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わくわく、ときどき、もやもや (ある日のキャンペーン会議の様子)

みなさん、こんばんは。
2020年突入したと思ったら、もう10日以上が過ぎましたね。早い。

さて、タイトルにもあるように、キャンペーンは今、あるときは“ワクワク”、あるときは”モヤモヤ”とした気持ちを抱えています。

この気持ちの揺れにどうやって向き合い、納得行く活動にしていくか、
キャンペーンメンバーで話し合いましたが、なかなかすぐに答えは出ません。

それならば、いつも私たちのキャンペーンを支援して下さっているみなさまに打ち明けようじゃないか、一緒にわくわく(ときにもやもや?)することでキャンペーンのことがより分かったり、何か新しいものが生まれたりするんじゃないか、という思いで今回書いてみます。

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”活用”すること、”保存”すること

被服支廠の建物が歩んできた歴史の中で、戦前の軍の施設だった時、原爆に耐え救護所になった時、そして戦後の学校や倉庫・寮として活用された時、空き家となった時…さまざまな”時”がありました。

「被爆時」の被服支廠の経験を伝えることはもちろん大切にしながらも、かつては賑わいのあった場所だからこそ、私たちは今の状態をそのまま保存するのではなく、私たちの世代が自分たちなりのアイデアで新しい風をあの建物に吹き込むことが大事だと考えています。

「じゃあ私たちなりの活用案も考えてみようか」と、
私たちが昨年末に行ったキャンペーンミーティング、その名も、

『わくわく会議』

にて、被服支廠の”その後”について考えました。実際にあった会話から、私たちが普段ミーティングで何を話しているのか、どんな風に考えているのか、知って頂けたらと思います。

メンバーの中には、学生時代から今まで被爆者の方と活動することが多かったり、広島県外に住んでいたり、長崎との関わりが深かったり、最近アメリカに行っていたり…と、それぞれの経験がある中で、率直に思うことをシェアしていきます。

それでは、以下ミーティングの風景です。


わたしたちが「そそられるもの」から考えてみよう

これだけ大規模な建物と、これまでの経緯や一見複雑な議論の過程…
いざ「活用アイデア」について話そうと思うと、どこから話し始めて良いやら戸惑ってしまいました。

ーそうだなあ、あんまり完成された具体的なアイデアは急に出ないけど、頭に浮かぶ希望を言っていくのはいいかも。

 使っていくなら、冷暖房はあってほしいなとか、
 ホワイトボードが壁だったらワクワクするな。
 机と椅子は自由に動かせて、 
 一部はシアターだったりして…

ー修学旅行の受け入れをしていると、みんなで座って話すとか、座ってゆっくり考える場所がほしいと思ったりする。ゆっくり映像見る、とか。広島にそういう場所あって欲しい。
 →無機質な会議室じゃなくてね。こたつがあったりとかね。笑

ーすごく商業的なイメージとも、シリアスなだけのイメージともちがう場所がいいような。

ーいろんな人が関われる余地を残すかたちなの大事だなと思うよ。「これは誰の土地、誰のもの」とガチガチにならず、いろんな人に活用され続けるのがいい。

ーうちらが平和・原爆の話をナチュラルに大事にするけど、美味しいものも好きだし、可愛いの好き、マルシェも好き、こういう感覚でうちらのライフスタイルみたいな感じで分けずに被服支廠で全部やるとしたら、みたいなので考えてみたらいいんじゃない。

ーちょっと実現可能性とか、実際場所と合うの、とか置いといて、そういうワクワクする「そそられるもの」をあげていってみようか。

・マルシェ
・ギャラリー
・ライブできる場所
・ジャズバー
・本屋さん
・ガーデン(絶対世話しないといけないから人が集まる!)
・滝
・キャンプファイア・焚き火
・コーヒー
・古着屋さん
・エスニックな雑貨・食べ物
・フレッシュジュースのお店
・被爆者と話せる
・ガイドツアーがある
・キッズスペース
・広島の名産的なコーナー(夢プラザ的な)
・美味しいパン屋さん(ドイツ系)
・ピザ釜
・おしゃれなゲストハウス
・カフェ
・ロコモコ
・カレー
・充電できる
・wifi
・プロジェクタ&スクリーン
・常にいい感じの映画(アメリとか)流れてる感じ
・哲学対話とかできる場所
・清潔なトイレ
・ホームパーティ感
・当時のものに触れる場所
・おじいちゃん・おばあちゃん
(「ようきたね〜」っていてくれるだけで嬉しい)
・掃除してる人
・LGBTとか、マイノリティフレンドリー
・ユニバーサルデザイン、アクセシビリティ重視
・ちゃぶ台やこたつ
・マイク・音響機材
・防音対策も必要かなあ
・学校っぽい場所があってもいいな、フリースクールとか
・めちゃくちゃにしていいアートスペース、汚していい場所 
 例)プロジェクトNOW!のキオクの再生プロジェクト
 (取り壊しの決まった廃ビルを好き勝手アートする)
・アーティストインレジデンス
・劇場
・コミュニティアート
(いろんな人と関わりながらつくる、エンパワメントな感じの)
・まち丸ごと博物館構想
(街をまるごと博物館にするアイデアの話)
・ジオパーク・サテライトミュージアム
 例)室戸ユネスコジオパーク
・糧秣支廠跡の郷土資料館にも、相乗効果あるしかけにしたい
・広島港・旧陸軍三廠・旧理学部1号館・御幸橋…エリアに相乗効果があるといいね
シネマ尾道みたいな、ドキュメンタリーを上映する映画館
・アンティーク
・お花
・羊・犬…動物
・旅行・旅
・観光案内所的な
(他の場所とつなぐ、ハブみたいな役割ができるところ)
・ココルームみたいな ゲストハウスとカフェと庭
・コインランドリー併設のカフェ(高知の-ito-みたいな)
(地域の人が来やすいしかけづくり。ガソリンスタンドでやってる地域もある)
・地元の人たちの休憩場所と観光の両立
(例えば地元のおばちゃんの500円ランチ、自転車のメンテナンス、給水OKとか)
・チャリでアクセスしやすい場所
ピースクル誘致


いっぱい出たね〜〜!
さて、、、、これ、どうする?

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参考になる場所や取組を思い浮かべてみよう

ー1棟ずつ活用を別々に考えるのはありかな?
 →例えば港のちかくの倉庫って倉庫ごとに違うテナントだよね

ーちなみに横浜の赤レンガ倉庫は、食事がメインの棟・骨董市や美術館がある棟・広場っていう風にそれぞれ違う内容で構成されてるよ。見た目も「海&レンガ」ってインスタ映えするなあとか、フェスやギャラリーもあったりとか。
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(参考)赤レンガ倉庫HP
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ー現実的に、結構な規模でお金を生み出す施設じゃないと存続しないよね…
 →うーん、それを優先するとショッピングモール!って話になる。それってあり?

ー広島でどんどん被爆建物がなくなっていく中で、福屋は広島の中に残り続けている、という話があったな。

ーすごく商業的な感じはコンセプトに合わないかも…と思うけど、マルシェみたいのだったらアリだと思う。横浜で、地元の野菜を使って〜とかハンドメイド〜とかやっているけど、そういう優しい感じだったらありだと思う。
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(参考)
大下洋嗣社長に聞く 被爆建物で百貨店を営む重み/広島の財産 守らねば
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ー加害の歴史を示す場所でもある、と思うと、長崎にある「岡まさはる記念館」みたいなポジションのものが広島にもあるといいなとは思う。現実的には、民間じゃないと運用が難しそうだけど。

ー県の持ち物であることはこれからも変わらないとしたら、指定管理者制度で活用をしつつ、みたいになるのかな。
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(参考)岡まさはる記念長崎平和資料館
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ー超理想だけど、軍艦島のデジタルミュージアムができたんだけど、そういうの、各島の原爆関連・強制労働関連のミュージアムとかできたらいいな、って。

ーこの間行ったパールハーバーにもVRコーナーが出来つつあって、めっちゃ人気だった。パールハーバーの攻撃の時に、空母の上に立っていたらどんな感じかというVR。船が海の底に沈んでるから、それを見に行く感覚で潜水艦に乗っていくというVRも。

ーイギリスのホロコーストミュージアムもデジタル使ってる。証言者はいなくなってしまうから、質問をAIに登録して、インタラクティブに対話風に体験できるような仕組み。
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(参考)デジタル化で後世に残すホロコーストの記憶
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弓狩さんの記事の中にあった、被服支廠のロケーションが広島港と広島市内を繋ぐ場所だから、観光の拠点となれば島の方に人を流すこともできる、という観光の構想もいいよね。

ー広島市のピースツーリズムでも、宇品エリアに人をもっと呼びたいと言っている。

ー1、2、3、4つの建物が「これは観光のため」「これは商業のため」「これは教育のため」とか役割分けをするのがいいのかな。

ーもし本当に活用するならバスとか交通手段がないと。今は被服支廠へのアクセス、「めいぷるーぷ」とかはなくて、路線バスだけだから。
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(参考)広島ピースツーリズム
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このワクワク構想をどこに運んでいくか

ー今、まさに「解体されるかもしれない」という緊急的なフェーズで必要なことと、長期的に活用を考える上で必要なこと、どちらも大事よね。

ー今日アイデア出しをやってみて、ワクワクすることエネルギーってすごいね。「こんな風に関わっていいんだ」と思えることも大きい。パブコメ等で求められているような現実的プランいいけど、もっとみんなワクワク考えようよという働きかけも必要では?

ー確かにそれも大事だけど、もうこのタイミングで「わくわく」に労力を割くのは遅いんじゃないかな、「解体を止めたい」ということに対しては。

ーよくパブコメは市民側の”ガス抜き”に使われるというけど、ただ「ガス抜き」協力してもしょうがないじゃん。

ーでも一方で、今後の被爆建物のために、こういう風にパブコメで関われるよ、と促すことや、パブコメの数で関心の高さを示すのも手だと思う。

ー「ワクワクする」ことも含めていろんな人を巻き込んで活用案をもっと練るには、1年は「解体の決定」を先延ばししたいね。

ーその「解体決定の延期」のために、経済効果とかも算出した具体的な活用案って必要?  →とりあえず1年伸ばすためには、活用案は必要じゃないと思う。ワクワクプランも含めて。

方針が決まるのは2月の県議会、次の1ヶ月が勝負だもんね…

ー案のベースを作ったとして。それがどうやったら実現できる?という方法もセットではないと、どこへ持っていってももう遅い。協力してくれる議員・教授を探し、アイデアをもらい、形にし、というのが間に合うんか…。

ーいや、2月の議会に間に合わせるのは難しいね…。

キャンペーンとしてとるべきアクションは?

ー時間も労力も限られている中で、私たちは何をやっていくべきなんだろう。
・無関心な人たちに裾野を開くこと
・ガチで今年度の決定を止めること
 →どっち?どっちも?

ー例えば今のままの情報発信では、読まない人もたくさんいる。0→1(全く被服支廠に関心がない状態→関心を持つ状態へ)の人は読まないと思う。ワクワクしないから。

ー今はわたしたち含め関心のある人だけでも、パブコメを出したり議員さんに働きかけて、こういう問題があるよって知らせることができることだよね。

ー結局わたしたちの強みって、「いろんな人の声が集まる交差点、プラットフォーム」だというところ。せっかく15,000以上声が集まった。これは大事にしたい。

ー「全棟保存してほしい」という意思はもちろんあるけど、いろんな意見に対してフラットでありたい。キーポイントは対話を生みたいということ。

0→1の人々に向けて

ー結局、0→1的なところにいる人たち(今は関心がない人)が、大多数の県民・市民って感じ。

ー0→1の人の具体的な人物像のイメージってどんな人だろう。
・広島人。地元好き。若い人。
・”平和に興味がある”わけじゃない、広島で会う地元の友人たち。
・署名することに反感があるし
・行政が決めたことに反対するのに抵抗がある。
・本当に「どうなってもいい」というか、それすらも思わない。
・でも倉庫がおしゃれ・楽しい・みたいな活用になったら来てくれる。
→いわゆる「市民の声」ってこういう人の声かも。ムーブメントを起こすにはここにアプローチしないといけない。

キャンペーンのこれから

ー今は「解体の決議を止める」方向に、2月の議会のタイミングまでは集中しよう。

ーだからそれまでは、0→1じゃなくて、1→10というか。興味はあって残したい!けど実際にアクションできていない人を動かす機会作りをしていこう。

ー1月2月と、被服支廠を実際に訪れる企画や、自分の意見を考えるワークショップをしていく。関心はあるけど、建物は知らなかった、みたいな0.5→1みたいな人は巻き込めるよね。

ーどちらにしても方針が決まったら、0→1の人をどう巻き込んでいくか、もう少し長めの視点で取り組んでみようか。その時は、キャンペーンの名前もわかりやすいのに変えたいね。

全棟保存になっても、1棟のみになっても、関心を高めるという土壌をつくるための活動は大事だよね。


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こんな感じでこの回のミーティングは終わりました。

ワクワクするプランがあることによって、より多くの人を巻き込むことができる。かといって現実的な保存・活用を考えると、残された時間も限られており、具体性が求められるという現実。

全棟をぜったいに残したいという気持ちに突き動かされ始まったキャンペーン。寄せられた16,000通りの想いを次に繋げるために、できることを着実に積み上げていきたいと思います。


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