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イベントレポート:「被服支廠の周りを歩き、語らってみよう」(1/13実施)

1月13日、NPO法人 ひろしまジン大学の授業の一環として、「被服支廠の周りを歩き、語らってみよう」が開催されました。

パブコメの〆切が3日後と迫る中、改めて被服支廠の周りを歩き、御幸橋を経由して、屋内会場に移動しワークショップ形式で今後の活用についてアイデアを出し合うという企画。3時間にわたって、スタッフ・参加者合わせて20名ほどで行いました。

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被服支廠の周りを歩くときのガイド役は、アーキウォーク広島代表の高田真さん。集合場所の公園内でまずは被服支廠の概要や建物の特徴、その貴重さについておさらいをします。

そして実際に、被服支廠の周りをぐるりと歩いてみました。
「いやー、でっかい…」「ここの窓は特に曲がっとるね」「歩いても歩いてもなかなか端まで行かんね」「ちょっとレンガに触ってみようか」

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時折高田さんから建物の細かい特徴を説明いただきながら、それぞれ色んな感想をつぶやき合いながら、進んでいきます。

そして正門の位置まで歩いたら、ガイド役をキャンペーンメンバーの瀬戸に交代して、次は御幸橋へ。
活用アイデアのヒントの一つとして、被服支廠で被爆した中西巌さんの当日の足取りを追体験する、被服支廠を起点に「被爆証言を歩いてみる」という試みを体験してもらいました。

被服支廠があった当時から賑わっていた商店街を抜け、「被爆当日に市内で撮影された数少ない写真」のうちの松重美人さんが撮った数枚が有名な御幸橋へ。

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建物の歴史、そこに関わった様々な人ひとりひとりの歴史を、少しでも感じていただけたらと当時の様子を伝えました。

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その後CLiP HIROSHIMAに移動し、今回見られなかった敷地内の様子・建物内部の様子を高田さんに伺いました。寮の痕跡が今でも残る4棟目の様子など、貴重な写真を見せていただきました。

そしていよいよアイデア出しのワークショップ。
・平和・教育の視点
・産業遺産の視点
・まちづくりの視点
・アートの視点
あくまで議論の入り口として、それぞれが話しやすい視点のグループに分かれ、今日の感想を出し合ったあとにアイデアを自由に出していきます。

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それぞれのグループで、色んなアイデアが出てきました。
一部をご紹介します。

平和・教育の視点グループ
・平和公園や資料館の展示内容は、情報のインプットがメインになる。中高生以上向けの情報も多いので、まずは地元の幼稚園〜小学生が初めて「”原爆”というトピックに自ら触れられる」場所として活用できないか。

・建物そのものがこの規模で残っているからこそ、小さな子から大人まで、自分のペースで情報を受け取り、感じることができる。

・おりづるの保存スペースを作る時に、人が来るきっかけづくりに「有名人の折ったおりづるの展示スペース」をつくる。オバマ大統領からジャニーズまで色んな人に参加してほしい!
産業遺産の視点グループ
・工場だったので、ものづくり系の工房・ショップ。「被服」だからファッション関連のものがあると良いのでは。
・そもそも被服支廠がどんな場所だったのかという展示。
・平和資料館の展示や広島城・郷土資料館にばらけている年の歴史をここに集約できるのでは。
・ホテルに改造する方法。ヨーロッパではお城に泊まれたり、奈良では刑務所をホテルにしたところもある。ただ泊まるだけでなく、他のものと連携した滞在にする。
・プロジェクションマッピングを使った活用。
・当時の技術がわかるように、構造体がわかるように残し、見せる。
まちづくりの視点グループ
・住宅地の中にある場所なので、「安全」や「住環境」に配慮する。
・地域の方によると、周辺は夜とても暗い。被服支廠をライトアップすることで地域の方の安心にもつながるのでは。
・財政的な問題をクリアするためにも、立派なまちづくりのビジョンがとても大事。広島市の比治山のプロジェクトとリンクして、周辺の多くの学校とも連携して新たな拠点になるのでは。
・近隣への配慮をすると、騒音のことを考えて小さなイベントを開催するくらいが良いのでは。例えば江田島の海友舎では年に2回企画をやり、普段は建物を維持するための清掃活動などを行っている。
・修学旅行生の食事処やワークショップスペースに。
・図書館、カフェ、博物館、復興の歴史の展示…
・1棟ずつ運営会社がついて活用することもできるのでは。
アートの視点
・「ぴーすくる」「めいぷるーぷ」のコースに。
・音楽ライブのできる場所にできないか。演奏する人に取っても意義のある、意味のある場所にしていきたい。
・4棟すべてそのまま保全するか、例えば1棟は中身を音楽や用途に応じた形で作り変えることもできるのでは。
・地域の方も「あってよかった」と思える場所にしたい
・朗読劇・詩を作るワークショップ・平和教育の場にも使える場所に

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アイデアだけなく、全グループに共通して、以下のような課題があることも話されていました。

・地域住民の方とのコミュニケーション
・騒音問題
・財政的な問題

さらに、ゆくゆくのアイデアだけでなく、「今できること」として興味深いアイデアも。

・今話題が盛り上がっているからこそ出てくる、当時の証言を改めて集めていってはどうか。ご本人のみならず、「家族が、親戚が…」という方もいる。
・周りは花壇になっていたが、今は防草シートが貼ってある。そこにプランターをおいたり、アイデアをそこに並べたりというアクションができないか。

それぞれのアイデアを眺めながら、「現実的にどうか」と突き詰める前に、まずはアイデアを出してみることの大切さを感じました。

社会の中には、自分が議論に参加しないうちにいつの間にか決まってしまうことが実はたくさんあります。被服支廠について考えることをきっかけに、自分の思う「こうがいいんじゃないか」を思いを積極的に声に出していくこと、みなさんと一緒にやっていけたらと思います。

企画してくださったひろしまジン大学のみなさん、案内してくださった高田さん、ご参加いただいた皆さん、本当にありがとうございました!

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*お知らせ*
 旧広島陸軍被服支廠倉庫 [見、知り、訪れ、想い、語る。]シンポジウム
 日時:2020年2月8日(土) 13:30-15:30
 会場: 広島県立美術館地下講堂(広島市中区上幟町2-22)
 主催:アーキウォーク広島

 県のパブリックコメント締め切りは1/16(木)
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