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若くてお金がないときはどうする

20代前半、名古屋から東京に引っ越して働き始めた。名古屋では自分に合う仕事はなかった。東京で仕事探しをしてやっとの思いで見つけることができた。当時は1980年代のバブル。株価が上昇。土地代も上昇。株神話と土地神話が旋風を起こしていた。

今もそれに似ているのかもしれない。株価は4万円を超えた。都内のマンションは高い。売り出し価格は平均1億円という。誰が買えるのだろうか。

20代の私は仕事はあったけれどもお金がなかった。初任給は16万円くらい。ここからいろいろと県民税、市民税、そして所得税といった税金が引かれる。手取りはわずかだった。残ったお金でアパートの家賃を払わなければならない。ロフト付きのアパートで家賃は4万円した。

月曜日から金曜日までみっちり霞が関で働く。土曜日は疲れて午前中寝ていた。午後から洗濯物を洗うためにコインランドリーにいく。やがて夕方がやって来る。駅の近くで中華定食を食べて寝る。これが毎週のサイクルであって延々と続くようだった。

このままどうやっていくんだろう。お金はない。3年後にはブラックマンデーがやってきてバブルははじけた。会社に行くと新霞が関ビルの19階にあるオフィスからひとり、ふたりと消えていった。

わたしはどうしたらいいのだろう。途方に暮れた。

2024年3月現在。都内で働く20代の人たち。その人たちの中に私と同じような境遇の人がいるのかもしれない。株価はいいけれどその恩恵を全く受けていない。仕事でもそれほど稼げない。稼げそうな見込みがない。

そういうひとたちはどうしたらいいか。

考えられる手段としては3つあります。まずパートナーを探していっしょに生活をすること。次に親にすがること。最後はお金を儲けるという期待を下げるということ。

最初にやってみることはパートナーを探すことです。これは結婚相手を探すことでもある。結婚をしなくても事実婚でもいいのかもしれません。パートナーがいたほうがいい。その方が生活が楽になります。一人暮らしというのはお金ばかりがかかるものでよくない。

二人で何かと共有するとお金が減っていきません。一般家計消費の平均は月25万円だといいます。二人の稼ぎで25万円を支出すればなんとか平均になります。ところが都内では25万円で生活できるわけがありません。そこでパートナーと生活費を分担する。12万5千円づつであれば可能かもしれません。ひょっとしたら貯金もできる。ところがこれをすべてひとりで負担したらとても高くつく。

独身でいるとお金が出ていくだけになってしまいます。そこでパートナーを探す。その方が都内で暮らすのに向いています。いろいろな方法があるでしょうが、一番いいのは信頼できる人に紹介してもらうことです。なるべく人付き合いの多い人で人柄を見抜けるひとがいい。商社で長年働いている年配の人は向いています。人と人をつなぐ仕事をしているひとたちですから。

子供を持つことは慎重に。パートナーとよく話し合うこと。

次に結婚をしない場合。都内では40歳を超えて男性の3分の1が結婚をしないといいます。女性は4分の1が結婚をしない。ということは一人暮らしをしているのでしょうか。している人もいるでしょう。しかしながら先ほどと同じで一人暮らしほどお金が出ていくものはない。

どうしたらいいか。

親といっしょに暮した方がいいでしょう。20代であれば親と一緒に暮らす。30代でもなるべく親と暮らす方が経済的負担が少ない。そうしている人たちは多いです。その方が家計が助かります。若い時にはお金がありません。親といっしょに暮らす。そうしなければ都内で暮らしていけないでしょう。

ただ親元を離れてパートナーと暮らせるのならそちらを選択する。30歳までにそうする。遅くとも35歳までにはそうした方がいい。パートナーがいなければ親と住むしかないでしょう。

最後にどうするか。それはお金を稼ぐことに対して期待を下げるしかない。目標を下げましょう。ではどのくらい下げるのがいいでしょうか。そこで日本の富豪といわれるひとたちはどのくらい持っているのか。その統計を探してみます。その統計が野村総合研究所から出ています。

出所 野村総合研究所 2023年3月

この統計から見ていきましょう。目標を下げるというのはどういうことか。それは富裕層以上を目指さないことです。富裕層というのは1億円以上の資産がある人たちのことです。純金融資産1億円以上というのはわずかです。

日本全国で5020世帯。そのうち富裕層以上はたったの150万世帯で3%です。だれもが上位3%にいけるわけではない。そこに入ろうとしないことです。

では期待をどこまで下げるのか。そうなると下から2番目のアッパーマス層を目指す。資産3千万以上を持つようにがんばるということになりましょう。これは不可能ではないでしょう。若い時からマス層を目指すのはよくない。これは底辺にいるわけです。それでは都内ではいい暮らしができない。

準富裕層5千万以上の純金融資産というのもちょっと無理でしょう。無理をしないで期待を下げることがいいのではないでしょうか。

20代にお金がない。仕事でも給料が高くない。そんなときに都内で暮らしていけるにはこれらのうちどれかになるのではないでしょうか。パートナーを探す。あるいは親と暮らす。そして期待を下げる。

無理をしないで都内で暮らす。

わたしは富裕層ではありません。都内に住むことをせずになんとか首都圏でやってきている。パートナーがいて子供までいる。東京に引っ越して以来、親元でなくずっと同じところで暮らしている。運がよかったのかもしれません。ただ今は20代でお金がないと都内で暮らしていくには相当難しい。

無理をせず楽しく都内で暮らしていけますように。