を研究する企業は多い。当社はこれらと違うアプローチで、効率のよい食料システムの実現に貢献したいと考えています。

ナオライ株式会社
低温浄溜製法による第三の和酒「浄酎」の製造販売】 

ナオライ株式会社 代表取締役 三宅 紘一郎さん

当社は日本酒酒蔵再生スタートアップです。神石高原町に酒蔵、瀬戸内海の三角島に本社を構えています。日本酒を低温蒸留し、特有のうま味や風味を損ねずに品質劣化も防ぐ「低温浄溜」という新しい製法で特許を取得。まるでウイスキーのようなお酒が造れたり、酵素や化粧水の開発などでバイオテックやフードテックにつながったりと、可能性が広がります。ユニコーン10の参加を通じ、全国の酒蔵と組めるような広島発のモデルを目指します。

株式会社Stayway(ステイウェイ)
生成AI 技術を活用した中小企業向け補助金クラウドサービスの提供

株式会社Stayway 代表取締役 佐藤 淳さん

大阪のスタートアップで、補助金申請などの支援サービス「補助金クラウド」を展開しています。補助金の課題は「たくさんあって分かりづらい」、「申請などに手間がかかる」、「後払い」という3点です。当社のサービスは「検索機能などで、どの補助金制度が使えるかが分かる」、「生成AIで書類を自動作成」、「先払いする」という仕組みをつくります。地域の金融機関や士業と連携しながら、広島での普及を図ります。

以上、チャレンジスピリットあふれる採択企業を紹介しました。
今後、どのような成長を描いていくのか、ご注目ください。


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