見出し画像

都内で暮らす3条件

26歳で東京に来た。それまで1年大阪で仕事をしていてなんともうまくいかなかった。これほどまでに厳しいのか。いろいろと上司に相談をしてなんとか東京に異動した。大阪の仕事や暮らしは壮絶なものであった。毎日のように屈辱・侮辱・苦痛を味わって過ごしていた。なんとかやってこれたのは大学にいたときに運動をしていたこと。そのため体力はあった。病気のときには住んでいた門戸厄神のひとに助けてもらった。まだ運があった。

さて今度は東京だ。ほとんど知っている人がいない。しばらくして東京でも仕事がたいへんになってきた。やっていけるのかという状態が続いた。28歳になったとき結婚をして1年後には父親になった。目まぐるしく動いたけどこれで東京での暮らしはすべてうまくいくのかと思われた。

あれから35年が過ぎて年金生活に入った。考えていることは都内に住んでいる大学生の読者のこと。はたして彼らはこれからどうする。わたしと同じようなことが起きるとは限らない。わたしが味わったような苦い経験してほしくないという思いがある。そこで書いている。けど読者が実際に経験をしてみないとわからないことは承知している。

今回の文章では当たり前のことを書いてみます。それは都内で暮らしていくには何が必要かというものです。当たり前だけど簡単なものではありません。1300万人がいる東京23区で暮らすのに必要なもの。ただ生きていくのではなく、なるべく豊かに潤いのある生活をすることです。

最低限の条件があるでしょう。それは何か。基礎であり、そのどれもが欠けていてはいけない。ないと不自由な生活を強いられてしまいます。不自由が続くと長く生きていくことさえできない。

最低限というのは健康、お金、パートナーというものです。読者の皆さんはどうでしょうか。これから社会人になってこれらを持ち合わせて暮らせますか。これら最低限があってはじめて自分のやりたいことがやれます。


健康


まず健康から話をしましょう。大学生の時というのは健康にはほとんど心配がありません。18歳から22歳というのは体力的にも精神的にも充実しておいて痛い目にはあっていない。なので大学に通うことができます。受験も昔ほど厳しくはなく合格できます。

授業料は親が払ってくれます。普段生活をする上でも親のところから大学に通学し不自由はしません。そのためのびのびとだらだらとして時間は過ぎていく。そういった生活をしながら社会人の先輩を見るとふと気づくことがあります。

社会人はどうして健康を害している人がこれほど多いのか。それは健康づくりを甘く見ているためです。痛い目にあってからでないと健康づくりをしません。そう簡単ではないものです。なににしなければいけないのか。それは食事、運動、睡眠。これら3つのものをバランスよくとらないといけない。そうでないと必ずどこかで痛い目にあって身体的・精神的に崩れることでしょう。

食事は3食。決まった時間に食べること。運動は40歳までは強度がある運動をする。40歳を過ぎたら有酸素運動をする。決まった時間に床にはいり、決まった時間に目覚める。こう書くと簡単そうに聞こえます。これらがほとんどできていないのが現実です。どこかでルーティンが乱れる。

ちょっと細かく書いてみましょう。

食事

食事というのは誰でも一日3食と決まっている。なるべく同じ時間に食べる。朝は起きてから1時間してから食べる。食べるのは普通はパンかライスです。家族と一緒に食べるのが理想です。コンビニで適当に買って会社で食べるのはよくないです。

9時から仕事が始まり、昼休みの1時間を使って食事をする。会社の近くで弁当を買って自分の机で食べる。会社の同僚と週2~3回はランチを一緒に食べながらおしゃべりをする。コーヒーをスタバで買って机の上で飲む。そんなことが習慣としてあります。ここで注意しなければいけないのはランチで何を食べるかです。

わたしのランチは一時期とてもよくなかった。それは会社の人がインスパイア系のラーメンが好きだったから。品川にラーメン二郎があった。わたしは東京に来て20年が経過していてもラーメン二郎というのを聞いたことがなかった。

暑い夏、外で並んで次の人と呼ばれるとカウンターにすわる。しばらくしてニンニクいれますかと聞かれる。わたしはなんのことかよくわからず、会社の知り合いのいうことを聞いていた。知り合いはいった。全部増し。はて、これはなんのことか。よくわからないがわたしも同じよういった。全部増しにしてください。そしてすぐさまそれが大きな間違いであることに気づいた。

あれは食べれない。700円で全部増しは食べることができない。しかもラーメンの量は300グラムはある。店の中で何とか食べて外に出ると腹が破裂しそうだった。ただ食べ応えがあり本能をそそるためかお店にいくようになってしまった。消化不良を起こしていた。昼にはなるべく抑え目にしてパスタくらいにしておけばよかった。

夜がやってくる。どうだろう決まった時間に食べることができるだろうか。わたしは都内で長くサラリーマンをした。しかしながら週1回は飲み会があった。7時からはじまり夜11時まで続いた。そこから電車で家に帰ると12時を回っていた。翌日出勤をする。どうも調子がよくない。

夕食を同じ時間に食べたことはほとんどなかった。できれば同じ時間に食べた方がいいだろう。なるべく野菜中心にして家族と一緒に食べること。しかし現実は理想とは程遠い。脂っこいものを大量に食べる。お酒も飲む。食べ過ぎで太っていく。これが生活習慣病にはじまりになる。

次第に健康診断の結果が悪くなってきます。ひっかかる項目が増える。やがて血液検査にひっかかる。正常値になるまで相当努力が必要で時間がかかります。まず健康づくりが基礎のはじめです。

運動

この話題はわたしの経験をもとに話してみます。運動は決して苦手ではなかった。むしろ体を動かすことが好きで得意だった。ところが30歳くらいになってあまり動かさなくなった。社内にコンピューターが普及してパソコンの前で仕事をするようになった。

35歳の時にこれではいけない。身体を動かそうと週1回テニススクールに通った。毎週90分。打ち合いをした。それで運動は足りると勘違いした。体力があるわたしにとっては90分は十分ではなかった。それで他のところで仲間を見つけて8年続けた。しかし体重は減ることはなかった。かえってけがが多くて運動をしない日もあった。

わたしはボールを使う競技が好きだった。中学・高校とバレーボールをした。ボールへの感覚は一般の人よりもよいほうで、すぐにプレイができた。大学にはいって上背が足りないためにバレーボールはやめた。そこでテニスを始めた。最初はうまくいかなかった。なんとかゲームができるところまで上達した。しかしこのボールを使ったスポーツは40歳で離れていった方がいい。けがが多いこと。減量にはつながらない。テニスコーチもいっている。テニスでは減量できない。

40歳になったら遅筋を使う運動に変えた方がいい。これが難しい。なぜかというとゲーム性が乏しいからだ。ボールを使ったスポーツはゲームができて仲間ができる。楽しいこともある。基礎運動はなかなかそうならない。どういうものがあるか。

ランニングがある。外を5キロ走る。もっと長く10キロくらい走る。慣れてくると毎週走ることができる。ランニング・クラブにはいってもよい。仲間ができる。サイクリングをする。長い時は50キロくらいは1日がかりでできる。

これは聞いた話である。八王子からつくばまでサイクリングをした人がいるという。八王子というのは東京から西のはずれにあり、つくばは茨城県である。これほどの距離をサイクリングするひとがいる。一般にサイクリングをするひとの距離は長い。

夏場であれば水泳がある。近くのプールで200円で2時間ほど使える。水泳は身体が冷えるだけではない。無理なく汗を出すことができて、いい運動になる。しかも午後4時になると自然の風が吹いてきて身体にあたる。マイナスイオン効果も期待できる。ベンチで寝転がっているだけでも良いだろう。

しかしながら基礎運動はゆっくりと何時間もかけて行う運動であり、仲間とゲームをするわけではない。地道に身体を動かす運動だ。しかも筋肉を変えなければならない。瞬発的な速筋でない。ゆっくりと長く動かすために遅筋を使う。それで燃焼効果を狙う。これにより脂肪を落とす。

ここまで来ると読者はこう反応するのではないか。なんだ簡単ではないか。ゲーム性のあるスポーツからシンプルな動作を繰り返す基礎運動に変える。お金もかからないし、ひとりでできる。実はそれだけではない。

それは関節の可動域を柔らかくしておく運動をしておいた方がいい。いや、むしろしなければならない。可動域を広げることで衝撃を和らげることができる。そのため関節を柔らかくしている人たちは長続きしている。例えば野球でいえばあのイチロー選手がそうだった。中日にいた山本投手もそうだった。可動域トレーニングを欠かさずしていたという。ケガが少なくなるだけでなく、疲労回復になるという。

基礎運動をするにしても準備体操と整理体操を欠かさずすること。夏場では15分。冬場では30分ほどゆっくりと時間をかけて体操をする。それでケガを少なくして疲労をためないようにできる。これだけのことを意識してできる人は多くはないだろう。運動といっても意識しないと正しくはできない。

睡眠

最後に寝るというものがある。なんだ、寝るだけではないか。そんなことはだれにでもできる。簡単なことだと考えている人もいるだろう。実はそれほど簡単ではない。ひとつには入眠、持続、起床という決まったルーティンがある。それを一定にできることはめったにない。

入眠はおそくとも夜の11時くらいまでにする。11時になったら部屋の明かりを消して目をつむる。そうすれば1時間以内には寝ることができるであろう。しかしそれはうまくいった場合である。

寝る前にお風呂にはいっていなければならない。決まった時間に入る。普通は寝る前の1時間がいいと言われている。20分くらい時間をかけて入る。早い人ならば9時くらいにはお風呂に入る。すると7時の夕飯から9時の入浴前の2時間がある。その間に何をするか。普通はテレビを見るか、インターネットをしている。この2時間とお風呂から出た後の入眠までの時間が問題である。

インターネットをしてはいけない。パソコンやスマホは覚醒作用がある。そのため夕食後に長くスマホをすれば、だれでも眠れなくなる。スマホをしてはいけない。

そして入眠中にも気を付けることがある。寝苦して2時くらいに突然目がさめてしまう。そこでスマホをしてはいけない。オリンピックの結果が気になってスコアを見たい。そうして見てしまうと再度寝ることができない。リズムが狂ってしまう。

朝食の1時間前には起きる。夏場は5時までに起きる。冬場であれば6時までに起きる。しばらく身体が動かない。頭もぼっとしている。目覚めはどうか。年を重ねるごとに目覚めは悪くなってくる。50歳になれば20歳のときの半分以下の睡眠になるともいわれている。

健やかに暮らす。だれでも都内でそうしたいはずだ。しかしこうやって食事、運動、睡眠といってみるといかに難しいかがわかるであろう。しかしながらこれは意識した方がいい。それは健康こそがお金とパートナーと暮らすために不可欠だからだ。健康を損なってはいけない。

お金


次にお金です。都内で暮らすということはお金がかかるということです。かかっても暮らしはいいので、誰でも無理をして住みたがるのです。実はそれほど多くのお金は必要ないのですが贅沢をしたい。そういった生活であると最低限必要なものはお金です。お金というのは増やしていかないといけない。増やす方法は3つです。

まず働いて給料を得ること。なるべくいいところに就職をしてお金を稼ぐことです。毎月お金が入ってくること。夏と冬にはボーナスをもらうこと。そういった働き先から給料をもらうということがお金を増やす方法の第一です。それが簡単ではない。次はなんらかのものに投資をすることです。

投資といえば思い浮かぶのは金融市場です。株式、債券、為替といった有価証券やマネーを取引するところに投資をする。身近なところでは株式市場があります。東証プライムといって日本を代表する株式会社が上場しています。上場も企業にとっては宣伝であり、市場に参加している個人や機関投資家から半年先くらいの評価を受けるということは大変栄誉なことです。

個人で投資をするならば、よく会社のことを調べて投資をする。そして国内と海外の株式を複数買う。また債券のことも調べて投資をする。自分のポートフォリオを作成する。そうすることで元本の保証のない有価証券にリスクをとって投資する。取引ではリスクがなければ利益も出ないのです。

給与があり、節度ある投資をすると残ったのは遺産をもらうことでしょう。親からの遺産をもらう。そういった当てのある人は幸運です。ひとりっこであれば問題はないでしょうが、兄弟がいる場合は親が遺言状を書いていること。それにより子供たちで争いがなくなります。親が55歳になったら遺言状を書いているかどうか気にしましょう。なるべく遺産をたくさんもらえるようであればそれに越したことはありません。

もう少し具体的に書いてみましょう。

外資系企業


まず外資系企業はやめたほうがいいでしょう。特にアメリカの資本で展開しているところはやめておいた方がいい。なぜかというと外資系企業というのはお金儲けしか目的がないのです。ほとんどの外資系企業というのは日本のオフィスをもちながらビジネスを展開しています。その目的は本国にお金を送金するためです。儲からなければ撤退します。お金をたくさん稼いでくれるから高い年収を払って日本人を雇うのです。

つまり金銭的価値のあるひとしか雇いません。お金稼ぎのためであれば手段を選ぶことなく、社会人としてまともにやっていけなくても稼いでくれれば雇います。さすがに犯罪行為を犯すようなひとは雇わないでしょうが、それでもそれに近い人は山ほど外資系企業にはいます。なるべく早くえらくなってお金だけ稼いで会社を辞める。あるいは他の外資系に移る。そういう人たちであふれています。

外資系というのは転職を前提に入社してくる。入社した場所でお金稼ぎができないとなったら、すぐに次のところにステップアップして移っていく。そういう人たちの固まりであってお勧めできません。雇う外資側もわかっていますから役に立たないといろいろと仕掛けてきます。日本企業では新聞を読んでいたり、YouTubeを見ててもクビにならない。外資は違います。

あからさまなクビということはありませんが、それに近いことを陰鬱に仕掛けます。えげつないことをしたり、ズケズケと悪口をいって嫌がらせをしてきます。そういうところは年収が高くても長く続かないためお勧めできません。

ただし、本当に業界が好きで職種が好きであれば苦にならないでしょう。バリバリ働くというのはいいことです。やがてのんびりしたところに移っていくという前提であればいいのかもしれません。しかしながらとにかく幸せにはなれず、外資は当たりはずれが多い。

外資系企業は年収が高くてもやめましょう。わたしは42歳まで外資系企業で働きました。その期間は17年にも及びます。スイスの銀行からアメリカの企業3つ渡り歩きました。泥沼のマンホールをはって動くようなものでした。まさにショーシャンクの空にです。

次にやめておいた方がいい仕事というのがあります。それはあまりにも給料が低くて仕事がきついだけという仕事が都内にはあります。それは飲食、小売り、介護、そして建築です。これらは就業人口のほとんどのひとたちが就職する業種です。それにもかかわらず給料が低い。どうしてかというと労働集約的であるからです。サービス業の中でも労働者を搾取している仕事であるともいわれます。

残念なのですが昔から変わりません。これからも変わることがないでしょう。営業の最前線にいる仕事であり、そこは複雑怪奇な行動嗜癖を持った顧客に対面するところです。顧客といっても迷惑な客です。

ホテルでいえばコンシェルジェみたいなところでなんでも対応しなければなりません。そこにはまともな客はこない。嫌がらせや悪質ないたずらが多発します。そういう対応をしても企業にはほとんどが利益は結びつかない。

都内で働く仕事にまともな仕事は少ないということはいっておきましょう。しかしながらよほどのことがなければつぶれることはない。少々のがまんを承知でやればなんとかやっていける。そのような会社があることも事実です。それは財閥系の会社にはいることです。競争倍率は高いのですが総本山に入社しなくても系列の子会社に入ることができます。どういった会社があるでしょうか。

財閥系企業

財閥系ですと三菱、三井、住友といった系列を持つ企業があります。そういうところに就職をする。わたしは42歳で三菱系の会社に転職しました。というよりは42歳のときに勤務先の外資系企業で大量リストラがあった。180人のうち3分の1がリストラにあった。その会社にきた社長が三菱からきた人であり、リストラの受け皿を作ってくれたというのがあります。これは運以外のなにものでもありません。

リストラをした外資というのは、品川にあったアイ・ツー・テクノロジーという会社でした。サプライチェーン・マネジメントのソフトウェアを販売する新興企業でした。そこはドイツのSAPからきたひとが大量に流れ込み、オフィスを支配していました。ただITバブルがはじけてリストラを断行することになりました。ストックオプションも役に立たずです。

そうやって受け皿として入社した三菱系のITソリューション会社。そして4年後には三井系の会社で日本ユニシスというところで働きました。これらに就職をしなくてもいいのですが、財閥系のいいところは以下のようなところです。

社員教育が充実していること。あまり面白い教育内容ではありませんが、社員への教育は熱心です。とにかく45歳くらいまでは会社組織の一員として教育してくれる。それまでは会社の方針を念入りに教えてくれる。

踏み外してしまう職員を正常なところに戻そうという意思が強いです。そういったところには犯罪を犯す人は少なくて、万が一会社に損害を与えるひとには厳しい罰則を科しています。そういう教育と罰則がしっかりしたところがよい。多くの人が忍耐強くがまんをして仕事をしている。

三菱は組織として動ける人を雇います。上司が絶対であり、上司としてまともに部下を教育できるか、あるいは会社の看板を背負って外に出しても問題を起こさないかどうかを徹底的に観察します。そういうひとでないと上司にはなれない。

三井では上司は絶対ではない。しかし部下が問題を起こすと上司まで罰せられます。たとえばユニシスでは部下がUSBスティックメモリーとどこかに紛失してしまったとしましょう。情報漏洩が起きます。営業であれば顧客の個人情報や機密情報が漏れてしまいます。すると部下は減給であり、上司は降格ということがありました。それだけ厳しい罰則を科しています。

こういった規律は外資系企業にはなかった。お金を稼ぐために暴れまくるのが外資でした。しかし日系企業の中で財閥系は社会的問題に対していち早く対策をとります。つぶれることはめったにない。

給料はそれほどよくありません。しかし外資よりものんびりとできます。もはや残業はそれほどないでしょう。どうでしょうか。800万円くらいの年収で悪くはないでしょう。都内でも十分に暮らしていけるでしょう。ただし平均価格1億円もするマンションを購入することはあきらめたほうがいいでしょう。

財閥系は極端にはずれたひとはいない。一方でとびぬけて風変りな才能を持ったひともいない。イーロン・マスクやマーク・ザッカバーグのような変わり者はいない。また孫正義氏や柳井正氏のようなひともいません。

さてこういった日系企業に就職できたとしましょう。それでも安定した収入は見込めず乱気流の中に埋もれてしまうことがあります。転勤や社内異動で闇のような職場環境があります。それでもお金に困らないで暮らすという方法はありそうです。どんなにつらい職場環境です会社を辞めないことです。

会社というのはなんでもそろっています。夏場ではエアコンが効いています。そういう快適空間は都内には少ない。福利厚生もしっかりしています。年金も会社が半分負担してくれています。

投資と相続

ここからは読んでいてやや苦しくなるかもしれません。しかしなにかとお金に困らないためにはこれしかないでしょう。ひとつは毎月の可処分所得の一部を投資に回すこと。10%くらいでしょうか。3~4万円でなんらかの金融商品を買うのがいいでしょう。普通預金にすべて預けておくのは賢明ではありません。90%は安全預金として持っていたにしても預けておくだけではなんの利息も生まない。

リスクマネーとして一定の割合を株式、債券、外為に投資しておくのがいいでしょう。投資信託がいろいろと発売されており、インターネット証券も多く存在しています。これらを通して元本に保証はないもののを買う。生活に支障のないくらいの投資をしておくのはいいでしょう。

もうひとつは親からお金をもらうこと。つまり遺産を相続することです。親が55歳くらいになったのなら遺言状を書いてもらいましょう。一人っ子であれば遺言状は必要ありません。法定相続に沿って相続をすればそれでいいでしょう。贈与もできるだけ早いうちからやっておいてもらう。非課税枠があります。会計士に相談に乗ってもらい法定相続をする。そうすると暮らしは安定します。

ただ複雑な家庭環境を持っていたり、もともと親にお金がない場合はこの話は役には立たないでしょう。預貯金が全くないのに親が都内に住んでいるのはおかしい。都内は物価が高く、子供のためによく考えていない親といえるでしょう。そういった親が実は多いことは承知しています。

パートナー


最後に必要なのはパートナーです。東京というところはひとりでは暮らしていけません。物価が高く、過密な都市であり、本来の人が住むにはストレスの高いところです。ですので一緒に暮らしていけるパートナーが必要です。しかし自分に合ったパートナーを見つけるのが難しい。

それには大学時代に好きなひとを見つけておくことです。同じ大学に通ったひとをパートナーに持つことは後々のためです。同じ空間と時間を4年間過ごしたことで事情がよくわかっています。大学というところは一生のパートナーを見つける場所としてはもってこいです。大学に通いながら専門性を身に着ける。同時に部活を通してパートナーを探す。

そうしてお付き合いをはじめて28~30歳くらいで結婚をすること。結婚でなくても一緒に暮らすという事実婚もあるようです。いずれにしても30歳までにパートナーといっしょに暮らし始める。これが東京での暮らしにとって最低限必要なことです。一人暮らしはよくありません。親元に長くいることもよろしくはない。

そうして30歳くらいからパートナーといっしょに暮らすことでその後もいろいろと助かることが出てきます。ただ結婚式をあげたからといってそれで終わりではありません。むしろ始まりです。

どのような結婚であっても一緒でいるためには接着剤が必要です。その接着剤は二人の心の中から出てこなければならないものであって、ほっておけばやがて乾きはじめ、いつかはほこりと化してしまうこともあり努力が必要です。

これについても詳しく書いてみましょう。

見つける


まずパートナーを見つけること。これはとても難しい。就職してから探すとなると不可能に近い。職場以外の場所になるでしょう。どこでも転職をする人が増えていること。コンピューターの導入が進みパソコンばかりを見て仕事をするようになった。疎遠になり直に話をする機会がなくなった。飲み会やパーティーが減っていること。前のように部下を面倒みる世話役がいなくなっていること。

マッチングをしても世話役は会社からお金をもらえるわけではありません。

40年前はこの人とこの人ならばお互いに惹かれるだろう。そういう見立てをつける。そうして紹介をしてくれる。自分で探す必要はありませんでした。お互いのいいところをほめあって、デートの設定までしてくれる。お互いに話し合いを進めてゴールインというのがあった。先輩がお膳立てをしてくれたのです。

経験豊富なひとがお世話してくれて、芽がはえるところまで丁寧に引っ張ってくれる。お互いを友達を含めて家に招く。BBQを主催してくれるというのがありました。ほんとうにあったのです。ところがそういうナイスなひとたちがいなくなりました。あまりにも偶然性が高いこと。うまくいくかどうかわからない。逆に面倒なことになったらいけない。善意でお世話したつもりなのにかえって損をするのではないか。

専門家でないとわからないこともある。結婚紹介業をやっているわけでもなく、素人が昔のしきたりを思い出しながら教えてくれるのです。どこか根拠のない話まで出てくる。

そうなると自分で見つけるしかない。そこでいつ、どこで見つければいいか。そうなると都内の大学に通学している4年間で将来のパートナーを見つけるというものです。4年間で専門性を磨くこと。もうひとつはパートナーを見つけること。部活や大学のイベントに参加してみる。そこでちょっと気になる人を見つけておくというのがいいでしょう。たとえ在学中うまくいかなくても連絡先だけは交換しておく。都内では卒業後にふとしたことで再開するチャンスはあります。

そんなときに授業ではなく、部活や大学祭といったイベントでなにかを一緒にやった。その経験がいきてくる。大学時代の知り合いとゴールインするのは悪いことではないでしょう。わたしの知っている仲間ではそういう例が4組あり、それぞれが家庭をもち幸せに暮らしています。

ところが22歳でこの人が運命の人かどうかを見極めるのは難しい。男性であれば中学から好きな人は何人もいる。そのうち振られた経験もありますから、大体こういう人であれば現実的というのはわかるはず。お茶に誘うとか映画に誘うとかして見ればよいでしょう。ボーイフレンド、ガールフレンドというのはちょっと親しい間柄とうだけでそれ以上は何もない。

観察

さてめでたくゴールインをしたとしましょう。それで終わりというわけではありません。むしろそこからがはじまりであって、他人とこれから一緒に暮らしていく。これまで何も知らなかった人と同じ空間と時間を共有するわけですから当然理解していかないといけない。それには時間がかなりかかります。

わたしの場合は36年経過したにもかかわらず、いまだに女房のことがよくわからない部分がある。お互いに完全に理解できるということはない。感覚でしかわからず言葉では説明つかない。価値観の違いを認めながら暮らすというのもあります。

ただ男性であるわたしが女性を観察した経験からすると女性を理解するには本人とその周りにいる友達を観察するのが参考になります。東京に住む女性というのは友達付き合いが広い。幼なじみにはじまり、会社の同僚、そして趣味で知り合ったひと。いろいろな人と連絡先を交換しています。メールで連絡をとり、おしゃべり友達になり飲み会をします。

そういったひとたちとおしゃべりをするのが女性の楽しみで、そういうところからどんな人と会ったのか。どんな話をしたのか。それに対してどんな反応をしたのかという話を家でする。そうするとパートナー自身の感情の移り変わりや価値観というものが理解できます。

どちらかというと女性は好きか嫌いで行動するパターンがある。感情をうまくコントロールできる人が多い。しつこくはない。嫌なことがあっても、友達と悪口をいいあうことで気分がよくなることがあるようです。おしゃべりというのが女性にはなくてはならないもの。いろいろな人の話を聞いてドラマ化することが得意です。

実際のところ、見るテレビ番組やストリーミングサービスもドラマが多い。スポーツや音楽はそれほどない。もともと私のために買ったブルーレイ・レコーダーはいまや女房のもの。そのハードディスクの中身は90%が女房の録画したドラマです。ストリーミングで見逃し配信をやっているということはいってはいけない。レコーダーで録画した番組を大画面で見ることが気に入っている。

そしてなにか不具合があったら、そこで電気機器の専門家になったふりをする。取説を読みすぐさま修理できないといけない。それは民生用電子機器すべてにあてはまる。テレビ、レコーダー、タブレット、スマホ、そのような電子機器はサービス係としてすぐにでも修理をするわけです。男というのはそれくらいしか役に立たない。

ただこういった縁の下のこともやがて親戚や友達との会話のもとになる。そこは男性側がアシストする。後で会話内容を聞き出すというのがあります。

喧嘩

夫婦喧嘩というのは必ずあります。お互いに理解しあえたと誤解する。一緒にいる空間と時間が長くなる。そうするとお互いに遠慮をしなくなり、ちょっとしたことに違和感を持ってしまう。頼んでおいたことができていない。度忘れをした。役に立たなかった。ロスした。そんなことは山ほどあります。

そんなときに率直に話すパートナーどうしほど喧嘩になりやすい。わたしは一時期女房と3日に1回くらいは口喧嘩をしていました。すると年間100回くらいは喧嘩をする。これだけ頻繁になると前になんのことで喧嘩したのかを忘れる。

ところがいつまでたっても、あの時にどうした、ああしたということをお互いにウジウジと言いあうことが出てくる。楽しい旅行先でちょっとケチったことや買い物をしなかったこと。楽しいライドには乗らなかったことなどが悔しい。思い出としてはよくない。しかしそういうことほど覚えていて何かの拍子で思い出してお互いのことを責めることがある。

そうやっていつのまにか喧嘩になることはあります。ところがこれは他の家庭ではあまりないことかもしれません。どれだけ喧嘩をしてもわたしは勝ったことがない。負けた経験は山ほどある。引き分けというのもない。するとおかしなもので明らかに相手が悪いときでも負ける。それがいつの間にか最後には私の方が正しくても謝っていることが起きる。言い方がどうかというところまでくる。

するとなんで俺が謝らなければならないんだとなる。まあ、喧嘩はほどほどにして後に尾を引かないようにすることでしょう。

パートナーと幸せに暮らす。これは最低条件ではあるものの、いろいろな問題が発生し解決策が山ほどあります。問題によっては特効薬が見つからない複雑なテーマがあります。もともと他人であったふたりが同じ空間と時間をいっしょにいるようにすることには覚悟が必要です。

わたしも60歳を過ぎて年金生活にはいって振り返ります。3条件は必ずしも完璧にはそろっていなかった。しかしながらなんとかクリアをして悪くはなかったと振り返ります。

健康では決してなかったとはいえます。途中から体力が落ちたのは40を過ぎてからでした。疲労回復が遅い。お金も少しはありました。しかし45歳を過ぎてからは年収も上がってはいかない。パートナーともこうやってなんとか毎日過ごしていける環境はあります。

こうやって書くほど簡単ではなかったともいえましょう。