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若い女性をアダルト業界から救えるか

もうかれこれ40年以上も前のことになる。18歳になって豊田市から名古屋に引っ越しをした。豊田市というのは愛知県の中でもまあ人がいるところで40万人ほどいる。そこにはトヨタ自動車の本社があってなにかというとトヨタのことが話題になる。そこから1時間ほどいったところに名古屋市があり人口200万人。愛知県の中でも都会といわれるところだ。

都会となるとどこでもなにかしらの繁華街がある。飲み屋の多い地域である。名古屋市の中では今池というところだろう。栄からすこし東にいったところ。そこにはバーがあってよく夜遅くまでやっている店がある。当時そういうところにはあまり近づかないようにしていた。ただどうしても通らなければならない時がありなるべく夜は避けるようにしていた。

あるオンラインイベントでアダルト業界について話をする予定がある。新聞の記事によると日本のアダルト業界はかなり大きい産業になっているらしい。年間550億円、1日あたり1.5億円の売り上げがあるという。ビデオのリリースはひと月に4,500本。一日あたり150本がつくられる。女優は全国に推定1万人いるという。

どうやって女優になるかというとスカウトに引っかかってしまう。ユーチューバーとして歌手になろうとしていたKURUMIN AROMAさんが一例だ。彼女はある時歩いていたらスカウトをされ水着のモデルになってくれといわれた。やりたかった歌のレッスン代を払ってもらった。次第に写真や動画をスタジオでとるようになった。そしてあるときアダルト番組を収録してしまったという。

彼女自身がそのような風俗動画に出演するようになってしまったのかわからないという。そうこうしているうちに自殺まで考えてしまった。ほとんどがこのように繁華街のどこかでスカウトをされてアダルト業界に入っていく。さてこれがどのような問題を生むのか。そしてこの産業から少しでもなにかしらの救済はできないのか。それをイベント前に考えてみた。

問題は二つある。この業界はそれなりの大きさをもっており成長している。そのためギャラになる。しかし女優の稼ぎは少なくなっているという。もっと稼ぐために出演する回数がかなり多くなる。そうすると映像にあるとおり身体をかなり酷使してしまう。つまり男性から攻撃を受けるわけであってたとえ演技であったとしても身体に支障が出る。出演数が多くなってしまえばそれだけダメージを多く受けることになる。これが第一の問題だ。

ひとつはある番組でやっていたことであるけれどもアダルト女優の寿命はそれほど長くないという。女優としての演技をする期間ではなく人間として生きていける文字通り寿命のことを指していっている。どうだろうか。読者の皆さんの中でアダルト映像に出ていた女優で50歳になったという人を聞いたことがあるだろうか。おそらくいない。50歳を前に死んでいる。そこが寿命なのだ。

さてこのような生涯を奪うような演技から救済はできないのだろうか。なかなか有効な手立てはないが記事には3つほどあげてあった。ひとつはAV法が成立したこと。それにより少しだけ歯止めがかけられるようになった。次に法律が適用されているうちに相談をすること。ひょっとしたら動画が公開される前に抜け出すことができるのかもしれない。そして最後に教育により踏みとどまらせる。それぞれどういうことだろうか。

AV法というのは昨年成立した。塩村文夏(しおむらあやか)参議院議員が声をあげ立法に踏み切ったという。この法案はまず女優になる前に映像をとる会社と契約を結ばなければならないという規約がある。契約がなければ出演できない。そして契約を締結したあと1カ月は収録できないという縛りがある。さらには収録後3カ月はそのような映像を公開してはいけない。これが法案の骨子だそうだ。

次にお金がからむこともあり悩ましい。そこでこういった暫定の拘束期間があるときに相談ができる窓口が用意されている。そこは金尻カズナさんが代表を務めるNPOで受け付けているという。そこは性的搾取から女性を守るという団体である。そこに相談をすることで踏みとどまることができるのかもしれない。

しかしながらこの風俗の世界は構造的にできあがったいること。さらに調査がなかなかできないこともあって確実な情報がとりにくい難しさがある。

そこでどういうことができるかというと学校教育や生涯教育の中でAV法とその背景について学ぶこと。それはありうる。それで防ぐことができるのかもしれない。ただこの学校というところもいろいろと事件が発生をしておりなにが起こるのかわからない。

わたしが2011年から2020年のコロナが発生する前まで大学で勤務した経験によるとあらゆる大学で女性が性的被害を受けている。教える側にひんぱんにニュースレターがくる。大学によってはハラスメントをしてはいけないという理解を深めるための週末に講習を施す。その講習は必須になっている。さらには講師控室の出入り口にはセクシュアルハラスメントはいけないというポスターが目に付くように貼ってある。

そのようなことは繰り返し注意喚起されている。それでも被害は発生する。教える側においてもここまでやる必要があるのかというくらい講習がある。

お金欲しさにアダルト映像に出演する。これは防ぐことはできない。しかしこのような傾向は抑えることはできよう。現在推定されている1万人の女優の人たちはおそらくあと20年くらいしか生きることができないという。そういった人たちは受けたダメージから回復することはない。

名古屋市は東京よりは規模は大きくないであろう。東京は大きい。特に繁華街で飲み屋の多いところにはそういった罠がはりめぐらされている。

これを読んだ東京在住の大学生の読者の方はどうでしょうか。法規制が厳しくなってきている。16歳以下で合意がない性行為はレイプと見なされるようになった。これまでは13歳だったこともちょっと驚きである。

成人は20歳から18歳に引き下がった。つまり18歳になったら責任ある大人として、また契約を自己判断でできるようになった。そのため10代が被害を受けることも多くなるだろう。20歳から出演し続けたのならばそのあと30年くらいしか生きることができない。各自の判断に委ねるしかない。はたして救い出すことができるだろうか。